本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

書店員をやめて学校司書になって塾講師になる話

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以前、本屋で働いていた時に、同じ書籍のチームに、とてもよくしていただいていた主婦の方がいた。

 

ハキハキしていて、言いたいことはきちんと言う人。

でも、それなりに空気は読むし、気もつかえるというもうそれだけで尊敬に値するような人だったのだけど、ある時、

「塾の講師の仕事って、興味ない?」

と唐突にきいてきたことがあった。

 

あんまり考えたことがなかったのだけど、驚くほど給与がしょぼく、ほとんど最低賃金レベルだったので、「興味はあります」と答えた。

 

なんでも、その方の息子さんが以前通っていた塾で、講師を探しているとのことで。

もうその息子さんは通ってはいないんだけど、塾長がときどきそこの本屋に来たりなんかしていて、それで、打診されたそう。

 

書店員になって、二年目くらいだったのかな。

仕事自体はとてもやりがいもあるし、なにより、毎日職場に来れば膨大な数の本に囲まれているというすてきな状況。

 

ではあったんだけど、人間関係的なところで、ちょっとげんなりしていたということもあって、次第にかけもちに大して前向きな気もちに。

 

働いていた本屋って、新しくできたところで、自分も含めてバイトの人たちはみんな初めて本屋で働く人たちばかりだった。

それはいいんだけど。

そうじゃなくって、こっちは本が好きで好きでたまらなくって、新しい本屋ができる、そのスタッフを募集している、ということで、もうなりふりかまわずといった具合に面接に出かけていった。

で、受かって、司書の資格も持っていて本には詳しいとか伝えてあったから、書籍担当のエースとして活躍してもらいたいみたいなことも言われて。

 

なんかこう、やっぱり期待するじゃないですか。

本好きで、本屋で働きたいと思っている人なら、たぶんみんな思っているんじゃないかと思うんだけど、そこで一緒に働く人もきっと本が好きなんだろう、と。

 

でも、蓋を開けてみて、びっくり、で、がっかり。

本が好きで、日常的に読んでいるという人が、ぜんぜんいない。

書籍だけじゃなく、文具と、CDも売っていて、そっちの担当の人たちもいるから、まあ、全員本好きじゃなくてもいいとは思うけど、それにしても少なすぎる。

 

なんで、働こうと思うんだろう?

ほぼ最低賃金で、ボーナスももちろん子どものお年玉以下で、社販割引的なものはあるけど微々たるもので、社員登用も一応可能性としてはあるとは言っていたけど実質無いに等しいようなもので。

 

そんな条件で働くってなると、もう、本が好き、というやりがいのもとでモチベーションを保っていくしかないと思うんだけど、その、本が好きというのもない。

あんなりがっかりしたことって、なかなかない。

 

で、勤務態度に問題のある人たちも出てくるようになって、そういう人たちに対して、いま思えばまぬけなくらい真面目に激怒したりしていた。

上司もしょうもない人たちで、じぶんたちの管理責任を棚に上げて、こちらの言動になんやかやと言ってくるばかり。

 

こっちは、文庫・新書・児童書・語学・資格試験・辞書・洋書・カレンダー・MD業務(補充発注等)・レジ応援・読み聞かせイベントなんかを全部担当していたというのに。

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思い出すと苛々してくるので、ほどほどにしておこう。

そんなわけで、憧れとまではいかないにしても、かなりの希望を持って楽しみにしていた書店員の仕事から気持ちが離れつつあった頃に来た、塾の講師の話。

 

これは、やらない手はない。

こういう時に、やったことないしなあと尻込みせずに、とりあえず行って話だけでも聞いてみようというフットワークの軽さは、じぶんの良いところ。

 

それで、塾長に話を聞きに行ってみると、本当はテストを受けてもらったりするんだけど、賢そうな顔しているからいいわ、と言われ、そのまま採用。

こちらとしては、やりますとはひと言も言ってなかったんだけど。

 

いま思い出してみると、全部塾長の作戦だったということがわかる。

ほんと、うまい。

こっちが流されやすいだけと言えないこともない。

 

すぐに、次の週とかから来てくれと言われて、ああそんな感じなんだと思ったのを覚えている。

とにかく、そんな風にして、その塾で、働き始めた。

朝から夕方までは本屋で。

夕方から長くて九時までは塾で。

 

人生って、なにがきっかけで動き始めるかわからない。

その後、塾の講師の仕事を紹介してくれた主婦の方が見つけてきてくれた司書の募集に応募したら採用されたので、自動的に本屋も塾もやめることに。

 

司書の仕事をしながらも、あの、塾の仕事も楽しかったなと常々思っていた。

 

司書の仕事三年目、塾の仕事をまたかけもちすることになった。

これは、じぶんで道すじを作って、つかんだ。

許可を得ずにこっそり、という手もあるにはあったんだけど、めんどうなことになるのも嫌なので、きちんと、全方面からの許可をとって。

 

昼も夜も働くわけだから、それなりに大変ではあるんだけど、でも、じぶんで決めて、じぶんで選んだ道なので、もちろんどちらもおろそかにはしない。

じぶんで言うのもなんだけど、学校司書の仕事も、塾の講師の仕事も、じぶんに向いていると思う。

いっしょに働いている人たちにも、そう言ってもらえている。

それって、なによりうれしいことだ。

そういう仕事と出合えて、就くことができたなんて。

 

でも、学校司書の仕事は三月でおしまい。

四月からは、塾で正社員として、副塾長として働かせてもらえるので、そちらに命を懸けるつもりでやっていく。

 

それで、いま考えていることがあって、なにかというと。

 

塾に図書館を作りたい、ということ。

 

そんな、広い塾ではないので、最初は図書のコーナーみたいな感じだろうけど、ゆくゆくは図書館のある塾を。

 

というのは、まあ、夢のまた夢なんだけど。

 

 

でも、それはきっとじぶんにしかできないことなんじゃないかと思っていて。

塾にそんなもの必要ないと言う人もいるだろうけど、それはそれとして。

 

 

少なくとも、夢や理想を掲げるのって、むだなことではないと思う。

 

やりたいことはぜんぶやっていきたい。

やりたいと思っているうちに。

 

そんな生き方もあっていいでしょう。

と、じぶんでじぶんを肯定してみる記事でした。

 

明日から、学校の仕事がまた始まる。

がんばろ。

 

それではまた。