本棚のすき間

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現役学校司書がおすすめする【読み聞かせ】絵本ベスト15

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『本棚のすき間』の記念すべき100記事目は、これまでに紹介してきた絵本の中から、学校での読み聞かせ・家庭での読み聞かせのどちらでもおすすめの絵本をランキング形式で紹介していきたいと思います。

 

考察しがいのある、深い絵本というよりも、子どもたちと、大人がいっしょに楽しめるような絵本が中心となっております。

大人向けの絵本はこちらの記事で紹介していますので、よろしければどうぞ。

www.nahdaannun.com

 

それでは、ベスト15を発表していきます。

 

 

 第15位

『ぼくは』

ぼくは

ぼくは

 

2013年に『爪と目』で芥川賞を受賞された、純文学作家である藤野可織さんの、初の絵本です。

爪と目を読んで、ホラー×純文学というジャンルを初めて知りました。

 

作風が作風なだけに、この絵本の存在を知ったときには、いったいどんなぶきみでおそろしい絵本なんだろう、と勘繰ってしまいましたが、そんな必要はありませんでした。

 

ひとは、牛乳を飲んだり、パンを食べたりと、いろいろなものを消費します。

目の前からはなくなり、その存在はもうどこにもない、ように思えるそんなものたちですが、この絵本は、そうではないということを教えてくれます。

 

飲んだものも食べたものも、それぞれがちゃんとだれかを形成するもととなって、見えない状態で、たしかに存在している。

 

そしてそれは、口から入って栄養となるようなものだけではありません。

絵本だって、読み終わって、たなにもどしてしまえばもうどこかに消えてなくなってしまうかというと、そうではないですよね。

 

読んだ内容が心に残り、その時に感じたいろいろなことはその子の人格形成にも影響を与えるでしょうし、いつでも会える友だちとしてインプットされることもあるかもしれません。

 

人間は、様々なものを吸収したり取り入れたりしながら生きている。

もの、の目線で、そうしたことに気づかせてくれる素敵な絵本。

 

第14位

『あしにょきにょき』

あしにょきにょき (えほん・ドリームランド 4)

あしにょきにょき (えほん・ドリームランド 4)

 

「えー、どうなっちゃうの?」という楽しさで、どんどこ読みすすめたくなる絵本です。

お話のリズムがよくって、あっという間に終わってしまう感覚ですが、それでも、意外な解決策ににっこりさせられます。

考えさせられる、とかいう要素は一切ありません。

ただ、ひたすらおどろいて、笑って、心配して、ほっとする。

肩の力を抜いて読める一冊。

 

第13位

『はこ』

怪談えほん (10) はこ (怪談えほん10)

怪談えほん (10) はこ (怪談えほん10)

 

『十二国記』シリーズや『残穢』等の小説が人気の、小野不由美さんの怪談絵本です。

他の怪談絵本とはひと味違った、得体のしれないこわさが漂っています。

大人向けのホラー小説を書かれてきた小野さんならではの感覚が、絵本という枠のなかにしっくりくる形で落とし込まれていると感じました。

 

開かない箱に入ってしまったものは、やがて、帰らぬ形となって、その姿をあらわすことになります。

そして、中に入るものは、少しずつ、大きくなっていきます……。

 

 

短い文章のなかに、しずかな恐怖と、大きな不安が詰まっています。

最後の1ページで予期される、この絵本最大の絶望と恐怖に鳥肌が立ちました。

 

わかる子にだけわかる、そんな怪談絵本です。

 

第12位

『かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり』

かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり

かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり

 

ページいっぱいに描かれるダイナミックな絵が楽しい絵本です。

遠くからでもよく見える、というのは読み聞かせでとても大事なのです。

 

前半は、かっぺいが緑色のものを見つけては、失敗する、というくり返しの面白さがあって、子どもたちも「あれは○○だよ」「今度こそきゅうりだよ」と言っては、ページをめくっていいリアクションをしてくれます。

 

後半になると、ふしぎな場所における、ふしぎな出来事におどろかされます。

最初の方に出てきた単語が、そんな風に回収されるとは思いませんでした。

 

みずみずしいきゅうりが食べたくなる一冊です。

 

第11位

『ぜったいたべないからね』

ぜったいたべないからね (ほんやくえほん)

ぜったいたべないからね (ほんやくえほん)

 

子どものすききらいでこまっている、なやんでいる、という大人はけっこういるのではないでしょうか。

きらいなものを無理やり食べさせる、というのもどうかと思いますが、きらいじゃなくなる可能性があるものを、どう食べさせて、いい方向にもっていくか、ということは子どもの頃にしかできないことでもあるかと思います。

 

そこで、この絵本はユーモアたっぷりに、子どもが目の前に出てきたきらい(と思っている)な食べものに対する意識をがらりと変えてくれます。

 

子どもは、ちょっとした意識の変化で、おどろくほどの成長を見せてくれることがあります。実際に子育てをしてらっしゃる方にとっては、こんなにうまくはいかないよ、と思われるかもしれませんが、なにかのヒントにしていただければと思います。

 

 第10位

『もうぬげない』

もう ぬげない

もう ぬげない

 

今、一番人気のある絵本作家と言っても過言ではない、ヨシタケシンスケさんのとってもかわいい絵本です。

 

シンプルな絵にシュールな展開。

服が引っかかってぬげなくなったことがある、世の中のほとんどすべてのひとに伝わるであろう、この面白さ。

 

ヨシタケシンスケさんの他の絵本『りんごかもしれない』や『ふまんがあります』等もまたどこかで紹介したいと思っているのだけど、あちらはわりと言葉数が多くて、ものすごく面白いのに読み聞かせをするにはちょっと大変なところがある。

 

この『もうぬげない』は、その点、文章がかなり短いので、ちょっとした時間の読み聞かせにはもってこいの作品。

しかも、図書の時間に読み聞かせをすれば、たいてい、笑いが起きてほしいところでちゃんと笑いが起きる。

 

それって、かなりすごいことだと思う。

 

読み聞かせのボランティアをしてくださっていた保護者の方にこれをおすすめしたときも、一読し、気に入ってくださった。

 

かわいすぎる……!

 

とおっしゃっていた。

お母さんから見ても、子どものこういう姿はきっと子育てあるあるなのだろうし、その思考がまたTHE子どもという感じで、親の心をくすぐるのかもしれない。

 

 

子どもも楽しく読めて、親もほっこりする絵本。

素晴らしいのひと言。

 

第9位

『ネコとクラリネットふき』

ネコとクラリネットふき

ネコとクラリネットふき

 

児童文学作家としても超有名な岡田淳さんの絵本作品です。

ファンタジーの名手として、数々の名作を世に送り出してきた岡田淳さんの絵本なのだから、面白くないわけがない、とハードルを上げて読みましたが、そんないじわるもなんのその、期待を裏切らない面白さでした。

 

クラリネットの音をきけばきくほど大きくなっていくネコは、なにも言いません。

ただ、ごろごろのどをならすだけです。

 

大きくなり続けるネコに、ぼくはほとほと困り果ててしまう、のかと思いきや、そんなことはありません。

大きくなったらなったで、それまでできなかったことができるようになります。

 

ネコのおなかをまくらにしたり、ふかふかのネコに背もたれになってもらったり。

すてきなことずくめというわけなのです。

 

その辺りの描き方が岡田淳さんらしいなあと思います。

そうして、ファンタジーの名手らしく、大きくなり続けたネコがどうなるのか、予想外の展開に、子どもといっしょにおどろかされます。

 

岡田淳さんの小説といっしょにおすすめするもよし。

ネコ好きにおすすめするもよし。

クラリネットふきにピンポイントでおすすめするもよし。

 

遊び心のあるあとがきもすてきです。

 

第8位

『わすれもの』

わすれもの

わすれもの

 

癒しです。

疲れているひとは、とにかく、この絵本を読んでみてください。

 

ひつじの無垢な表情に癒されてください。

親切なねことひつじの交流に癒されてください。

 

けなげなひつじの、でも不安をかくしきれない表情に癒されてください。

大好きなミナを待ち続けたひつじの、その結末に癒されてください。

 

読み終えたら、裏表紙の、とてつもなくほっこりする1シーンに癒されてください。

やさしいタッチの絵から、ひつじのぬいぐるみの手触りを想像して癒されてください。

 

部屋の見える場所にディスプレイをして、表紙のひつじと目が合って癒されてください。

時々この絵本のことを思い出して癒されてください。

 

 

癒されてください。

以上です。

 

 第7位

『でんごんでーす』

でんごんでーす (講談社の翻訳絵本)

でんごんでーす (講談社の翻訳絵本)

 

個性豊かな鳥たちが、元気いっぱいに伝言を間違える、楽しい絵本。

伝言ゲームって、いつの間にかちょっとずつ違っていて、っていうものだけど、

この鳥たちはちょっとどころかまったく合っていない。

でも、それが面白い。

 

子どもたちも、聞きながら「えーっ、全然違う!」ってさけんじゃうのがよくわかる。

伝言の間違え方も少しずつ大げさになっていくので、

だんだん盛り上がっていく、という形が自然とできる。

 

でも、最後には意外な結末が待っていて、それも、子どもたちがいい反応をしてくれる。

いろんな鳥たちのセリフをどう読むかで、テンションが変わってくる絵本。

 

第6位

『まよなかかいぎ』

まよなかかいぎ

まよなかかいぎ

 

改めて考えてみると、子どもたちは学校でほんとうに様々なものを使っている。

そうして、どのものにも正しい使い方というのがあって、だけど、子どもたちは時に正しくない使い方が楽しい、ということもある。

 

それは、ものたちからしたらどうなのか? という目線。

ものを大切にしましょう、と子どもは大人たちに言われる。

この絵本は、それと同じように、ものも持ち主を大切に思い、応援してくれているのかもしれない、という気もちにさせてくれる。

 

持ちものを見る目が変わるかもしれない絵本。

 

 

ものたちが報告する内容がほほ笑ましく、また、それらがリアルで楽しい。

ものを雑に扱っている子どものへやで行われているまよなかかいぎはどのような感じなんだろう。愚痴や文句、嘆きのオンパレードみたいになりはしないだろうか、って、いろんな想像がふくらむ。

 

第5位

『おじゃまなクマのおいだしかた』

おじゃまなクマのおいだしかた

おじゃまなクマのおいだしかた

  • 作者: エリックパインダー,ステファニーグラエギン,三辺律子
  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログを見る
 

トーマスとクマの心理戦がとてもかわいくて、読んでいると自然に顔がにやけてくるような絵本です。

トーマスも純粋そのものだし、クマも負けじとかなりの無垢だし、どちらかを応援したいような、どちらも応援したくなるような、で、困ってしまいます。

最後にはちょっとしたどんでん返し(?)もあって、なあんだそうだったのか、という子どもたちの反応も楽しめます。

きっと、大人も、えー、そうだったの? と思うのではないでしょうか。

 

おわりのページには、4ステップでできるほらあなのつくり方も載っています。

これから来るであろう寒い日にこの絵本を読んで、いっしょにほらあなをつくってぬくぬくする、という過ごし方をおすすめします。

 

第4位

『まないたにりょうりをあげないこと』

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

 

遠くからでも見やすく、わかりやすい絵のタッチがいい。

どこかにページの切れ端が落ちていたとしても、シゲタサヤカさんの本だって、すぐにわかるような。

読み聞かせをするときには、こういうのが意外と大事だと思う。

細かい描きこみや遊び心が多いのは、手にとって読んでもらいたい本。

 

それから、物語もわかりやすい。それに、なにより、おもしろい。

まないたが食べものを食べたらどうなっちゃうんだろう、と思ったことがあるひともないひとも、みんなが楽しめるストーリーになっている。

 

想像がふくらみ、現実の世界を見る目に「楽しさ」が加わるかもしれない絵本。

じぶんが料理をしているまないたが、もしも、見ていないすきに食材を食べていたら、って、考えるだけで楽しい。

絵本においては、楽しい、ということはやっぱり一番大切だと思う。

絵本に限らず、かもしれないけど。

 

第3位

『そらからぼふ~ん』

そらから ぼふ~ん

そらから ぼふ~ん

 

シュールのひと言に尽きる。

圧倒的なシュールさにいろいろがもうどうでもよくなってくる。でもそれがいい。楽しい。

はちゃめちゃなことが起きると、子どもたちは喜ぶ。

探偵の顔がおしりだったり、おならで音楽を奏でたり、そういう、大人になりすぎた大人には理解できないようなことで、げらげら笑うのが子ども。

 

この絵本も、最初から最後まではちゃめちゃなことばかりが続く。

子どもはもちろん、大人も、たまにはなにも考えずにページをめくって、ただただそのおかしさに声をあげて笑っていられるような絵本を読む、というのもいいのでは。

 

肩の力が抜ける一冊。

 

第2位

『あたりかも』

あたりかも (PHPわたしのえほん)

あたりかも (PHPわたしのえほん)

 

びっくりするような展開に、わくわくする世界、夢のようなオチ。

一ページたりとも退屈する部分がない、素晴らしい絵本。

 

まず、導入から引き込まれる。

あたりが出てわーっと喜んでいると、それがあたりじゃなく「あたりかも」だということがわかる。

あたりじゃない、わけじゃない。

あたりかも、という期待をもたせる書き方に、ぼくだけじゃなく、読み手もかもってどういうこと? とページをめくりたくなる。

 

そして、その「かも」の部分の真意を知るためにアイスのふくろを見てみると、アイスおうこくへの行き方が書いてある……。

とつぜんの、ファンタジーへの入り口の登場に、また読み手は引き込まれる。

 

アイスおうこくって、どんな国?

 

アイスおうこくに着くと、こんなひと言が。

 

「ゆきはなめると、あまいバニラのあじがします」

 

ここはもう夢のような国なのだなということがそこでよくわかる。

でも、「あたりかも」があたりなのかどうかを知るには、少し時間がかかる。

その遠回りがまた、楽しい。

 

アイスおうこくを見学しながら、ちょっとずつ、目的の場所へと近づいていく。

 

そして、ラストにはそれまでとはくらべものにならないくらいの、夢のようなオチが待っている。

この意外さが、アイスおうこくの魅力をより強くしている。

 

この絵本を読んだら、きっと、あたりつきのアイスを食べたくなる。

それで、あたりが出たらもちろんうれしいんだけど、「あたりかも」が出ないかなと思わずにはいられなくなる。

そんな一冊。

 

 

第1位!

『トマとエマのとどけもの~みちをたどるおはなし~』

トマとエマのとどけもの~みちをたどるおはなし~ (ほるぷ創作絵本)

トマとエマのとどけもの~みちをたどるおはなし~ (ほるぷ創作絵本)

 

それぞれのページにかくされたしかけや遊び心が盛りだくさん。

最初に「このえほんはすべてのページの絵がつながっています」とあるように、どのページも次のページの続きとなっている。

子どもたちに最初にそれを伝えてから読み聞かせをはじめると「わーほんとだつながってる!」と期待どおりの声をあげてくれた。(なにも言わずに読みはじめたほうがいい、ということもあるかもしれないけど)

 

それから、トマとエマはどうやら小人の種族らしいのだけど、ページをめくっていくと、それよりもっと小さなひとたちがいるらしいことがわかる。

子どもたちもそれに気づいては「もっと小さい小人がいる!」とか言って、後ろのほうからは「どこどこー?」という声も。

 

さらに、この絵本の一番美味しいところ(と勝手に思ってる)は、トマとエマよりも小さな郵便配達員がいて、彼がどのページにも(ある都合でいないページもある)こっそり登場していて、後ろのページから読むと彼の物語になっているということ。

 

これは、自分で読んでいても「なにこれすごい!」ってなって大興奮したのを覚えているくらい、びっくりした。

トマとエマのおはなしとして一度読んでから、もう一度、郵便配達員のおはなしとしても楽しめる、一冊で二度美味しい絵本。

 

子どもたちにそのことを教えてあげると、「えー! すごおい! 読みたい読みたい!」と貸出希望が殺到し、大人気絵本となった。

 

しかも、言葉数が少なくて、このふしぎな世界はほとんど説明されていないので、いろいろと想像する余地がある、というのも素晴らしい。

 

個人的に絵のタッチがすごく好みで、いつでも見える壁に飾っておきたいくらい。

 

この、作者の大庭賢哉さんという人は児童書の挿絵や挿画としても活躍していて、本書が絵本のデビュー作とのこと。

 

 

〇まとめ

どの絵本も、子どもといっしょに読んでいただきたい絵本なので、ランキングにするのもはばかられるくらいですが、個人的な、おすすめランキングという形で、紹介させていただきました。

 

学校での読み聞かせや、家庭での親子読書。

忙しい日々かもしれませんが、そんな慌ただしい毎日だからこそ、絵本といっしょに、心休まるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

長文をお読みいただき、ありがとうございました。