本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

楽しい×学べる 学校図書館のあり方を変えたい司書の地道な取り組み①

調べ屋さんという企画を始めました。

 

まず1・2年生が、普段生活していて疑問に思うことやふしぎだなあということを、用紙に書いてきてもらいます。

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たとえば「空はどうして青く見えるの?」や「宇宙ではどうして息ができないの?」といったような、素朴な疑問。

 

集まった質問は、掲示板に貼っておきます。

そして、それを見た3~6年生は、答えられそうな質問を選んで、「~さんの質問にお答えします」というカードに、答えを記入します。

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ここで重要なのは、必ず、本を使って、調べてから書くということです。

 

それなら知ってる、と思うことでも、実は間違っていたり、勘違いしていたりすることもあります。

そんな、間違った知識を1・2年生に教えてしまってはいけません。

なので、自分で答えられる質問にも、本で一度確認をしてから、答えを記入してもらいます。

答えの下の欄には、使った本の名前と、どこのページに載っていたかを書きます。

 

答えのカードは司書がチェックをして、OKであれば、掲示板の質問カードの横に貼ります。

1・2年生は自分の質問にだれかが答えてくれてうれしい、となります(たぶん)。

それから、この疑問は、こういう本を使えば解決できるんだと知ることができます。

 

一方、答える側の3~6年生の方が、労力が大きいです。

なので、調べ屋さんポイント(スタンプ)カードというのを作りました。

 

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質問にきちんとした答えを書いてきてくれた児童には、このポイントカードにスタンプが押されていきます。

 

スタートして、最初は初心者だったのが、「そこそこの調べ屋さん」になり、上級者を経て「調べ屋さんマスター」に。

最終的には「伝説の調べ屋さん」になることができます。

 

で、ただ名前だけもらってもあまりうれしくないと思うので、ランクアップするごとにプラス一冊券や、レアなしおり、絵本カバーで作った封筒等を報酬として受け取ることができる、という風にしました。

 

なので、質問により多く答えるほど良いことがあるので、調べてあげようという気になります(そうであってほしい)。

 

あまり、モノで釣るのもどうかと思ったりもしますが、現金な子どもたちです。そういうものがないと全然興味を示さなかったりします。

 

なので、あげるものはほどほどに、というのは意識しています。

 

 

学級単位の調べ学習というのがときどきあって、図書館の本を利用してくれます(最近ではパソコンという場合も多いですが)。

それももちろん、図書館利用の学習の一つとしていいと思いますが、ちょっと、型にはまったやり方しかできない、という印象があります。

 

みんなで同じようなことを調べたり、班ごとに調べたり、個人の調べる力に繋がっていきにくい面もあるような気がします。

それならば、図書館が、子どもたちに楽しみながら本で何かを調べる、というところに誘導するしかありません。

授業でやらされる、というのよりは、前向きで自主的に取り組めるかもしれません。

この企画は強制ではないので、参加をするのはやりたいと思った児童だけです。

切り捨ての思考というわけではありませんが、自主的に取り組むという姿勢を大切にしたいと思っています。

 

 

実際、子どもたちからはいろんな疑問・質問が出てきます。

「水はどうして冷たいの?」

「恐竜はどうしてぜつめつしたの?」

「女の人は赤ちゃんをうむのに男の人はどうしてうまないの?」

「お札にかいてあるひとはだれなんですか?」

「さつまいもを食べるとどうしておならがでるんですか?」

などなど。

 

それを読んでいるだけで、とても面白いです。

「宇宙人の目はどうして大きいの?」や「サンタさんの電話番号は?」といったような、調べることや答えを出すことが難しい質問については、こちらではじくようにしています。

 

水はどうして冷たいの? という質問にすぐに答えてくれた六年生がいました。

~度以上はお湯で、水は~くらいの温度とされている、なので冷たく感じる、というような答えを書いてきてくれた彼には、盛大に拍手をしたくなりました(図書館なので控えめにしました)。

 

 

そんなわけで、1・2年生はいろんな疑問が解決でき、3~6年生は図書館グッズをもらえるという、どちらにとってもおいしい企画をはじめたのです。

 

みなさんは、調べ学習というと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

私は正直言って、ほとんど覚えていません。

小学生時代にはきっと、図書館の本で何かを調べさせられたりしたのでしょうけども、ただ、やりなさいと言われたことをやっていただけだったからか、どんな風に考えたり調べたりしていたのか全然記憶にありません。

 

最近では、大人でも、本で調べるという人は少ないと思います。

ネットで検索すれば、だいたいのことはわかってしまいますし、わからないことはネット上で質問をすれば誰かが答えてくれる可能性もあります。

 

そんな時代になったいまでも、図書館での本を使った調べ学習というのがどれくらい必要なのか、というのは、まさに答えの出ない疑問です。

 

でもやっぱり、ネットにしろ本にしろ新聞にしろ何にしろ、それぞれのメディアの特性というのがあると思います。

そうしたメリットデメリットを知った上で、様々なメディアを用途に合わせて使いこなしていく力、というのは、必要なのではないでしょうか。

 

それともこれも、本好きによる贔屓目なんでしょうか。

もう散々議論しつくされている話題かもしれませんが、子どもたちにとって、で考えると、大人とは違ったアプローチが必要なようにも思います。

 

私が勤めている学校図書館の今年度の貸出を見てみると、

9類(文学)+ 絵本 = 28499冊  お話の本

その他    0類~8類 = 12550冊  学習系の本

となっています。

 

お話の本の方が圧倒的に多いです。

お話の本7割の学習系の本3割という感じです。

 

子どもたちは、基本的には物語を読むのが好きなのでしょう。

というより、図書の時間にはこのお話の本を読むようにしましょう、とか、2冊借りていくうちの1冊はお話の本にしましょう、とか言われているので、当たり前といえば当たり前なんですが。

 

ただ、学校図書館メディア基準における蔵書の配分比率というのを見てみますと、これがほとんど真逆になっています。

 

つまり、お話の本3割の学習系の本7割。

 

偉い人たちが決めた「標準」の割合がこれです。

 

図書館も、最初の頃はこの基準に則って、蔵書配分を決めていたのかもしれません。

でも、次第にお話の本の方が読まれるしおすすめもしやすいということに気づき、少しずつ、お話の本の割合が多くなっていったのでしょう。

 

どちらがいいかは、一概には言えません。

読まれない学習系の本を、それでも充実されるのがいいのか、基準に背いてでも子どもたちが求めるお話の本を潤沢にそろえておくのがいいのか。

 

難しい問題です。

基準に沿って受入をしている図書館というのが、どれくらいあるのか聞いてみたいくらいです(たぶんほとんどないのでは)。

 

 

私個人としては、やはりお話の本をどうしても入れたくなってしまいます。

ただ、学習系の本こそ、新しい情報が載っているものを入れておきたい、という気もちもあります。

結局のところ、その間をとっていく、というような感じです。

そして、若干お話の本に甘くなってしまうので、お話の本の割合が多くなっていってしまうのでしょう。

 

 

いつものように話はそれましたが、図書館の本を使って、子どもたちには物語だけじゃなく、様々な知識にも触れてもらいたい。

そんな思いから、今回の企画を考えました。

 

この企画を進めるにあたっては、前段階の企画があるのですが、その内容についてはまた別の記事で書きたいと思います。

長い文章にお付き合いいただいてありがとうございました。

それではまた。

 

1、調べ学習の基本を身につけよう

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改訂版 調べ学習の基礎の基礎 (かんたん!たのしい!調べ学習)

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