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読み聞かせにおすすめの絵本29『おおきな木』

『おおきな木』

シェル・シルヴァスタイン:作 ほんだきんいちろう:訳

篠崎書林

おおきな木

おおきな木

  • 作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,ほんだきんいちろう
  • 出版社/メーカー: 篠崎書林
  • 発売日: 1976/01/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 7人 クリック: 95回
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むかし、りんごの木があって……

ちびっことなかよしだった。

 

まいにちちびっこはやってきて、葉っぱや木のみきや、えだとあそび、木になっていたりんごを食べた。

 

ちびっこは木が大好きだった。

 

だから、木もうれしかった。

 

 

けれど、ときは流れてゆき……

ちびっこはすこしおとなになり、木はいつもひとりぼっちに。

 

 

ところがある日、その子がひょっこりやって来た。

木は、遊んだり、りんごを食べたりして、楽しくすごしておゆき、と言った。

でも、その子は、お金がほしい、と言った。

 

木は、じぶんになっているりんごをもぎとり、町で売ったらどうだろう、とこたえた。

 

そこでその子は、木によじのぼり、りんごをみんな、もいでいってしまった。

 

木はそれで、うれしかった。

 

 

だが、それからその子は長い間来なかった。

ところがある日……

 

 

 

感想

絵本が持つ力によって、がつんとなぐられたような気がした一冊。

であるとともに、言葉の奥深さを教えてもくれた思い出の一冊。

 

木と成長していく子どもとの交流が、たんたんと、静かに描かれていく。

子どもはすくすくと育っていく。

木とあんなに仲良しだった子どもも、おとなになっていくにつれ、木よりも大切なものが増え、なにかを忘れてしまう。

 

前半のあたたかでほんわかとした感じから一転、後半になると、心にはかなしい気もちばかりが積もっていく。

 

それなのに、

きは それで うれしかった。

という一文があり、それで、こちらはまた、かなしい気もちになっていく。

 

 

この本は、あすなろ書房から村上春樹さんの訳したものも出版されており、そちらの方が知っている方は多いのかも。

おおきな木

おおきな木

  • 作者: シェル・シルヴァスタイン,Shel Silverstein,村上春樹
  • 出版社/メーカー: あすなろ書房
  • 発売日: 2010/09/02
  • メディア: ハードカバー
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ほんだきんいちろうさんが訳しているものは、現在中古品のみの取り扱いに。

 

個人的には、最初に読んだのがほんだきんいちろうさん訳のものだったからか、そちらの訳の方がずっと心に響いた。

たぶん、村上春樹さんの訳したものがだめなのではなくって、自分の心にちょうどはまるような文章だったのが、ほんだきんいちろうさんの訳だったのではと。

 

二冊読み比べてみると、翻訳者というのがどれほど大切かがよくわかるので、そういう読み方も含めておすすめ。

 

 

絵本で、初めて、涙腺がゆるんだ一冊。

 

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