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『ぼくのなまえはへいたろう』灰島かり 書評【絵本】

『ぼくのなまえはへいたろう』

ぼくのなまえはへいたろう (ランドセルブックス)

ぼくのなまえはへいたろう (ランドセルブックス)

 

『ぼくのなまえはへいたろう』

灰島かり:文 殿内真帆:絵

福音館書店

 

 

あらすじ

ぼくの名前は「へいたろう」。

みんなに昔の人みたい、とか、生まれるときにおならをしたんだよ、とか言われて、笑われてきた。

 

名前で苦労している人はほかにもいる。

男の子とまちがわれるような名前だったり、漢字で書くとだれも読めない名前だったり。

ほかにもいる。

有名人と同じ名前、だったり、クラスメイトに同姓同名の子がいる、だったり。

 

どうすれば名前を変えられるんだろう、と思ったへいたろうは、市役所に行ってきいてみることにした。

でもそんなに簡単には、変えられないらしい。

 

こうなったらもう、どうしてへいたろうなんていう名前をつけたのか、お父さんにきいてみるしかない。

わけをきいてみると、お父さんは、ぼくの名前にこめられた意外なメッセージについて、教えてくれた。

 

そして、名前を変えられなくても、名前の方が変わることがあるよ、とお父さんは言う。

それっていったいどういうこと?

 

 

感想

親を選ぶことができないように、自分の名前というのもふつうは自分で選ぶことはできません。

名前をからかわれたり、名前のことで嫌な思いをしたりするというのは、私はごく普通の名前なのであまり経験がありませんが、きっと、かなりの苦痛なのでしょう。

 

現代では、キラキラネームのことがときおり話題になります。

子どもの将来のことをまるで考えていないような、奇抜でおかしな名前を付ける親がいる、というのは、否定できない事実なのではないでしょうか。

 

そんな中でも、この絵本は、自分の名前をわらわれてきたへいたろうくんといっしょに、名前というものについて考えることができる作品です。

 

子どもの名前は親がつけてくれた大切なものだから、どんな名前でも大事にすべし、というような内容ではないところが好きです。

名前がかっこよくても、その人自体がかっこ悪ければ名前もかっこ悪く思えてきますし、かこいい人の名前はかっこよく思えてくる。

 

肝心なのは名前よりも、その人自身の生き様である、と言うと、名前から話をすり替えられたような気分にもなりますが、それはその通りだと思うんです。

名前というのはふしぎなものですね。

 

自分の名前で悩んでいる子どもたちに、このユニークな絵本で、少しでもその痛みを和らげてもらいたい。

そんな気持ちにさせられる一冊。

 

 

それではまた。