本棚のすき間

絵本や小説、図書館についてなど、本全般について書いています。

児童の純粋な善意にふれた話

ある図書の時間に、ふつうじゃない本だなの見方をしている女子二人組がいました。

「そっちのたな、よろしく」

「了解」

なんていう会話を交わしていて、明らかに様子がおかしいのです。

 

借りたい本があって、でもあるはずの場所にないから、ほかのたなにあるんじゃないかと探しているのかもしれない、と思ったのですが、もしもそうだとしたら、借りられていますか? と確認しにくるはず。

気後れして先生に話しかけられない、というタイプの子でもないし。

 

それで、声をかけた方がいいのかなあ、と思っていると、向こうから近づいてきました。

本を一冊持っています。

「先生、この本、ページが破れていました」

「ありがとう、直しておくね」

 

わりと、よくある会話。

でも、もうひとりの女の子にかけている言葉が、ふつうじゃない。

「上がでこぼこしてたら、だいたいそうだから」

 

なんとなく、もしかしてと思ったのですが、もう少しだけ様子を見てみることにしました。

中腰になって、本を上から見るようにして、横移動していきます。

 

「あっ、あった」

彼女が持ってきた本は、ページがぽろっと取れてしまっていました。

 

これで、私は確信しました。

彼女たちは、破損した本を探して持ってきてくれている、ということを。

 

図書の時間は、まあ、国語の時間でもあり、読書の時間でもあるので、できれば本を借りられたらなったりと読んでほしいのです。

でも、邪険にもしたくありません。

ほかの子に迷惑をかけているわけでもないですし、読書習慣がない子というわけでもありません。

むしろ、彼女たちはどちらかといえば本をよく読む方なのです。

 

子どもが急にその気になるのって、なんなんでしょう。

結果的にその子たちは10冊近く破損していた本を見つけ出してきてくれました(なんという優秀な観察眼!)。

チャイムが鳴ったところでおしまいに。

 

お礼を言いはしたものの、これをよしとして、次回の図書の時間からも同じようにされたら困るなあという気もちもあります。

 

まあ、子どものやる気って、その瞬間だけのものということもあると思うので、来週にはそんなことすっかり忘れているかもしれませんが。

 

 

なにはともあれ、子どもの純粋な善意にふれて癒された瞬間でもありました。

どうもありがとう。

 

 

今回のことに限らず、子どもって、唐突にお手伝いモードに入ることがあるようで、ブックトラックにのっている本を見て、

「先生、これたなに返す?」

ときかれたことも何度もあります。

 

なんて優しさにみちた子なんだろう、とは思うのですが、さすがに、図書の時間に子どもにそんなことをさせるわけにはいかないので(じぶんが借りた本ならいいとしても)、お礼を言って気持ちだけ受け取りました。

 

ありがとう、でも、いまは本を読んでくれるとうれしいな。

そんな瞬間がたくさんある学校図書館の話でした。

 

それではまた。