本棚のすき間

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『きはなんにもいわないの』片山健 書評【絵本】

『きはなんにもいわないの』

きはなんにもいわないの

きはなんにもいわないの

 

『きはなんにもいわないの』

片山健:作

復刊ドットコム

 

あらすじ

お父さんと近所のこうえんにでかけたすーくん。

 

「ねえ、おとうさん、木になって」

すーくんが言うと、

 

お父さんは、木になりました。

 

のぼろうとするすーくんですが、うまくのぼれません。

そこで、お父さんに「どうやってのぼるの」ときいてみますが、

 

(きはなんにもいわないの)

声に出さないで、お父さんはそう言うばかりでした。

 

それでも、すーくんは少しずつのぼっていき、やっとのことで、太い木のえだに立つことができました。

 

すると、上のえだから虫が。

「わあっ、こっちにもむしがいるよ」

 

(きはなんにもいわないの)

 

 

「とりがとんできたよ。あ、とりがうんちしたよ」

 

(きはなんにもいわないの)

 

その後、お父さんの周りにはいろんなものがやって来ます。

でも、なにがあってもお父さんは……

 

 

感想

すっごくシュールで、じわじわ笑いがこみあげてきました。

 

すーくんにお願いされて、即座に木になってしまったお父さん。

そして、木になったのだから、もう、なんにも言わないことを決めこんでじっとしているばかりのお父さん。

でも、その表情でちょっぴり感情の動きが読みとれるお父さん。

 

このお父さん、どうなっちゃうの? と思っていると、あっという間にあっけない結末が待っていました。

なんだったんだろう、このおはなしは? という、読者のそれぞれの感じ方にまかせるような終わり方がにくいです。

 

気軽にお父さんに木になってなんてお願いすると、たいへんなことになるぞ、って、そんなおはなしではないだろうけど、そんな気さえする。

ごっこの世界にかくれている、静かなリアリズム。

 

お父さん、つぎは何になるんだろう。

 

 

それではまた。