『これは本』
『これは本』
レイン・スミス:作 青山南:訳
BL出版
あらすじ
サルのところに、ロバがやって来てきいた。
「なに、もってるの?」
「本」
ロバはさらにきく。
「どうやってスクロールするの?」
「しない。ページをめくる。これは本だから」
「ブログはしてる?」
「しない。これは本だから」
「キャラクターをたたかわせることはできる?」
「できない。これは本だから」
「メールできる?」
「できない」
「ツイッターは?」
「できない」
「Wi-Fiは?」
「できない」
「これは本だから」
「みてみる?」
感想
パソコンやタブレット、スマホの普及したこの現代。
便利で楽しくて、いろんなことができるそうした機器に比べて、本というものはなんてできることが少ないことか。
でも、パソコンに夢中なロバくんが、サルが読んでいた本を受け取ってからの流れで、いかに本というものが魅力的で、ふしぎな吸引力をもったものだということが示されているのがとてもいい。
本は読むことしかできない。
でも、その読むという行為に含まれる、さまざまな楽しみを感じさせてくれる。
ネットやアプリなんかの楽しさを知っている子どもというのは、もしかしたら、本は楽しさに欠ける、と思っていたりするかもしれない。
でも、この作品でロバくんが夢中になっているように、その子の心が求めるような本を手に取ることができたら、そういう考えもとんでいくのかも。
とても現代的な絵本。
妙にシュールな絵で、癒される。
それではまた。