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福岡県春日市の中学校図書館 民間委託について

春日市の中学校の司書の運用について、こちらの記事を読みました。

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福岡県春日市の中学校図書館民間委託について

かいつまんで書きますと、2020年度から現行の嘱託職員配置を見直し、民間業者への委託に切り替えることを考えている、と。

 

通常学校司書は県や市町村の職員(公務員・非常勤職員)として各校に配属される、という形が多いと思うのですが、これは、どうなんでしょうね。

 

 

現在の勤務は週3日間のそれぞれ5時間だそうです。

これだって、もう十分蔑ろにされていることがよくわかる数字だと思うのですが。

 

現在の司書が「勤務時間の増加が先決」と反発していると書かれています。

学校司書は基本的に終わりのない仕事だということを理解していなければ、この主張がすんなりと受け入れられないのでしょう。

 

春日市の教育委員会は、小学生の平均読書冊数に比べて中学生の数値が低いことを受け、民間活力の導入に期待し、業務委託を計画しているとあります。

 

「その代わり、中学校の図書館業務全体を統括するポストを設け、授業への活用も積極的に提案してもらいたいとしている」ともありますが、これはどういうことなのでしょう?

中学校の図書館業務はその中学校の司書が基本的に運営を行っていくものだと思うんですけど、それとは別に、統括するポジションを作るということですか?

 

運営するにあたっての問題 

この運営の仕方で最も疑問なのが「民間業者が中学校に派遣する社員に対し、学校長らが直接指示などをすることは「偽装請負好意」とみなされ、許されない」という部分。

学校司書は学校の中の一職員であって、いろんな学校があるんでしょうけど、校務分掌を持たされ、行事なんかでは係を任されることも少なくありません。

 

それに、図書館側が担任の先生や校長先生にお願いをして、図書館の企画として何かをさせてもらったり、授業支援を行ったりするのがふつうかと思います。

校長から指示することが許されない以上、司書からそうした提案をするということも、スムーズにできるとは思えません。

 

学校司書は馬鹿にされている?

この春日市が行おうとしていることは、学校司書という仕事や、それに人生を費やそうとしている方々の気持ちを、まるで考えていない施策だと思います。

その勤務形態を良くしようという姿勢が一切感じられません。

 

民間業者に委託し、その分人件費がかさむというのであれば、まずはやはり勤務時間を増やし、フルタイムで働けるようにするのが先決でしょう。

全員がそうした時間で働く必要があるかどうかは別ですが、まっとうな図書館業務を期待しているのであれば、週5日のフルタイムにすべきです。

 

それでも、嘱託職員ということは、もちろん、非正規・非常勤的な給与での勤務かと思いますが、それを、正規の職員にしていく、というのが一番です。

 

司書というのは資格がありますが、学校司書という資格はありません。

私自身も、司書の資格は持っており、要項に司書資格を有するものとあった町の司書の募集を受けましたが、ふたを開けてみれば学校司書配属という経験があります。

 

自治体によっては、司書資格の有無を問わずに司書を配置しているところもあるのでしょうね。

そこで、司書資格所有者と、そうでない者をきちんと区別して、給与なりなんなりに差を作ってくれればまあいいんでしょうけど、そんなこともないのではないでしょうか。

 

司書資格所有者も非所有者も、同じ嘱託・非常勤職員として扱い、そこからステップアップする道もなく、むしろ、雇用切り・雇い止めという不安を感じながらの日々を送ることについて、自治体はどうお考えなのでしょう。

 

個人的な話 

私が勤務している町では、大っぴらに読書教育には力を入れている、ということを、いろいろなところで掲げています。

それは、まあ、いいんです。

まったくもって読書教育に関心もなく、スルーされているというのよりは、まだましかなと思います。

 

去年の年度末、私は学校司書二年目で、異動することが決まっていました。

そして、次年度の雇用契約書が役場から届けられ、それを見て驚きました。

 

月給の部分の額が、昨年度よりも5000円下がっていました。

事前の連絡や通達は何もなしです。

きちんと見なければ気づかない人もいると思います。

まさか、しれっと給与額を下げられているなんて、なかなか思わないじゃないですか。

 

非常勤職員ですが、一応、公務員とされています。

いろいろな部分で、町の職員としての自覚と責任をもって云々という話をされます。

 

それで、説明をと思い、町の教育課の課長に電話をかけました。

教育課の説明では、町の非常勤職員の他の職種(支援員や給食調理、庁務員など)に比べて、司書の給料が高かった、そのため、町内の司書の給与額を一律で下げるということを町の総務課が提案した、というような話でした。

 

ほかに比べて司書の給料が高かったといったって、非常勤職員ですから、たかが知れています。

都会の時給のいいバイトとそんなに変わらないくらいです。

 

それに、ここの司書は全員司書資格を持っているはずです。

その専門性をまるで考慮していない決定に、呆れてしまいました。

 

昨年と、その前の年、私は自分なりにできることをやっていこうと思い、様々な取り組みを行い、校長先生や教育委員会、保護者の方々に、その仕事を認めていただけたと自負しています。

実際に、教育長なども、面談をした際には「よくやってくれているので、その調子でお願いしたい」というような言葉をかけてくれていました。

 

口では褒めておきながら、見ていないところで給料を下げるというようなことをするのが、この町のやり方なんだと思ったら、怒りを通り越し、悲しくなって、げんなりしました。

課長にも電話口で「背中を向けたとたんに唾を吐かれた気分です」と言ってしまいましたが、百パーセント本音です。

 

そういうやり方をするのであれば、仕事のかけもちをさせてください、と私は強く言いました。

こちらにだって、生活があります。

基本的には副業は禁止、とされていましたが、こちらの怒りが伝わったのか、しばらくしてから申請書を渡され、すんなりと受理されました。

 

そういうあやふやな部分があるということも、個人的には腹立たしいと感じましたが、とにかく、司書という職を馬鹿にされていることはよくわかりました。

 

 

全国の自治体でも、こうしたことが起きているのでしょうか。

保育士のその待遇の悪さについての話題ほど、あまり表には出てきていない気がしますが、きっと苦しんでいたり、怒っていたり、悩んでいる司書の方というのがたくさんいるのだと思います。

 

いまの多くの自治体の考え方のままいけば、きっとそのうち司書という仕事はAIに代替されたり、より劣悪な待遇になっていくのでしょう。

でも、人間にしかできない部分というのは確かにあって、レファレンスの業務だったり、子どもたちの読書支援だったり、そうしたことが無視されてしまうのだとしたら残念で仕方がありません。

 

 

私は、実際に自分が学校司書になってみて初めて、何かを決める立場にある人たちが司書のことをどう考えているのかがわかりました。

今回の春日市の記事の内容もそうですが、もう少し、学校司書という仕事、司書という職をきちんと見つめてみてほしいと感じました。

これからの日本を背負っていく子どもたちの教育の、その一助となりたいという思いは、きっと各学校司書の先生たちの中にもあると思うのです。

 

司書と先生がつくる学校図書館

司書と先生がつくる学校図書館

 

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