本棚のすき間

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【練馬区立図書館】のストライキが図書館を救う!?

公共図書館職員がストライキ

 

twitter等で、練馬区立図書館職員によるストライキのことが話題となっています。

こちらが、その内容です。

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そもそも指定管理者制度とは?

指定管理者制度に基づく図書館
指定管理者制度は、公の施設を民間事業者等のノウハウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで、施設の設置の目的を効果的・効率的に達成するため2003年9月に設けられた制度です。地方公共団体側が提示した運営目的に添って事業者が提案を作成し、議会の議決を経て事業者を指定します。館長以下TRCが責任をもって育成したスタッフ、充実したバックヤードが、TRCが指定管理者として運営する図書館の特長です。

   図書館流通センターHPより引用

要は、公務員の仕事だった図書館の運営を、民間業者に委託するというもの。

開館の時間が増えたり、従来にはなかったサービスが提供できたりと、メリットもたしかにあるのでしょうが、それ以上にデメリットの方があるのもたしかだと思います。

 

以前、問題になった佐賀県武雄市の図書館運営の実態が、いい例でしょう。 

結局のところ「ツタヤ図書館」は何が問題なのか - 畳之下新聞

上の記事に、その多くの問題が記されています。

 

 今回の、練馬区立図書館のストライキについて

「図書館専門員を解雇しない」 ~議会答弁の意味と重み~ | 練馬区議会議員 池尻成二ウェブサイト

こちらのサイトで、教育委員会との質疑が採録されているのですが、「指定管理者をもって解雇する発想はもっていない」という発言があったようです。

指定管理者とは異なる何らかの形での解雇はありうる、というようにも聞こえますが、どうなのでしょう。

 

それ以前に、教育委員会は、区立図書館に勤務している32人の職員を、「学校図書館」に配置する、という提案をしてきたようです。

しかし、職員はこれを拒否。

そりゃそうでしょう。

図書館で働ければどこでもいい、と思っているわけではないはずです。

ましてや、公共図書館と学校図書館は全然違う場所であって、そのスキルや求められるものも全く違います。

そもそも地域の図書館と学校図書館は、同じ「図書館」とはいっても全く異なる役割を持ち、異質な専門性が求められます。前者は社会教育、生涯学習の施設。後者は学校教育の一環として設置された施設です。図書館専門員に学校図書館に行けという提案は、規則の主旨を踏み越え、専門員の仕事と経験と誇りの何たるかを理解しない、あまりに乱暴なものです。専門員の皆さんが、当局の「配置換え」提案を図書館専門員としての解職・解雇の提案と受け止めたのは当然です。

     池尻成二ウェブサイトより引用

 

それに、現在学校図書館にいる職員はどうなるのでしょう?

と思って、調べてみましたところ、先ほどと同じサイトに情報が。

混乱する学校図書館④ ~学校司書配置へ、決断を~ | 練馬区議会議員 池尻成二ウェブサイト

区の学校図書館の全校配置が決まったにも関わらず、四月の時点で、司書のいる学校図書館は46校のうち、わずか16校。その後18校に。

現在ではどうなっているのかよくわかりませんが、練馬区の教育委員会ではそうした杜撰な管理運営がなされているようです。

 

30校ほど、学校司書の枠が埋まらないなあ、どうしようかなあ、そうだ区立の図書館を指定管理にして、余った司書は学校司書にやればいいや。

 

そういう発想があったのだとしたら、もう、情けないを通り越して笑えてきます。

 

私の自治体で起こった笑えない話

話は逸れますが、私は現在、学校司書として、町の非常勤職員という立場にいます。

一応、公務員という扱いになっています。

しかし、非常勤職員なので、給与は当然正規のそれとは雲泥の差があります。

 

初任の年、現在はこの給与だが、四年勤続するといくらか月給が上がる、という話を教育長はしていました。

それでも、一般の会社の初任給にやっと手が届くかどうか、くらいのものですが。

 

二年間、学校司書として、私は自分なりに必死に働いてきたつもりでした。

取り組みの中から、いくつかを記事にしているのでよければご覧ください。

子どもが図書館に入った瞬間に、その子の「知っていること」を一つ増やすための仕組み - 本棚のすき間

楽しい×学べる 学校図書館のあり方を変えたい司書の取り組み③ - 本棚のすき間

【楽しい×学べる】学校図書館のあり方を変えたい司書の地道な取り組み② - 本棚のすき間

子どもたちが本に親しんでくれるような図書館づくりをしてきたと自負しています。

面談の際には、非常によくやってくれている、といった言葉を教育長からいただいたこともありました。

 

そうして、子どもたちとの信頼関係も築け、軌道に乗ってきた頃に異動の話が持ち上がってきました。

それは、まあ、別にいいんです。

そこは小さな、全校児童数が100人ほどの小学校だったのですが、次に行くところはその約6倍の600人ほどの小学校です。

 

初任の学校でしてきたいろいろな取り組みを、ぜひ大きな学校でもやって、多くの子どもたちに図書館の楽しさを伝えてあげてほしい。

そういう点では、異論はありませんでした。

 

ただ、笑えない話はここからです。

 

三月になり、新年度の契約についての書類が教育委員会から送られてきました。

そこには、四月からは別の学校の名前。

他の部分は、まあ、変化はないだろうとスルーしていたんですが、ある日ふと思い立って今年度の契約書を見てみました。

 

すると、新年度の給与よりも五千円多く書かれていました。

しれーっと、新年度からの給与が減額されていたのです。

 

千歩譲って、これこれこういう理由があって、減給という結果になりました、という話が事前にあったのなら、まだマシです。

(それでも、納得はいかないでしょうが)

理由も何もなく、ましてや、会った時にはあんなに口では褒めておきながら、気づかれなきゃいいやとでも言うようなやり方で。

 

怒りに燃えた私は、学校教育課の課長に電話をかけました。

どうなってるんですか、と。

説明はこうでした。

 

町の非常勤職員の他の職種(支援員や庁務、給食調理員など)に比べて、司書の給与だけが多い設定になっている。

そういう話が総務課の方であり、町の司書全員の給与を下げた、と。

 

多い設定になってると言ったって、20何万もらってるとかじゃないんですよ?

十万円台の決して高くない給与で、時には、特別支援が必要な子どもを預かったり、学級懇談をしている最中に多くの子どもたちをひとりで見させられたり、教員がやるべきといったことをさせられたりしているんですが。

 

それに、司書は資格が必要です。

少なくとも、私の自治体では、そういうことが募集要項にあったはずです。

専門性の高い仕事だろうがなんだろうが、非常勤職員のくせにそんなに給与をもらっているなんてけしからん。

そういう考えが透けて見え、吐き気がしました。

 

それに、町では、読書教育、所謂「読育」に力を入れている、と謳っていました。

我々の町では読書教育に大変力を入れていますが、その中心を担う職務である司書の給与はどんどん減らします。

 

もう、嫌がらせとしか思えないですよね。

私は、電話口で「ああいうやり方はないんじゃないですか。口では良いことをぺらぺら言っておきながら、こっそり給与を下げるような。町につばを吐かれたような気がしました」というようなことを言いました。

かなり、強い口調で。

もう、別にこれが原因でくびになってもいいというくらいの気持ちはありました。

そして、「そういうことをするのであれば、副業をさせてください」と強く言って、電話を切りました。

 

やむをえない事情があれば、副業は認められる、という話も事前にきいていました。

結局、許可は下りて、私は現在塾の講師の仕事を夜にかけもちでやっています。

でも、だからと言って、未だに納得はしていません。

 

 

まとめ

今回、区立図書館の職員がストライキの意向を示した、ということは、今後の図書館のあり方において、大きな意味をもたらすと思います。

司書やその周辺の人たちだけが、井戸端会議で不満を漏らしているだけではおそらく何も変わりません。

 

地域住民、図書館を利用するすべての人たちに、図書館、司書、或いはそこで働く人たちのことについて知ってもらう必要があるのではないでしょうか。

知の財産を守るために、必要なことをより多くの人たちで考えていけたらと思います。 

 

ここが、図書館の大きな転換点となりますように。

それではまた。

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