『まないたにりょうりをあげないこと』
シゲタサヤカ 作
講談社
ある日、ひとりのコックが大変なものを目撃してしまった。
それは、まないたがエビを食べる瞬間……!
おどろきの声をあげても、だれも相手にしない。
それもそのはず、そこは町で一番人気のレストランなのだから。
みせじまいをしたあとで、コックはもう一度、まないたの上にえびを置いてみた。
すると……ムシャリ!
まないたの上の食材を、よくこっそり食べているのだとまないたは白状する。
さらに、このレストランの料理を食べてみたい、とコックにお願いまでする始末。
次の日から、コックはみんなの目をぬすんでは、まないたに料理を少しずつ食べさせてあげるように。
でも、そのうちにまないたの様子が変わっていき……。
まないたはいったいどうなってしまうのか。
そして、すべてがバレてしまったとき、コックはどうするのか。
感想
遠くからでも見やすく、わかりやすい絵のタッチがいい。
どこかにページの切れ端が落ちていたとしても、シゲタサヤカさんの本だって、すぐにわかるような。
読み聞かせをするときには、こういうのが意外と大事だと思う。
細かい描きこみや遊び心が多いのは、手にとって読んでもらいたい本。
それから、物語もわかりやすい。それに、なにより、おもしろい。
まないたが食べものを食べたらどうなっちゃうんだろう、と思ったことがあるひともないひとも、みんなが楽しめるストーリーになっている。
想像がふくらみ、現実の世界を見る目に「楽しさ」が加わるかもしれない絵本。
じぶんが料理をしているまないたが、もしも、見ていないすきに食材を食べていたら、って、考えるだけで楽しい。
絵本においては、楽しい、ということはやっぱり一番大切だと思う。
絵本に限らず、かもしれないけど。
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