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読み聞かせにおすすめの絵本26『ねむるまえにクマは』

『ねむるまえにクマは』

フィリップ・C・ステッド:文 エリン・E・ステッド:絵 青山南:訳

光村教育図書

ねむるまえにクマは

ねむるまえにクマは

 

冬が近づいてきて、ねむくなってきたクマでしたが、ねむるまえに、みんなに話したいことがありました。

 

そこにいたネズミに話しかけてみますが、ネズミは「木の実を集めておかなくちゃ」と、いそがしそうです。

クマはネズミといっしょに木の実をさがし、集めおわると、ネズミは「じゃあ、またね!」と言って、土の中にもぐっていきました。

 

森の中を歩いていくと、カモがいたのでまた話しかけました。

「南のほうへいかなくちゃ」とカモが言うので、クマは風向きをしらべてあげ、飛んでいくカモを見送りました。

 

カエルも、モグラも、クマの話をきいてはくれませんでした。

 

やがて冬が来て、雪がふりはじめます。

 

クマくんの話はだれかにきいてもらえるのでしょうか。

そして、その話したかったことというのは、なんだったのでしょう。

 

 

 

感想

秋から冬にかけての、しんとした空気感が伝わってくるようなしずかな絵本です。

だれでもいいから話をきいてほしい……! でもだれもきいてくれない。

そんなクマの哀愁が終始漂い、応援したくなってきます。

 

えんぴつや水彩絵の具で描いたような(違っていたらすみません)やさしいタッチの絵がたまりません。

生まれ変わったら、こんな風に絵を描いてみたいものです。

 

お話は冬を迎えたあとから、ゴールに向けて、少しずつ緊張を高めていきます。

どんな話をしてくれるんだろう。

みんなに話したかった話って、いったいどれだけ面白い話なんだろう。

 

そのふくらんだ期待に、作者は、ラストでとてもしっくりくるような、意外性たっぷりのような1ページでこたえてくれます。

じーんときました。

 

たしかに、それはみんなに話したくなる話かもしれないなあ、と。

 

冬が近づいてきた夜に、毛布にくるまって読みたい一冊です。

 

 

ちなみに作者は夫婦です。

夫婦でこんな素敵な絵本を作っているなんて、きっと素敵な夫婦に違いありません。