本棚のすき間

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【百人一首】を第一首から学ぶ(11・12)

百人一首を第一首から学ぶ(11・12)

 

十一首目

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣舟

参議篁

 

大海原に浮かぶ無数の島々を目指して漕ぎ出していったと、都の人には伝えてくれ。

漁師の釣り船よ。

 

 

参議篁は802年生~834年没。

平安前期の公卿であり、文人。

その反骨精神の強さから、「野狂」とも呼ばれたそう。

 

 

解説

一見、勇敢に海へと繰り出す男の歌のようにも思えます。

が、実際には流刑に処され、島流しになったときの心情を詠った一首です。

 

身分は高いが自由を失ってしまった高官が、身分は低くともどこへでも行ける漁師に懇願する様子が、島流しに処された作者の孤独感を一層強めています。

 

作者の参議篁は、健闘しに選ばれ二度海に出たが、いずれも難破して帰国。

三度目の際には、破損した船に乗せられそうになったことに腹を立て、仮病を使って渡航を拒否しました。

 

さらには調停を遠回しに風刺したような詩を作ったため、隠岐諸島への流罪に処されることになったのでした。

 

隠岐諸島は島根県沖にある島々ですが、当時は中国地方からの海洋ルートが確立されていなかったため、大阪から瀬戸内海を抜け、関門海峡を通ると言う長い道のりでした。

 

 

 

十二首目

天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ

僧正遍昭

 

天高く吹く風よ、天女が通るという雲の道を閉ざしてくれ。

彼女らの姿を地上にとどめておきたいのだ。

 

 

僧正遍昭は816年生~890年没。

桓武天皇の孫で、六歌仙のひとり。

僧正とは、僧侶の中でも高い地位のひとのことを指します。

 

 

解説

天高く吹く風を擬人化し、天女が展開と地上を行き来すると考えられていた「雲の通ひ路」を閉ざしてほしいと呼びかけた歌です。

 

『古今集』の詞書に「五節の舞姫を見て詠める」とあることから、実際には天女ではなく、宮廷の儀式で舞を披露する舞姫を見て詠った歌であることがわかります。

彼には、懸命に踊る舞姫の姿が天女のようにみえ、その様子をずっと見ていたいと思ったのでしょうか。

 

「五節の舞」についてですが、まず、宮中では毎年秋になると、稲の収穫を祝い、次の年の豊作を祈る「新嘗祭」という行事がありました。

その翌日にとりおこなう「豊明節会(天皇が新米を食べる儀式)」の場で行われる舞が「五節の舞」なのです。

舞姫は、貴族の未婚の女性の中から選ばれました。

ちびまる子ちゃんの暗誦百人一首 (満点ゲットシリーズ/ちびまる子ちゃん)

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