本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

学校図書館のオリエンテーションで、子どもたちに知ってほしいこと

新年度の最初の授業は、どこの学校図書館オリエンテーションをしているかと思います。

学校司書になってまだ三年目ですが、この、オリエンテーションの時間をどう使えばいいものかと悩んでいました。

たまたまある日岡田淳さんの『ポアンアンのにおい』という本のあとがきを読んでいて、これだ! という自分なりのやり方を見つけたので、今日はそれを紹介します。

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

 

〇流れをざっくりと

子どもたちの前で、「これからちょっとしたクイズを出します」と言ってはじめます。

 

まず、ポケットから画びょうの入ったケースを取り出してみせます。

それから、今度はケースから画びょうをひとつ取り出してみせます。

 

「この画びょうはケースの中に入っていた。つまり、画びょうよりもケースの方が大きいよね」というようなことを言います。

子どもたちはうんうんとうなずいてくれます。

 

次に「このケースはポケットの中に入っていた。つまり、ケースよりもズボンの方が大きいよね」と言います。

子どもたちはうんうんとうなずいてくれます。

 

「じゃあ、このズボンよりも大きいのは?」ときくと、子どもたちからはいろんな答えが返ってきます。

「学校!」とか「町!」とか「教室!」とか「地球!」とか、好き放題言います。

 

「ゆっくりいこう。ズボンをはいてる先生はこの教室の中にいるから、ズボンよりも教室の方が大きいね」と言うと、うんうんとうなずいてくれます。

 

「じゃあ教室より大きいのは?」「学校!」「学校の中に教室は入ってるもんね」

 

「じゃあ学校より大きいのは?」「町!」

「町より大きいのは?」「地球!」

「地球より大きいのは?」「宇宙!」

 

 

「宇宙より大きいものってあるかな?」

子どもたちはなんとしてでも大きいものを思いつこうとしますが、いいものが浮かんできません。

「やっぱり宇宙かなあ? じゃあここで、みんな目をつぶって」

 

子どもたちが目をつぶったら「頭の中に、宇宙に浮かぶ地球を想像してみてください」と言います。

 

「想像できた?」「できた!」

「地球はどんな色?」「地球の周りはどんな風かな?」「ずっと遠くはどうなってる?」

 

子どもたちがあれこれ想像を膨らましただろうところで「それじゃあ目を開けて」と声をかけます。

 

 

「ここで、みんなにクイズというか、質問です。この世の中で、一番大きいものってなんでしょう?」

 

子どもたちはいろんな答えを出してくれます。

ブラックホール!」「宇宙!」「太陽系!」

 

 

「ヒントはこれです」と言って、画びょうを見せると、子どもたちはうーんとうなったり、「あっ」とひらめいた声を上げたり。

 

 

そこで、司書は子どもたちの顔を見わたしてこう言います。

「答えはみんなの頭の中です」

 

「あぁ~なるほど」と言う子もいれば「えーなんで!」と言う子もいます。

「いま、みんなの頭の中に、一番大きいとしていた宇宙が入っていたよね」と言うと、ほとんどの子から「あぁ~」という声がきこえます。

 

「あんなに大きいはずだった宇宙が、そんなに大きくないみんなの頭の中に入ることができたのは、想像力という力のおかげです」

「さっき思い浮かべた宇宙は、輪郭がはっきりしていたり、ぼんやりしていたり、色合いがくっきりしていたり、それぞれに違っていたはずです」

「より大きな宇宙や、よりリアルな宇宙を頭の中に入れるために、なにをするのが効果的でしょう?」

 

「本を読むこと!」

「そう、図書館にはたくさんの、いろんな本があります。さっきの、宇宙のきれいな写真が載っている図鑑もあれば、めずらしい動物のくらしがわかる本もあります。そういう本を読むことで、頭の中の風景や物事が、どんどんリアルに、色もくっきりとしてきます」

 

「本を読むことだけがその方法ではありませんが、学校には朝や休み時間、好きな本を読むことができる図書館があります。ぜひ、楽しみながら、それぞれの頭の中を広げ、鮮やかにしていってください」

 

というようなことを言ったあとに、「そのためには、図書館の決まりを守らなくてはいけないので~」と貸出や過ごし方の決まりを復習したりします。

 

 

結構、無理やりなところもあるかもしれませんが、想像力は無限ということを感じてくれていそうな子どももちらほらと(心を覗けないのでわかりませんが)。

こういうのって、きっと、伝わる子には伝わっている、と信じるしかないんだろうなと思うようになってきました。

 

担任の先生からはわりと好評でした。

画びょうの部分はメガネでもなんでもいいと思います。

 

きっと、この話をはじめた岡田淳さんはもっと上手に子どもたちに話をされるのだろうなあ、と思います。

岡田淳さんは以前、小学校の図工の先生をされており、年度の最初の図工の授業ではいつもこの話を子どもたちにしていたそうです。

図工や図書館だけでなく、いろんな場面で使える話かもしれません。

 

そして、岡田淳さんの『ポアンアンのにおい』は最高にわくわくする小説なので、あとがきもそうですが、ぜひ本を読んでみてください。 

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

ポアンアンのにおい (偕成社文庫)

 
岡田淳ファンタジーの森で(全16巻セット)

岡田淳ファンタジーの森で(全16巻セット)

 

f:id:nahdaan:20181109224334j:plain