本棚のすき間

読書・書店・学校図書館についてのあれこれ

【おすすめ絵本】『オニじゃないよ おにぎりだよ』シゲタサヤカ

『オニじゃないよ おにぎりだよ』

オニじゃないよ おにぎりだよ

オニじゃないよ おにぎりだよ

 

『オニじゃないよ おにぎりだよ』

シゲタサヤカ:作

えほんの社

 

 

あらすじ

オニはおにぎりがだーいすき。

だから、いつだって、おにぎりを食べてばかりいます。

 

ある三びきのオニたちが、山でおにぎりを食べていると、しいたけをとりに人間たちがやって来ました。

「ぎゃー!」

「たすけてー!」

人間たちはおおあわてでにげていきました。

 

「んあー? あいつら、いったいなんのさわぎだー?」

「こんなひるまっから、オバケにでもあっちまったかー?」

三びきはたいして気にもとめず、目の前のおにぎりに夢中になっていました。

 

なので、彼らが人間たちのおとしものに気づいたのは、それからずいぶんと長い時間が経ってからのことでした。

 

こじゃれた箱をあけてみると、なんと中身は……

 

「おにぎりだー!」

「あいつら、なかなか気が合うね!」

 

ちょいと味くらべと口に入れてみると、

「ゲ~!」

「まず~い!」

「なんだこりゃ~!」

 

時間が経ってカチカチでバサバサでちょっぴりプーンとしたおにぎりに、オニたちはひどい顔。

 

ところが、なにを思ったのか、オニたちは、

「にんげんどもがかわいそう!」

「いつもあんなおにぎりを食べてるなんて!」

「まってろよ! いますぐうまいおにぎりとどけてやるからな!」

と言って、大きなおかまでごはんをたくと、なれた手つきでおにぎりをにぎりだしたのです。

 

たくさんのおにぎりといっしょに山を下りていったオニたちですが……

 

 

感想

おにぎりが大好きなオニたちと町のひとたちとのすれ違いに思わず笑ってしまいました。

 

心やさしいオニたちなんですが、ちょっとまぬけで、でもまっすぐで。

そんな彼らが、町のひとたちのためにたくさんのおにぎりを作るシーンがあって、それがとっても美味しそうなんですよね。

エビフライやらシャケやらシイタケやらなんだかよくわからないものやらがちょこんとてっぺんにのっているおにぎりたち。

リアルで美味しそうな感じというわけではないのですが、なぜだかお腹にくるものがあります。

 

オニたちは、人間たちがまずいおにぎりを食べていることにかなしみ、あわれみ、もっといいおにぎりを食べさせたやりたい、と立ち上がります。

でも、町のひとたちからすると、そんな、オニが山からおりてくるというだけで、ねえ。

 

それに気づかず、オニたちは失敗について、じぶんたちなりに考察し、また作戦を立てて山を下りていくんですが、この、そうじゃない感!

こういうのって、まさに、子どもたちの日常でもあるんじゃないでしょうか。

 

こちらがこうしてほしい、というのとは全然違った方向性で、子どもなりに考えてなにかをしてくれるんだけど、そうじゃないの! っていう、あれです。

だから、この三びきのオニたちがやけにほほ笑ましく感じられるのかなあと。

 

 

シゲタサヤカさんの別の絵本の登場人物もひっそりと出ていたり、オニたちがしいたけジュース(ビール?)をのんでいたりと、細かいところまで楽しい素晴らしい絵本でした。

 

こちらもシゲタサヤカさんの絵本の紹介記事です。

どれも面白いのでよろしければ。

www.nahdaannun.com

www.nahdaannun.com