『オニのきもだめし』
『オニのきもだめし』
岡田よしたか
小学館
あらすじ
ふたりのオニがよみちをあるいておりました。
「あーあ、えらいおそなってしもたなあ」
「もっとはよでんしゃにのったらよかったなあ」
なんだかおばけがでそうだと、オニたちはびくびくしながらくらい道をあるいていきます。
しばらくいくと、
ヒュルヒュルヒュル~~
「うわっなんかとんできよったで」
「ごぶさたしてます~ひとだまですう~」
「ごぶさたしてへん。あうのんはじめてや」
さらに、
「まいど~」
「なんやきみは」
「ゆうれいどす」
「せやからよなかにこんなみちいくのんいややねん」
「あー、もういややなあ。まわり、おはかやし」
「なんか、あっちからポキポキおときこえるで」
「まいど~がいこつだす」
「うわー、またでたまたでた」
その後もオニたちの前にさまざまなおばけが現れ……
感想
関西弁のオニという時点でなんだか滑稽な感じがする上に、このオニたち、じぶんたちがこわがられる存在のはずなのに、とてもこわがりなんです。
情けない表情で、夜道を歩いていくシーンで、もう笑えてきます。
出てくるおばけたちも関西弁で、とっても明るいので読んでいる側としてはちっともこわくないんですが、オニたちはびくびく。
「まいど~」なんて言って出てくるんですよ、ゆうれいが。
ただおばけが出てきてびくびくするばかりのくり返しから、途中で、オニが逆におばけたちをこわがらせようと作戦を立てるのも可笑しかったです。
しかもその手段が、オニだからそんなことしなくてもいいのでは……? というようなやり方で、さらにはその作戦の結果がまた面白いんです。
ラストはふたりのオニがあまりのこわさに……書いてしまうとつまらないので、ぜひ読んでお確かめください。
あー、面白かった! と言って閉じたくなる、そんな絵本でした。
それではまた。