本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

大人にもおすすめしたい絵本2

『パパとわたし』

マリア・ウェレニケ・作 宇野和美・作

光村教育図書

 

 

 

あらすじを少しくらいは書きたいと思うのだけど、

この作品については、なにも書けない。

 

文章自体がとても短い。

それに、物語らしい物語も、ほとんど、ないに等しい。

 

でも、読み終えた後に、深く、濃密ななにかがたしかに心に残っている。

 

その理由を考えることを、あらすじの代わりにしたい。

 

きっと、この作品の中のパパとわたしのような体験をしたことのない読者というのは、

数少ない、いや、限りなく0に近いのではないかと思う。

 

 

わたしはあそびたいのに パパはあそびたくない

 

パパははなしたいのに わたしははなしたくない

 

 

だれしもが、じぶんがこういう気分であるのに、

相手はそうじゃない、ということを一度ならず何度も経験しているはず。

 

子どもとおとな、子どもと子ども。

大人と子ども、おとなとおとな。

 

いろいろな組み合わせはあるだろうけど、

ひとがひととコミュニケーションをとる、ということは、そういうことのくり返し。

 

どんなに気の合う夫婦やふたごがいても、

いつもどんなときでも同じ気分ということはないだろうから。

 

ひととの距離のはかり方は

いつまでたってもわからない。

 

 

この本を読むと、記憶のなかに数限りなくあるそうした経験が、

景色を持たない思い出となってどばっとあふれてくるのかもしれない。

だから、ずっしりとした読後感がある。

 

物語はほとんどない、と最初に書いたけど、

固有名詞をもたないパパとわたしの「ときどきね」を読みながら

それぞれのじぶんの人生、大げさに言うと「物語」を読んでいることになる。

 

だから、あらすじが書けない。

そんな絵本はほかに読んだことがないのだけれど、

絵本の世界は広大だから知らないだけかも。

 

個人的好きな絵本ベスト5に入る、大人におすすめの絵本。

 

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