『サウスポー』
ジュディス・ヴィオースト・作 金原瑞人・訳 はたこうしろう・絵
文溪堂

- 作者: ジュディス・ヴィオースト,金原瑞人,はたこうしろう
- 出版社/メーカー: 文溪堂
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 大型本
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リチャードの元に、もと友だちのジャネットから手紙がとどく。
たんじょう日パーティによばなくていいから、とか、かしたディズニーランドのトレーナーをかえして、とか、怒りの文面。
怒っている理由は、リチャードがキャプテンをやっている野球チームに入れてもらえないから。
今度は、ジャネットの元に、もと友だちのリチャードから手紙が届く。
トレーナーは返すけど、そのかわり、マンガをかえして、と書いてある。
まだ読みおわってなくても。
それから、チームはずーっと男のチームだったんだから、じぶんがキャプテンのあいだは、ぜーったいに女は入れない、とも。
手紙のやりとりは続く。
もと友だちのジャネットは、いかにじぶんが怒っているのか、そして、いかに野球が上手で、だから負けてばかりのリチャードのチームに入れたほうがいいことを、皮肉まじりに書く。
もと友だちのリチャードは、すこしおされぎみで、でも、負けじと言い返そうといじわるなことばとつよがりなことばを書く。
もと友だちのジャネットが、勢いあまってかなり辛らつなことを書いてしまったのをきっかけに、手紙のやりとりの様子が変わっていく。
皮肉やつよがりばかりでなく、正直な気持ちがにじみ出しはじめる。
しだいに、リチャードは、キャッチャーだったらやらせてもいいかな、と思うように。
でも、ジャネットは、ピッチャーがいい、とゆずらない。
メンバーが引っ越したり骨折したりしたから、ジャネットをチームに入れて、外野を守らせてあげてもいいかな、と、リチャード。
でも、ジャネットは、ピッチャーがいい、とゆずらない。
ふたりの距離が、少しずつちぢまっていく。
手紙の文面がやわらかくなっていくのに比例して。
感想
とにかく、意地をはったりいじわるなことを書いたりしちゃうふたりの子どもっぷりが可愛らしい絵本。
それが、手紙形式で、文面のみのやりとりでの表現されているというのがまた素晴らしい。
はたこうしろうさんによるえんぴつタッチの絵も素晴らしい。
ふたりの表情に、動きに、雰囲気にいやされる。
お互いに、ほんとうの気持ちをその裏にかくすように
強がりを表に全面に出したりして、ヒートアップした末にどちらかが泣いちゃったりして。
だれの子ども時代にも通じるようなほほ笑ましいやりとり。
自分用にも、プレゼント用にもおすすめ。
時々、読み返したくなる絵本。
