本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

現役学校司書が考える、子どもと本と学校図書館の現状について

昨日投稿した記事が、たくさんのはてブをいただきました。

多くのコメントも。

はてブやコメント、スター、ツイッターでRTしてくださった方々等、本当にありがとうございました。

nahdaan.hatenablog.com

話題になってもうしばらく経つので、あれかなと思ったのですが、思うことを書いてみてよかったです。

 

 

はてブの方にコメントくださった方々にどう応えていけばいいのかわからないので、これから少しずつ、記事で触れさせていただきたいと思います。

へんちくりんな学校司書が、また好き勝手なことぼやいてんなくらいに読んでいただけると幸いです。

 

 

〇表紙絵や挿し絵についてのそもそも

児童書に挿し絵が多く使われている、というのは、低・中学年向けの読み物を数冊開いてみると、その理由がわかる気がします。子どもは大人と違って、実際に見てきた風景や、肌身を通した経験というのが絶対的に少ないです。

 

本には様々な場面があり、そうした状況を想像することこそが、読書、活字を追う楽しさだと言う大人もいる気がしますが、それは、大人だから言えることでしょう。

 

たしかに、子どもというのは想像力豊かではあると思います。

でも、文章を読み、それを頭の中で風景として変換するというのは、想像力だけではなく、ある程度の読書経験や、人生経験も関わってくるのではないでしょうか。

 

 

私自身、海外文学を読んでいるとき、ピンとこないような風景描写や、日本とは大きく異なる風習などに、いまいち情景が浮かんでこないことがあります。それは、自分の想像力不足というのもあるのでしょうが、経験としての風景や風習のストックが心にないからというのも原因の一つだと思っています。

 

だからこそ、ファンタジー小説は、特に、多少の挿し絵があることで、その誰も知らなかった世界観の一部を心にストックし、それをヒントに後の情景を思い浮かべるということができるようになっています。(全然挿し絵がないのもありますし、挿し絵がないファンタジーでも、想像できたりもしますが)

 

 

そんな、想像力の助けとなる挿し絵だからこそ、低・中学年向けの読み物には多くのページに使われているのは当然だと思います。

 

 

そして、それでは、高学年向けの読み物にも挿し絵は必要なのか、表紙にわかりやすい絵は必要なのか、ということを考えると、子どもたちの側に立ってみれば、必要な場合もあるし、そうでない場合もある、ということになるでしょう。

 

高学年になればもう、大人向けの小説をすらすら読んでしまう子もいます。そういう子にとっては、(想像力という点では)絵はそれほど重要ではないのかもしれません。

でも、すべての子どもがそうというわけではもちろんありません。

 

長い本を読むのが苦手だという児童にとっては、高学年向けの本というのは、かなりハードルが高いです。絵はない。字も小さい。先も長い。はあ……という感じになったときに、少しでも、面白そう、という感覚の糸口になり得るのが絵、挿し絵なのかもしれません(あらすじ、や、友だちのすすめ、等もあります)。

 

難しそうだけど、絵がいい感じ。面白そう。となって、手に取ってページをめくり始めたときに、絵や挿し絵があれば想像しやすいです。

そうやって、長い本にチャレンジするきっかけが生まれる、ということも、少なくはないのではないでしょうか。

 

 

最近の表紙絵は、物語の世界観を想像するのに邪魔という意見を目にしたことがあります。

たとえば、想像力をめちゃくちゃ刺激する(?)表紙絵で、でも2ページでいやになってしまうのと、わかりやすい絵をその子なりに心で消化しながら、作品を読み通してもらうのだったら、どちらがうれしいでしょうか。

 

読める子でしたら、どんな絵でもいいと思うんです。

でも、杖が必要な子もいて、そういう子の気もちに近づいてあげられる、というのが、アニメ風の絵が人気になった理由の一つかもしれません。

 

とはいえ、これはかわいくしすぎでしょう、とかそういうのは、個人の好き嫌いのレベルで数限りなくあるでしょうし、わからないなりに頑張って想像する、チャレンジするということも、ときには有益ではあるかと思います。

 

〇貸出制限に見え隠れする本音について

破損の多い低学年になるべく貸し出したくない、というのは、とんでもない話です。でも、そういう司書もいるかもしれません。

一年生は園児の毛が生えたようなもので、子どもによっては悪いことを悪いことと認識できない児童もいます。

 

でも、たいていは、きちんと順を追って、ここはどういう場所で、ここにある本はどういう本で、どういうルールがあるのか、ということを話しておけば、まっすぐに受け取ってくれます。

それでも、破損はします。

いまの勤務校でも、毎日のようにページがとれただの破れただのと言って、子どもたちが本を持ってきます。

 

でもそれは古い本だったり、多くの児童が読んでくれたりしたからこその破損というのも、最近よく思います。

受入しても一度も読まれないまま何年も、という本も、図書館にはあります。やっぱり、入れたからには子どもに読んでほしいですし、となると、多少の経年劣化ややむをえない汚損というのは仕方がないところもあるでしょう。

 

ある意味、図書館の本をリフレッシュしていくためには必要な犠牲(変な言い方)とも言えます(汚損がないのにこしたことはありませんが)。

絶版とかでない限り、もう一度受入し直すということもありえますが、そうでなければ、より新しい情報だったり、よりいまの子どもたちが必要としている本を入れます。

 

汚損がなくても、除籍しなければいけない本はたくさんあります。

司書の方々にとって、その選択はかなり悩ましいものだとどこの図書館でも思ってらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

汚損の話になってしまいましたが、個人的には低学年にはどんどん本を借りていってもらいたいです。

ほとんどの本が、初めて出合う本。

どんな本が面白いのかも、自分がどんな本を求めているのかも、何も知らない子どもたちには、やっぱり、より多くの本に触れる機会があった方がいいと思うのです。

 

 

 

 〇学研まんがひみつシリーズについて

学研まんがひみつシリーズについては、司書が集まる場でたまに話題に上がります。

あのシリーズ、現在では、各学校図書館に一冊、寄贈という形で送られてきます。なので、注文しなくても、どんどん、ひみつシリーズが図書館に増えていきます。

 

それら全部を棚に入れようと思うと、大変なことになってしまうくらい、けっこうな頻度で送られてくるので、学校によっては、蔵書にはせずに学級文庫(廊下にあるような本棚)に入れる、としている所もあります。

前に勤めていた学校では、貸出禁止の棚に置かれていました。

 

あのシリーズ、面白いですし、社会や理科の勉強になったり、いろいろな知識を得られることは間違いないと思います。

ただ、いかんせんシリーズが長く、本も多いので、貸出をOKにすると、ひみつシリーズばかり借りていく子が一定数現れる、という不安もあるにはあります。

とはいえ、それはひみつシリーズに限ったことではないはずです。

サバイバルシリーズ15巻セット【基本編】 (科学漫画サバイバルシリーズ)

サバイバルシリーズ15巻セット【基本編】 (科学漫画サバイバルシリーズ)

 

子どもたちに人気のサバイバルシリーズや、ドラえもんやコナンの学習まんがシリーズも同じようなものですが、こちらを貸出禁止にしているところはあまり聞きません。

ドラえもん科学ワールド(既17巻セット)

ドラえもん科学ワールド(既17巻セット)

 
名探偵コナン推理ファイル(既18巻)

名探偵コナン推理ファイル(既18巻)

 

貸出禁止にするくらいなら、積極的に受入もしていないのでしょうけども、それでも、書店に行けばいくらでもあるので、図書館にそれを求める子どもはいるでしょう。

 

一番の違いは、というと、やっぱり、学研のひみつシリーズはこちらが注文しなくても送られてくる、というところだと思います。

そこに、(頭の固い)学校司書はひそかに怒り、うっとうしがり、素直に接することができなくなっている、のではないでしょうか。

 

自分が選んだものならいいけれど、親に次から次へと買い与えられたものにはなんとなく嫌悪感を抱く、というようなものかもしれませんね(違う気もする)。

 

ひみつシリーズは図書の時間に読むのは禁止、という先生もいます。

一応、国語の時間なので、そこは物語や文章を読んでほしいという意図があるのでなんともいえません。

 

 

「人は自分が思春期に触れたものを神格化する」というのは、きっと、誰にでも起こりうることですよね。

それを自分のものとして心の中で大事にするのか、他の人に対しても同じようにしてほしいと押しつけるのか、が分かれ目という気がします。

 

だいたいの人は押しつけないでしょうけども(?)、押しつける人というのは決まって声が大きいのでうるさいですよね。

 

 

パターナリズムという言葉、初めてききました。

勉強になりましたありがとうございます。

 

〇男子におすすめの日本の児童書について

児童書は少女優位、というのは、言われてみればと思いました。

男の子が「読みたい!」と思うような本は、日本ではそんなにあれこれ挙げることができません(自分が知らないだけかもしれませんが)。

 

個人的に、男子におすすめするのなら、岡田淳さんの本でしょうか。

ゲームが好きな男子には『選ばなかった冒険 光の石の伝説』をよくすすめますし、『二分間の冒険』も自信を持っておすすめできます。 

選ばなかった冒険??光の石の伝説 (偕成社文庫)

選ばなかった冒険??光の石の伝説 (偕成社文庫)

 
二分間の冒険 (偕成社文庫)

二分間の冒険 (偕成社文庫)

 

ヒロイン(同じクラスの口の悪い女子)を助けるために逆立ちのとくいな男子が頭を使う『ポアンアンのにおい』なんかも、ハラハラドキドキします。

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

 

薄くはないので、そこで尻込みしてしまう可能性はあるのですが、数十ページ読めばその面白さにひき込まれる、という期待をしつつ。

 

 

それから笹生陽子さんの小説も男子におすすめできます。

『きのう、火星に行った。』は、やる気のなさアピールをするような男子に喝をいれてくれるかもしれませんし、『楽園のつくりかた』は、読後、登場人物たちが友だちになったような気分を味わうことができるかもしれません。

きのう、火星に行った。 (講談社文庫)

きのう、火星に行った。 (講談社文庫)

 
楽園のつくりかた (角川文庫)

楽園のつくりかた (角川文庫)

 

現代の子どもを最もリアルに書いている作家はだれ? と聞かれたら(そんなこと誰も聞いてはきませんが)、真っ先に笹生陽子さんを挙げます。

 

本好きの間でもあまり名前が挙がらないのがさみしいところですが、児童文学好きとしてイチオシの作家さんなので、よければチェックしてみてください。

 

 

またまとまりのない記事になりました!

子どもと読書について、いろんな方の意見が聞けるとうれしいです。

 

子どもが少しでも図書館や読書を楽しんでくれるようにと企画したり作ったりしたものの記事も、よければ覗いてみてください。

nahdaan.hatenablog.com

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それから、読書が好きな方々にぜひやってみてほしい遊びです!

よければ暇つぶしにためしてみてください。

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