本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

高飛車ガールに面白い本をおすすめせよ!

三学期がはじまりました。

玄関の外はうっすら雪が積もっていて、身体の芯がしびれるような寒さです。

 

 

二学期の後半から、図書館によく来るようになった五年生の女の子がいました。

その子は、結構長い本も読んできていて、こわかったりグロかったりしなければたいていの本は読めるという子です。

 

十一月頃から、

「私におすすめの本をもってきて」

と、やけに高飛車な感じでお願いしてくることから、心のなかで高飛車ガールと呼んでいるその子ですが、新学期初日の今日も図書館にやってきました。

 

「おすすめして」

冬休み中前、特別貸出で4冊借りられたのですが、この休み中にみんな読んでしまったのでしょう。

どうしようかな、と思いながらケストナーの『エーミールと探偵たち』をおすすめしました。

エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))

エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))

  • 作者: エーリヒ・ケストナー,ヴァルター・トリアー,池田香代子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: 単行本
  • 購入: 6人 クリック: 104回
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これがまた、表紙が地味で、たいていの児童はそれを見ただけで「おもしろくなさそう」と言ってつっぱねたりするんですが、さすがは高飛車ガール、「おもしろいの?」ときいて、私がうなずくと、「じゃあ、借りる」と言って受け取ってくれました。

 

それから、「もう一冊借りる?」ときくと、

「うん。もう一冊は岡田淳さんにして」

と怒っているみたいに言いました。

「岡田淳さんの本、いいよね」

「あのイバラのやつめっちゃおもしろかった」

それをきいて、私は心のなかでガッツポーズをしました。

休み前におすすめして借りていってくれた、岡田淳さんの『ようこそ、おまけの時間に』という小説のことだとすぐにわかったからです。

ようこそ、おまけの時間に (偕成社文庫)

ようこそ、おまけの時間に (偕成社文庫)

 

最初におすすめの本をきかれた時から、岡田淳さんの本はたびたび紹介していました。

『二分間の冒険』も『放課後の時間割』も読んだ後にはすごくおもしろかったと言ってくれていて、自主的にそのPOPまで書いてきてくれました。

二分間の冒険 (偕成社文庫)

二分間の冒険 (偕成社文庫)

 
放課後の時間割 (偕成社文庫)

放課後の時間割 (偕成社文庫)

 

完全にしめしめです。

彼女は、もともと岡田淳さんという作家を知らなかったのですが、きっと、一生忘れない作家になったことでしょう(そうだとうれしい)。

 

今回は、私も好きな『カメレオンのレオン』をおすすめしました。

この作品は、『小学校の秘密の通路』という本と繋がっていて、さらには長編冒険小説『森の石と空飛ぶ船』ともリンクしています。

カメレオンのレオン つぎつぎとへんなこと (岡田 淳の本)

カメレオンのレオン つぎつぎとへんなこと (岡田 淳の本)

 
小学校の秘密の通路 (カメレオンのレオン)

小学校の秘密の通路 (カメレオンのレオン)

 
森の石と空飛ぶ船 (偕成社ワンダーランド)

森の石と空飛ぶ船 (偕成社ワンダーランド)

 

その三冊をぜひ読んでほしいと思います。

彼女は読むのもかなり早い方みたいなので、明後日くらいにはもう『カメレオンのレオン』は読み終わるんじゃないかなと予想しています。

 

 

おすすめの本ありますか、ってきかれるのって、ものすごくうれしい反面、結構なプレッシャーもあったりします。

図書館の先生がおすすめする本、という高いハードルを越えられるよう、その子に合った本を吟味し、慎重にチョイスする必要があるのです。

 

そこまで深刻になる必要はないのかもしれませんが、最初におすすめした本がつまらなかった場合、この先生のおすすめの本は微妙だという印象が残ってしまい、それ以降もうおすすめをきかれなくなってしまう可能性もあります。

でも、上手くいけば、逆に、高飛車ガールのようなパターンもあります。

 

彼女はもう二か月以上、結構な頻度でおすすめを求めてくれています。

最初はプレッシャーもありましたが、ここまで来るともう、おすすめをきかれるのが楽しみになってきます。

どういう本が好きなのかとかも、だいたいわかってきますし。

 

意外だったのが、ルイス・サッカーの『穴』という作品があるのですが、これをおすすめしたとき、彼女は途中で読むのをやめてしまいました。

個人的に大好きで、長い話を読める子にとってはおもしろいだろうと思っておすすめしたのですが、やめた理由が、

「なんか手が裂けたとここわかったから」

というものでした。

穴  HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)

 

たしかに、そういうケガをするシーンはありました。

思っていた以上にこわがりというか、繊細な子なのだなということがそこでわかりました。

 

派手にケガをしたり傷ついたりするシーンがある本をすすめるのはやめよう、とそこで思ったのでした。

 

そんな風にして、いまでは高飛車ガールが借りていく本の9割をこちらが選んでいます。

図書館に来て、読み終わった本を返すと、すぐにやって来るので。

 

この子は、いつまで覚えていてくれるだろう、とふと思いました。

中学高校、大人になった時に、まだ本が好きで、まだ岡田淳さんの本が好きで、この作家を紹介してくれた司書がいたっけ、と。

 

それはとてもエゴエゴしたエゴなのでしょうが、そんな風に覚えてもらえていたら、無上の喜びのように思えるのです。

まあ、私のことは忘れても、岡田淳さんの本のことは忘れないでしょう。

 

そんな高飛車ガールに、この三学期であと何冊の本をおすすめすることができるか。

そんな、日々の楽しみの一つなのでありました。

 

 

最近、図書館関係の雑記、日記的な記事が多くなってきました。

絵本の書評に飽きたわけではありません。

が、需要があるのかという不安は常にあります……。

 

かといって、こういう日記に需要があるのか、そちらの方が疑問かもしれませんが。

 

気まぐれにこれからもいろいろ書いていこうと思うので、よければ今後もよろしくお願いします。

それではまた。