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『チョコレートをたべた さかな』書評【絵本】

『チョコレートをたべた さかな』

『チョコレートをたべた さかな』

みやざきひろかず:作

BL出版

チョコレートをたべた さかな

チョコレートをたべた さかな

 

あらすじ

ぼくはさかな。

 

みずのなかをゆらゆら、すいすい。

 

せせらぎにみをまかせ、まちをのんびりながめて、

どこにいこうとぼくのじゆう。

 

つりぼりや、あみにきをつけていれば、さかなっていうものは、なかなかいいものだ……

 

とぼくは思っていた。

 

ところがある日、少年がおとした茶色のちいさなカケラをパクッとたべたそのときから……

 

ぼくはさかなでいることがつらくなったんだ……。

 

 

感想

以前、どこかの絵本屋さんに行ったときに、ふと手にとってみて、短そうだったので最初から読んでみた。

 

本当に短くて、一分もあれば読み終わってしまう。

でも、読み終わったあと、しばらくその場から動けなかった。

 

この絵本は、買わなくちゃいけないと思った。

長くて(そこそこの分量があって)、ストーリー性があって、って、必ずしもそういう絵本がいい絵本なのではないということが、この作品を読んでよくわかった。

 

それまでの毎日に別段不満もなく、さかなでいることをよしとしていたぼくが、あるときチョコレートのかけらを口にしてしまうことで、日常が、生き方ががらりと変わってしまう。

 

そのことばかりで頭のなかがいっぱいになって、けれどもう一度食べるチャンスはなかなか来てはくれなくて。

思い焦がれ続けたぼくがそのあとどうなってしまうのか。

 

ラストの4ページで、なぜだかわからないんだけど背すじがぞわっとして、こわくなった。

 

だれにでも起こりうるようなことの気もするし、そんなこともないような気もする。

 

この絵本だけで、読書会ができそう。

それくらい、感想の幅がものすごく広いと思われる一冊。

 

読書好き、考察好きにはきっとたまらない絵本。

おすすめです。

 

それではまた。