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『シニガミさん2』宮西達也 書評【絵本】

『シニガミさん2』

シニガミさん〈2〉

シニガミさん〈2〉

 

『シニガミさん2』

宮西達也:作

えほんの社

 

 

あらすじ

「だれでも、じぶんが生まれた日、たんじょうびはしっています。

でも、じぶんが死ぬ日をしっているひとは、だれもいません。

 

それがわかるのは、その日をきめるのは、わたくし、シニガミでございます」

 

 

ウサギちゃんのおはかのまえで、ブタくんがないていました。

「そうだ……シニガミさんがいるってきいたことがある。

シニガミさん、ぼく、もう、しんでしまいたいんだ。

どうか、ウサギちゃんのところにつれてってください」

 

ブタくんがそういうと、

「どうして、しにたいなんていうのですか?」

シニガミがあらわれ、ブタくんはおどろきました。

 

「なぜ、そうしたいのか、おはなしをきかせてください」

シニガミがそういうと、ブタくんはぽつりぽつりとはなしはじめました。

 

 

ウサギちゃんととてもなかよしだったこと。

いつもふたりであそんでいたこと。

 

ふたりでいると、たのしかったこと。

ずっとずっと、いつまでもこうやってなかよしでいたいとおもったこと。

 

そんなだいすきなウサギちゃんのたんじょうびに、むかし、おじいちゃんがくれた、しあわせになる赤い花をあげようとおもったこと。

そのたいせつな花は、いまはかれて、茶色くなってしまっていたけれど、ウサギちゃんにしあわせになってもらいたくて、プレゼントしたこと。

 

でも、「このおはな、かれててしわくちゃじゃない……。ブタくんのいじわる! ブタくんなんて、だいっきらい!」とウサギちゃんがなきながら花をポキっとおったこと。

 

そして、「た、たいせつな赤い花……だいきらい! ウサギちゃんなんてしんじゃえばいいんだー!」といって、とびだしてしまったこと。

 

 

「そして、なんにちかたって、ウサギちゃんはほんとうにしんでしまった……ぼくがあんなこといったから……シニガミさん、ぼくをいますぐウサギちゃんのところにつれていって……」

 

「わかりましたよ。そのまえに、わたくしのはなしをすこしきいてくださいね」

 

そういって、シニガミはその後のおはなしをはなしはじめました。

 

 

感想

『シニガミさん』とはちょっと違ったベクトルで語られる、「大切なひとの死」をめぐるお話です。

今回は、冒頭からもう、大切なひとが死んでしまってそのお墓の前でブタくんが泣いています。

しかも、「もういちどウサギちゃんにあってあやまりたいんだ」という後悔にみちた感じをにおわせながら。

 

相手のことを想ってしたことを受け入れてもらえずに、ついきつい言葉をぶつけてしまう、そんな経験は多くの方がしているのではないでしょうか。

その瞬間の怒りはたしかに本物ではあるのですが、でも、心の底からそう思っているわけではないのに口をついて出てしまうひどい言葉。

 

そして、それが現実になってしまったという悲劇。

 

それがとてもリアルで、個人的にはとてもよくわかる部分だったので、胸が痛くなりました。

人生、言わなきゃよかった言葉だらけです。

 

 

その後、ブタくんとウサギちゃんはすれ違い続け、お互いに、誤解したまま日々が過ぎていってしまいます。

そういう、上手くいかなさもリアルです。

 

そして、死は一方通行であるということも。

 

大切なひとが亡くなってしまったとき、きっと、多くのひとが、もっとああしていれば、とか、あんなことしなければ、言わなければよかった、という気持ちを、少なからずかかえるのではないでしょうか。

でも、生きているじぶんにできることはなにか、大切なひとのためにするべきことはなんなのかということを、この絵本は教えてくれるのではなく、考えさせてくれます。

 

 

カバーのそでには「この本を『大切な人、愛する人』をなくされた すべての人におくります」という宮西さんの言葉が書かれています。

読み終えたあと、きっと、この文章が胸にせまってくることと思います。

 

 

それではまた。