『いじわるなないしょオバケ』
ティエリー・ロブレヒト:作 フィリップ・ホーセンス:絵 野坂悦子:訳
出版社/文渓堂

- 作者: ティエリーロブレヒト,フィリップホーセンス,Thierry Robberecht,Philippe Goossens,野坂悦子
- 出版社/メーカー: 文溪堂
- 発売日: 2009/06/01
- メディア: ハードカバー
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ママのへやにはいいものがいっぱいあるけれど、ひとつだけ、さわっちゃいけないものがある。
それは、引き出しにしまってある、しんじゅの首飾り。
さわってみたくなったサラは、こっそりママのへやにしのびこみ、首飾りを手に取った。
けれど、首にまいたとたんに、ぷちん。
しんじゅがへやじゅうに転がった。
どうしよう。サラはしんじゅを集めて、ひきだしのうしろに隠してしまう。
次の日、サラがしずかにしていると、口からオバケがとびだした!
オバケはこわした首飾りのことをうたっているけど、ママには聞こえないし、オバケの姿も見えないみたい。
ねむれないよる、ベッドのまわりをぐるぐるしているオバケに話しかけた。
すると、オバケは、みんながないしょにしたいことばをくりかえす、ないしょオバケだという。
次の日も、サラはママにうそをついてしまう。すると、また新たなオバケが口からピョコン。
次第に、サラのまわりにないしょオバケは増えていく。
もういやだ。
サラは、本当のことを言えるのか。ないしょオバケはどうなっちゃう?
感想
悪いことをして、それを隠そうとうそをつく。
うそがまた次の問題を生み、また違ううそをつく。
うそは積み重なって、心が、そのうそに押しつぶされそうになっていく。
そういう経験は、きっと、だれしもが持っているのかも。
子どものころって、勢い余ってついなにかをしでかしちゃって、そのあとなにをするのが一番良いのかわからなくって、つい隠したり、なかったことにしてしまったり。
うそをついて、ひとを傷つける、ということももちろんある。
このサラのように、じぶんのついたうそで、じぶんが苦しみ、身動きが取れなくなる、ということも。
経験から多くのことを学ぶだろう子どもたちが、ほかの子もじぶんと同じようにうその重荷を知っているということに触れる。それは、現実ではなかなかまれな機会。
この絵本は、そういうきっかけをくれる。
うそ、や、かくしごとについて、子どもと考えるのにおすすめ。
読書感想文にもぴったりの一冊。
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