本棚のすき間

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就職活動中にフィンランド語を勉強しているとこんな良いことがある(かもしれない)

前回の続き

 

フィンランドに興味を持った大学三年生は、始まる就職活動そっちのけでフィンランド語の勉強を始めた。勉強と言っても、ただ本屋に売っていたやさしいフィンランド語みたいな本を買ってきて、ひとりでぶつぶつ喋っているだけだけど。

フィンランド語って、かわいいんですよ、響きが。

こんなかわいい言語を勉強しているんだ、周りにはひとりもいないだろうそんな大学生は、というだれも羨ましがらない優越感に浸りながら、ひとり暮らしのアパートの壁に向かってぶつぶつやっていた。

 

それで、あいさつだとか、簡単な自己紹介だとかをひと通り練習して、そのうちにふとあることに気づいた。気づいてしまった。

 

これ、いつ使うんだ?

 

フィンランドという国に興味を持って、その国の言葉を練習して、だけどそこに行くということがまるで頭に無かった。

でも、海外なんて行ったこともなかったし、なんとなく、まだその頃には全然現実味のない話でしかなかったから。

 

とにもかくにもフィンランド語の練習がひそやかな趣味になりつつあったその頃、就職活動が本格的に始まり、第一希望だった企業の面接に行くことに。

今考えるとどうしてそんなおそれ知らずというかズレたことを自信満々に書いていたんだろうと思うんだけど、履歴書の趣味・特技の欄のところに「独学でフィンランド語を学習しています」とはっきり書いていたのがコピーでちゃんと残っている。

 

しかも、社長と常務との面接の時に、「どうしてフィンランド語を勉強しているの?」と訊かれたことも覚えている。

「大学生になってからムーミンを知り、それからフィンランドにも興味を持ち、いつか行く時のために勉強しています」とかそういうことを言ったような気がする。なんなのこのわけのわからない若者はもう時間の無駄馬鹿みたい、と一刀両断された。

 

と思いきや、どういうわけかその後次の面接に進めることになり、そして、その企業からなんと内定の電話がかかってきた。

 

あの時の質疑応答がどれくらい社長の心に残ったのかはわからないけど、これはもしかしたら、すべてはムーミンのおかげだった、と言っても過言ではないのかもしれない。

 

 

ムーミンはやっぱり最強であり最高だった、と思ったかどうかは覚えてない。

でも、とにかく第一希望の企業から内定をいただいたので、とりあえず、就職活動を終えることができたのは確か。

四年生の四月末辺りだったから、周りの友だちと比べても早いほうだった。これはムーミンコミュニケーションスタイルが流行るぞ、と友だちにも面接でムーミンの話題を出すことを勧め、はさすがにしなかった。

それをしたらきっと、友だちは元友だちになって、スナフキン風に言えば自分は自由でありまた孤独、出会ったひととわかれただけさ(スナフキンはそんなことは言わないけど)ということになるのは当時のあほにもちゃんとわかっていた。

いや、でもじまんげにムーミンの話をしてさ、とかそういうことは言ったかもしれない。やなやつ。

 

 

就活が終わったおかげで、そこに費やす時間がべつの所に使えることになった。でも、友だちは就活やら試験勉強やらで忙しい。ので、どうしたのかというと、バイトのシフトをそれまでより多めに組んでもらった。

 

いつかまたバイトのことも詳しく書きたいんだけど、当時、ダイエーというスーパーの鮮魚課で、わりと長いことバイトを続けていた。大学一年の冬辺りからだから、三年目というところ?

地方のバイト賃金を知ってしまうとびっくりするくらい良いお給料だったし、嫌なひとも周りにいなかったのがとてもありがたい。

 

それで、バイトを増やした分収入も増え、あまり食事にがっつりお金を使うタイプでもなかったので、じわりじわりと貯金をしていくことができた。

 

後々になってみれば、ここでバイトを頑張るという選択をした自分がいなかったら、きっとフィンランドには行けなかった。ファインプレー。ムーミンコミュニケーションスタイルに負けないくらいの。

 

お金が貯まってきたことに気づき、そして、大学生活の残り時間がもうのこりわずかだということにも気づいた自分は、なにかしなくちゃ! という思いにかられた。

ありがちといえばありがち。

でも、大事といえば大事。

 

で、できることできることー、と考えているうちに、そういえばフィンランド語はどうなったんだっけ? とその頃にはもう本棚の肥やしと化していたフィンランド語の本を引っぱりだしてきて、ああこんな勉強もしていたんだったと思い出す。

 

そこで、それまでのいろいろなものが全部混ざり合って、きらきらし始めて、身体が軽くなったような感じがしてくる。

ふつふつと、フィンランドに行く、ということをリアルに考え始める。だれに相談するわけでもなく、ひとりで、その考えの素敵さに酔いしれる。

若いっておそろしい。

そういう突拍子もないことがとてつもなく素晴らしいことに思えたりして、勢いもあるもんだからどんどん行動に移していく。

 

旅行代理店のHPを読み漁ったりしているその時には、もう、フィンランドに行くということは決まっていた。

 

 

まだ行かないのかよ、と思われてそうであれだけど、続きはまた次回に。

記憶を探り探りなのでいろんなことが前後していたりごっちゃになっていて矛盾するところがあるかもしれませんが、どうぞお気になさらずで。

 

 

書いていたらすごく懐かしくなってきた。

ヘルシンキの道で出会ったピンク色の方々を先出し。では。

 

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