前回の続き。
K先生にメールを送信すると、数時間で返信が。
絵文字がたっぷりの、やさしい文面でうれしかった。
先生のおかげで本が好きになり、そして、先生にしてもらったこととおなじことをしたいと思い、司書になりました。
とかそういうことも書いた気がする。
いつか、じぶんもだれかに言ってもらいたいことばランキング4位くらい。
K先生は『夏休み』をおすすめしたことについてはあんまり覚えていないみたいだったけど、そりゃそうだと思う。600人くらいいる生徒のうちのひとりでしかないし、K先生からしてみれば、なにか特別なシーンだったということもないので。
でも、後になってみれば、あの瞬間ほど特別な瞬間はなかったってことがわかるから、人生ってふしぎ。
リアルタイムでは気づかないある場面が、実は人生にとってとても重要なワンシーンかもしれないっていうのを思うと、日々の何気無いできごとも見る目がちょっと変わる。
お互いの近況報告なんかをして、やりとりはしばらく続いた。
それで、これは直接感謝の気持ちを伝えたいなと思い、ご飯に誘うとすぐにOKの返事が。実家に子どもをあずけて、その足で来てくれるという。
ほどほどにおしゃれなお店をとって、十数年ぶりの再会。
K先生の顔を見た瞬間に、あのころの感じが全身に流れて、懐かしさでいっぱいになった。そうそうこの話しやすくて気さくで、でも誠実さがにじみでている人がら、って。
ご飯を食べながら、司書の仕事についてだとか、当時の裏話だとか、いまの子育ての話だとか、いろんなことを話した。
もちろん、いつかじぶんもだれかに言ってもらいたいことばランキング4位のことばもちゃんと直接言って、お礼と、感謝の気持ちをお伝えした。
当の本人の方では、じぶんはそんな大したことはしていない、という感じだったけど、そんな大したことをしていただいたのですよ、とそこだけは反論。
『夏休み』という本についても、どういう本だったかなあというくらいだったけど、でも、それって逆にすごい。心底自信のあるおすすめの本を紹介した、っていうんじゃなく、なんとなく紹介した一冊の本が、ひとりの生徒の胸をうった。
それだって十分すぎるくらい奇跡的なことだと思う。
K先生は昔もそうだったけど、聞き上手で、でも、楽しそうに話もしてくれて、その日もとても楽しかった。
中学生のとき、じぶんは全然読書をしない生徒だったけど、それでも図書館に行っていたというのは、K先生がそこにいたから、に違いない。そして、だからこそ、じぶんの人生を変えてくれたあの瞬間が生まれた。
じぶんもいま学校司書をしているからよくわかるけど、それってものすごく難しいし中学生相手ならなおさら大変なことだと思う。
K先生は間違いなく、素敵な司書の先生だった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、いま一度お礼を言って、さようならをした。
ひとはひとと出会って常に変わり続けるものだけど、だれと出会うかということをじぶんで決められるわけじゃない。
だからK先生と出会えたことは、ほんとうに幸せなことでした。
もしも出会いを決める神さまがいるのなら、この場をかりて、お礼を言いたい。
ありがとうございました。
なんか、同じようなことばっかり言ってる気がするけど、まあ、いっか。
このブログは、そうやって本、読書を好きになったひとが書いているのです、という宣言でした。
長々とだらだらとした記事を読んでいただきありがとうございました。
では。