『くうきにんげん』
綾辻行人:作 牧野千穂:絵 東雅夫:編
岩崎書店
あらすじ
このよには、くうきにんげんがいる。
だれも気づいては、いないけれど。
せかいじゅうに、おおぜい。
くうきみたいに目にみえなくて、動きも形もじゆうじざい。
とじまりをした家のなかにも。
かぎのかかったへやのなかにも……。
くうきにんげんは、ふつうのにんげんにおそいかかって、くうきにかえてしまう。
くうきにかえられたひとは、だれにもみえなくなってしまう。
それは、このよからきえてしまうことと、おんなじ。
かならず、ふたりがかりでおそってくるくうきにんげんが、ほら。
いま、この本をよんでいる、きみのそばにも……
感想
以前紹介した『はこ』と同じ、岩崎書店の怪談えほんシリーズ。
『はこ』もそうだったけど、この『くうきにんげん』も、怖くない子には全然怖くないだろうけど、想像力が豊かであればあるほど怖くなるタイプの絵本。
作者は『Another』シリーズや『十角館の殺人』等が人気の綾辻行人さん。
見えない何者かが近くにいる、というのは、一度考え始めると、頭にこびりついて離れなくなる可能性も。
そういう意味では、トラウマ絵本になり得る作品。
子どもたちの多くは、口では「こわくなかった」と言う。
そういう子たちが夜、この絵本のことを思い出して、すきま風にびっくりしたりしてくれるといいなと思う。
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