本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

たぐった糸の先にあるある場面

中学校の司書の先生のおかげで、本を読むことの楽しさを知ることができた、というのが前回の記事。

 

今回は、その先生と十数年ぶりに再会した話。

 

当時三年生だったじぶんは中学校を卒業し、司書の先生(K先生と呼ぶ)も同じタイミングで離職をされた。

高校生になってしばらくすると、友人伝いのうわさで、どこどこの文房具屋さんで働いているらしいよ、という話が回ってきた。

家からひと駅で、行こうと思えば行ける場所だったけど、なんだろう、あのころのちんちくりんのじぶんでも気を遣うということは無意識のうちにしていたのかな。

新しい職場に押しかけたりなんかしたら迷惑なんじゃないか、と思い、なにも行動には移せなかった。

 

でも、当時は、じぶんの人生を変えてしまうほどの影響を与えてくれたひとだという認識もなく、ただ、仲良くしてもらっていたし懐かしいなあ、くらいの感覚で。

 

それで、結局、高校大学社会人と時はあっというまに経ってしまった。

高校時代の初めのころは、心理カウンセラーになりたいと本気で思っていた時期もあって、でも、いろいろと調べているうちに大学院まで行かなければなれない、というようなことがわかり断念。

 

それじゃあ、とじぶんのなりたい職業をと考えたときに浮かんできたのが、K先生のことだった。

もうそのころには本好きとしてクラスでも認知されるくらい読書が好きで、じぶんでも小説を書いたりしていた。

 

司書になりたい、と思ってからはあまり迷うこともなく、大学は文学部に入り、司書課程を履修し、卒業と同時に資格を取得。

 

その後社会人になるにあたっては紆余曲折あったけど、しばらくして、司書の職に就けることに。しかも、公共図書館の募集だと思って受けてみたらまさかの学校配属。

 

K先生がじぶんにしてくれたことを、じぶんも子どもたちにできるかもしれない。

そう思ったら、ふつふつとなにかが沸いてくるようで、ああ人生って捨てたもんじゃないなと思ったりもして。

 

いまのじぶんの場所が、K先生に本を渡してもらったあの図書館に繋がっている、という感じがした。それがうれしかった。

 

それで、初めての小学校勤務。単級の、全校児童100人足らずの小さな学校での図書館勤務が始まるわけだけど、そこで、ふしぎな偶然が。

 

保護者と子どもがいっしょになにかを体験する、という行事があり、そこで、担当した体験に参加している保護者の中に、どこかで見たことがあるような顔が……。

でも、それはさすがにK先生ではなくって、でも、中学生だったころに国語の授業を受け持っていたS先生だった。

顔を見た瞬間に、すぐわかった。

あのころ、クラスのみんながその先生のことを好き、っていうような、美人で気さくで、話しやすい先生だったから。

教えてもらっていたのは一年生のときだけだったけど、国語係をしていたので、話をする機会がわりとたくさんあった。

 

それで、体験会の合間に「S先生ですよね」と声をかけると、ちょっとぽかんとしていたので、その昔お世話になった○○です、という話をしたら、「あー!」と。

もしかしたら覚えてないけど思い出したふりをしてくれたのかもしれない。

でも、ほかのクラスメイトの話とかをしたら、けっこうちゃんと覚えてくれていたから、そんな子もいたなあ、くらいは思ってくれたのかも。

 

それで、S先生と再会できたこと自体凄くうれしいできごとなんだけど、その後授業参観の日とかにおしゃべりをしているときにK先生の話を出してみた。

すると、もう結婚してすこし離れた町で暮らしている、ということを教えてくれた。

じぶんが当時K先生にしてもらったことでどれくらい人生が変わったのか、とかそういうことを話しているうちに、連絡先を教えてもらえることになった。

 

アドレスを教えてもらって、メールを打つ文章を考えているあの時間。

なんかこう、昔の恋人にいまさらだけどあのときの感謝やらなんやらを伝えようとしているみたいな、へんな感じで、つめたい汗をかいた。

 

だって、S先生みたいにあんまり覚えてなくて、困ったような反応をされたらどうしようとか、迷惑じゃないだろうかとか、あんまり考えないなりに考える。

 

でも、このことくらい、ちゃんとご本人に伝えたいと思うこともない、と思っていたので、意を決して、ほどよく長く、ほどよく素っ気ないメールを送信。

 

つづきは明日また書きます。