本棚のすき間

絵本や小説、図書館についてなど、本全般について書いています。

『ふまんがあります』ヨシタケシンスケ:作 【絵本】あらすじ・感想

『ふまんがあります』

ふまんがあります (PHPわたしのえほん)

ふまんがあります (PHPわたしのえほん)

 

『ふまんがあります』

ヨシタケシンスケ:作

PHP研究所

 

 

あらすじ

わたしはいまおこっている。

なぜなら、おとなはいろいろとズルいからだ。

 

「パパ! わたしはふまんがあります!」

 

たとえば、

どうしておとなはよるおそくまでおきているのに、こどもたけはやくねなくちゃいけないの?

 

「それはねえ……おおきなこえじゃいえないんだけどね……」

パパはしんみょうな顔で、正座をしてこういう。

「じつは、つぎのクリスマスのために、サンタさんからたのまれたちょうさいんが、<よるはやくねるこかどうか>をなんかいもしらべにくるんだよ」

 

……ホント?

うん。ヒミツだけどね。

 

ホントかな……。

 

でも、ふまんはまだまだ。

たとえば、

どうしておふろにはいるじかんを、おとながかってにきめちゃうの?

 

「ああ……それはね。はやくはいらないとヤツらがきちゃうからなんだ」

パパはまじめな顔でこたえる。

「なぞのいきもの<おふろあらし>より、さきにおふろにはいらないと、おゆがなくなっちゃうからなんだ」

 

へーえ。そうなんだ。

そうなんだよ。

 

「じゃあさ、どうしてパパはおこるとすぐに、かってにしなさい! とかいうの? かってにしたらしたで、またおこるくせに……」

 

「どんなかってをするか、ちょっとみてみたいからだよ」

かってにゾウにのる。

かってにそらをとぶ。

かってにおしろをつくる。

 

「じゃあ、どうして」

わたしにはまだまだ、ふまんがある。

 

 

感想

子どもにとって、りふじんだ! って思うことって、いっぱいあるのでしょう。

大人からしたら、きちんとした理由があったり(なかったりもしますが)するんですけど、この絵本では、それを、よりユニークな形で、子どもが納得するようにパパがその理由を教えてくれます。

 

その理由というのが、どれもとんでもないものばかりなんです。

もちろん、きちんとしたわけを説明して、正しい理由を教えてあげるのも大事なことなんでしょう。

でも、こんな風に、ユーモラスな返しで子どものふまんにこたえてあげられるパパって、なんて素敵なんだろうと思ってしまいました。

 

個人的に好きなのが「どうしておとなだからってウィンナー2ほんもたべていいの?」という不満に、

「おとなのなかにはこどもがはいっているから、おとなのパパと子どものパパに、ウィンナーは一本ずつなんだよ」

と返すところです。

 

おとなって、確かに全員もれなく子ども時代を過ごしてきて、おとなの中には子どものじぶんもいたりするよなあ……って、なんだか哲学的なことを考えさせられたりもするのが、やっぱりヨシタケシンスケさんの絵本の、おとなも楽しめるりゆうの一つだと思います。

 

子育てをしている親御さんにも、ぜひ「子どものふまんにこんな風にこたえてみた」シリーズ(?)であるこの本をおすすめしたいです。