本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

本なんか全然好きじゃなかった子どもが、いつの間にか毎日読書をし、司書にまでなった話

子どもの頃の思い出の本がない。

手元に残ってない、という意味じゃなくて、じぶんにとってそういう本がない、ということ。

 

いまでこそ、毎日のように読書をしているし、ツイッターでは読書垢のようなものもやっているくらい本の虫なのだけど、子どものころは本当に本を読むという習慣がなかった。外で遊ぶのもそうだし、ゲームをするのも好きだったから。

 

唯一、読んでいた記憶がある絵本があって、それは『三びきのやぎのがらがらどん』。

どこがどう気に入っていたのかは全然覚えていない。

この前親とその話をしたら、保育園に通っていたころのある時期毎日同じのを借りてきていて、それがその絵本だったらしい。

 

子どもって、一度気に入ったらとことんのめりこんだりするところがあるから、たぶんなにかぐっとくる要素があったのかな、と。

 

 

小学校の高学年のころは図書館のマンガコーナーの本ばかり読んでいたような気がするし、中学生になったら鳥の図鑑ばかりながめていた(別段鳥が好きというわけでもなかったと思うんだけど……)。

 

それで、中学三年生のある日、人生を変えるできごとが。

中学校の図書館の先生はまだ若いひとで、aikoが好きということでよく音楽の話をしたり、恋愛相談をきいてもらったりしていた。

aikoのCDを貸してもらったときは、じぶんは特別なんだというなぞの優越感を感じたりもして、うん、とっても中学生、という感じ。

 

その司書の先生に「おすすめの本ありますか?」ときいたことがあった。

先生はにこにこしながら「これがいいよ」と言って、一冊の本を渡してくれた。

それが、中村航さんの「夏休み」という本だった。

 

芥川賞候補にもなった純文学作品で、よくわからない箇所もあったけど、とにかくおしまいまで夢中になって読んだ。

離婚するかもしれない二組の夫婦が、スマッシュブラザーズの勝敗で、離婚をするしないを決めるというシーンがある。

当時64の初代スマッシュブラザーズにはまりにはまったすぐ後だったということもあって、なんて斬新でめちゃくちゃでおもしろい小説なんだろう、と感動したのを覚えている。

 

もしかしたら、あのとき先生が全然違う小説を渡してくれていたら、本の面白さを知ることができずに、べつにものに興味がいっていたかもしれない。

そうなっていたら、じぶんはいったいどんな人生を歩んでいたのか。

そう考えると、なんか夢のある話のように思えるけど、じぶんはいまの本が大好きなじぶんのことが好きなので、あのとき『夏休み』を紹介してくれた先生に心の底から、してもしきれないほど、感謝している。

 

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一冊の本が人生を変える、ということを身をもって体験した、そういう話。

 

だからこそ、いま、小学校の司書をしているじぶんになにができるのか、どこまでできるのか、ということを考えると、燃えてくる。

でも、じぶんのように中学三年生くらいでやっと本を好きになる、ということもあるかもしれないし、それくらい成長してから出会ったからこそ、その本の良さがわかった、ということもあるかも。

 

それでも、じぶんは本を好きになってよかった、と思っているから、少しでもその機会をつくってあげられたら、と思って、明日からまた学校司書の仕事にまい進するのです。

 

それから、

読書好きの方々に、どんなきっかけで本が好きになったんですか、ってきいてみたい。そういう、わたしが本と出会った瞬間、みたいなものを集めたエッセイ集というかアンソロジー的な本があったら、絶対買う。

ぜひ、だれか作ってください。

 

では。