いきなりですが、恥ずかしいことにこれまで、世界史をきちんと勉強したことがないのです。
それで、いい大人だしいまからでも勉強しておきたいなあ、と思い、書店の歴史コーナーへと。
これもいいかも、こっちも、また別の日に書店に行くと、こんなものも出ていたのか、と、よさそうなものを購入。
気づいたら、本棚には大量の世界史の本が……。
たぶん、一冊の本をしっかり読みこんだ方が、よっぽど頭に入るんでしょうが、買ってしまったものは仕方がないので、それぞれの本についての特徴を書いてみます。
〇一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた
- 作者: 山?圭一
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/08/18
- メディア: 単行本
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最近出た本で、書店でも平積みされているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
この本の特徴としては、まず、年号を一切用いていないということ。
これは画期的、と言っていいのでしょうか。とにかく、ほかの世界史の本ではあまり見かけないスタイルです。
でも、実際に読んでみると、いちいち色んな数字が出てこない分、出来事や流れを意識して読むことができるような気がしました。
というのも、各章が、ヨーロッパ、中東、インド、中国~、といったように、地域ごとに分けて書かれているからでしょう。
世界史がわかりにくい、勉強しにくい、ということの理由のひとつに、場面があっちに行ったりこっちに行ったりで、混乱しやすい、という点がよく挙げられているかと思います。
そのわかりにくさを、この本は地域ごとの章立てにより、カバーしています。
また、いわゆる学校の教科書のように、ただ出来事を羅列していくだけの、無味乾燥の文章ではなく、結果における原因、背景等も書かれているため、すっと頭に入っていきやすくなっています。
正直な話、買ったばかりでまだ全部読めていませんが、流れを頭に入れる、という点ではこの本はかなりわかりやすいと思います。
受験勉強等では、この本で全体の流れをつかんだ後で、年号を覚えていく、というやり方もありではないでしょうか。
〇エリア別だから流れがつながる 世界史
こちらは昨年出版された本で、現在も平積みされている書店を見かけます。
特徴としては、最初に紹介したものと同様に、①エリア別の章立てとなっている、ということが、タイトルにもなっているように、この本の第一の売りのようです。
また、カバーのそでに書かれていますが、
②近現代史重視の構成
③地図・年表・写真・チャートが満載
④メディアコラムで歴史好きに
⑤欄外コラムで同時期の出来事もわかる
という特色も備えています。
②の写真や地図等がふんだんに使われている、というのは、自分のような世界史初心者にとってはかなり助かります。
イメージをしやすかったり、記憶の助けになったり、他の本は文章ばかりで読む気がそがれる、というひとにもやさしい作りです。
また、いろいろな出来事に関連した映画や漫画、小説などの紹介・ガイドが所々についているのが面白いです。
映画や漫画がお好きな方なら、これ知ってる、という作品もあるでしょうし、こんなのもあったんだ! という発見もできそうです。
⑤の欄外コラムだけでなく、ページの右下には、このページの時代がわかる細かい配慮があったり、ページごとのポイントが載っていたりと、全体的に、とても親切な本という感じがします。
流れを把握しながら、人物や出来事、様々な名称や年号を頭に入れていく、ということができる本だと思いました。
小難しい説明もないので、読みやすさという点でも好評価の一冊です。
〇2時間でおさらいできる世界史
先ほどの本では監修をされていた、祝田秀全さんの本です。
後にも出てきますが、祝田さんは多くの歴史の本を執筆されています。
こちらは2012年発行です。
良いところは、文庫本であること(安い!)、と、代々木ゼミナールの講師をされていた祝田さんが、生徒に語るように書かれている饒舌体の文章がまっ先に挙げられます。
多くの本がかしこまった(というか、ふつうの)文章で書かれている中で、この本はとにかくくだけています。
ボクだったら「国際救助隊、発進してぇ~!」って叫んじゃいますよ。
というような、作者の声がだだ漏れの形で進んでいくのが大きな特徴です。
硬質な文章に嫌気がさしている、という方にはおすすめです。
写真等はありません。
地図と図表が時おり出てくるぐらいで、とにかく、祝田さんの喋りを聴くように読んでいく、という感じです。
全体としては、時代ごとに各章が進んでいきます。
各章の中で、地域が移りながらの説明なので、ヨーロッパの話を読んだ後で、また西暦が戻って、今度は中国、という形。
こういう、エリアと時代が飛んでわかりにく! という方は、先に紹介した二作品がいいかもしれません。
一番のおすすめポイントはやはり、随所にちりばめられたユーモアあふれる解説でしょう。ここまでくだけなくても、というくらい、くだけています。
楽しみながら世界史を勉強したい、という方にはこの本をおすすめします。
〇忘れてしまった高校の世界史をマンガで復習する本
こちらはマンガで世界史を学べる本です。
祝田秀全さんが監修・原案を担当されています。作画は絶牙さん。
なんといっても、マンガであることに尽きます。
文章だけの本じゃちっとも頭に入ってこない。でもマンガなら……という方はこの本をおすすめしたいです。
全体としてはこちらも時代の流れに沿って進んでいきます。
各章ごとに幾つかのエリアでの出来事が描かれます。
ポイントとなるような出来事がマンガになっており、その後、補足・解説として、文章での説明もあります。
また、各章ごとに年表も記載されているので、流れを復習するのにも使えます。
解説役の姉史子と、天然で様々なコスプレ姿を見せながら世界史を勉強する妹しおり。
ふたりのどたばたを読みながら世界史の勉強ができます。
しおりが質問をしながら進めてくれるので、読者はしおりと同じような立ち位置でふんふんと史子の解説をきけます。
網羅している内容が足りない、という方は、この本+別の本という形でカバーしていただければいいかと思います。
〇最速で身につく世界史
こちらはTBSのプロデューサーである角田陽一郎さんによる本です。
他の本との一番の違いは、キーワードで語られている、ということです。
例えば「商人」「征服」「発見」「約束」などといったキーワードが24用意されており、それに関連した内容で、世界史の出来事が語られています。
最初に紹介した本と同様、この本も年号はほぼ出てきません。
各章ごとに注目する地域が変わるので、基本的には時系列となっていますが、やや前後したりもします。
わずかに地図が出てきますが、ほとんどが文章です。
決まったキーワードを中心に、その地域のその時代について語られているので、まとまりを意識しながら学ぶことができそうです。
また、一神教と多神教の違いについての説明の部分では
敬愛するアーティストがソロアーティストかグループかってのと同じ感じですね。
とあるように、解説の仕方が独特なのもこの本の特徴かと思います。
TVのプロデューサーならでは、ということでしょうか。
テーマやキーワードを重視した勉強の仕方をしたい、という方にはこの本がおすすめです。
〇最もシンプルな世界史のつかみ方

最もシンプルな世界史のつかみ方 メソポタミア文明から現代まで――世界を動かす軸が見えてくる
- 作者: 祝田秀全
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/08/24
- メディア: 単行本
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またまた登場です、祝田秀全さんの本。
比較的新しい2017年発行です。
こちらは、第一章に書かれている「世界史に人物名はいらない!」とあるように、世界史をなるべくシンプルにとらえようとしたらこうなった、という本のようです。
各章の中で、地域ごとにその時代の状況が語られています。
そして、わかりやすさという点では「なぜ〇〇は〇〇なのか?」というような問いが投げかけられ、それに対する答えが続く、という形が所々に出てきます。
単純に、出来事があった、というだけでなく、どうしてそういう結果になったのか、というのを詳しく教えてくれます。
地図等はわずかです。
基本的には文章で、淡々と時系列に沿って出来事が書かれています。
ごちゃごちゃせずに、シンプルに世界史を学びたい、という方向きかもしれません。
〇ゆげ塾の構造がわかる世界史
受験世界史専門の名門塾ゆげ塾の講師ゆげ先生という方による本です。
この本はマンガであるということ、それから、他の本のように世界史全体を網羅的に解説してはいないということ、が特徴です。
部分部分をマンガにし、背景や構造的なものを理解するための手助けになる、という点が大きな違いかと思われます。
「なぜ、フランスは原発大国なのか」や「なぜ、アメリカは銃を持つのか」、「なぜ、カトリック教会は2千年以上続いているのか」等、焦点を絞って描かれています。
なので、まずは他の本で全体的な流れを把握・理解した上でこの本を読むと、より、その出来事の背景や構造がわかる、という感じかもしれません。
マンガなので、読むのに時間もかかりません。
マンガはけっこうセクシーな絵もあったりして、そこは好みが分かれるところかもしれませんね。
事実として知っていたことも、へえーそういう背景で、こういうことになっていたんだ、という記憶に残りやすいという点では役に立ちそうです。
〇つながる世界史 現代史の集中講義2017~2018年版
こちらは代々木ゼミナールで教鞭をとる佐藤幸夫さんの本です。
早慶上智対策のスペシャリスト、だそうです。
この本は、タイトルにもあるように、現代史(第二次世界大戦後)に重きを置いた世界史の本です。
それより前のことは、現代史を語る上で、必要最低限のことだけが書かれている、という印象です。
戦前より前のことをある程度勉強した上で、現代史をもっと詳しくやりたいという方向けの本と言って差し支えないと思います。
基本的には戦後の世界がどう動いていったのかが、地域ごとに語られています。
──国際連合の構想は、いつ頃から始まったんですか?
というような、聞き手による質問があり、それに対して解説をしていく、という形で、それぞれのテーマごとに話が進んでいきます。
重要語は緑色で書かれているので、現代史対策の受験勉強等によさそうです。
この本はなにより、現代史において、他の本では絶対に取り扱っていないような部分までカバーできる、というのが強みです。
世界史全体のことはだいたいわかった。でも、現代史の部分がまだ足りない、というような方にもってこいの本です。
世界史の最新時事解説が読める電子書籍も付いてくるそうです。
〇まとめ
ざっくばらんな説明となってしまいました。
どの本も、それぞれにコンセプトがあって、あとは、読者の好みによるところが大きいのかなあという感じです。
気になったものは書店で実際に手にとってみて、中をご覧になった上で決めていただければより確実かと思います。
長々とお読みいただき、ありがとうございました。