本棚のすき間

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『ぼくのニセモノをつくるには』ヨシタケシンスケ:作 【絵本】あらすじ・感想

『ぼくのニセモノをつくるには』

ぼくのニセモノをつくるには

ぼくのニセモノをつくるには

 

『ぼくのニセモノをつくるには』

ヨシタケシンスケ:作

ブロンズ新社

 

 あらすじ

しゅくだいおてつだいへやのそうじ、やりたくないことだらけでゲンナリしていたぼくは、ある日いいことをおもいついた。

 

「ぼくのニセモノをつくって、そいつにぜんぶやってもらおう!」

 

さっそくぼくはおこづかいをぜんぶつかってロボットを1たいかった。

 

いえまでのかえりみち、ぼくはロボにニセモノさくせんについてせつめいした。

そのためには、バレないように、ぼくそっくりになってもらわないといけない。

 

じゃあ、あなたのことをくわしくおしえてください! とロボにいわれたはいいけれど、なにからおしえればいいんだろう?

 

まずは、

ぼくは なまえとかぞくがある。

 

なまえはよしだけんだ。

せいべつは男。

たんじょうびは……じゅうしょやがっこうは……

しんちょうたいじゅうけつえきがたは……

 

それから、おとうさんはたけし、おかあさんはゆうこ、ぼくけんた、おとうとはかんた、ネコはニャータ。

 

 

それから、

ぼくは 外からみるとこんなかんじ。

 

耳たぶがちいさい。

おしりにホクロがある。

はなみずがよくでる。

しゃっくりもよくでる。

手のひらがいっつもペトペトしてる。

まいあさねぐせがつく……

 

よし、これでもうぼくのことはわかったでしょ。

ぼくのニセモノよろしくね!

 

でも、ロボットはまだ「けんたくんらしさ」がわからないという。

「ぼくらしさ」!?

ぼくはぼくなんだけどな……。

 

じぶんのことをはなすのって、むずかしくてめんどくさい。

 

 

たとえば、

ぼくは すきなものときらいなものがある。

すき あじつきのり ドングリ(ぼうしつき) おばあちゃん スコップ

きらい さくぶんのしゅくだい こうすいのにおい ヒモのくつ ハンドクリーム

 

あと、

ぼくは できることとできないことがある

できること ウィンク いっしゅんハンドルから手をはなす みえない敵とたたかう

できないこと タマゴをじょうずにわる 女子のきもちをりかいする ひとりでスーパーのししょくコーナーにいく

 

 

それから、それから、ぼくは……

 

 

 感想

ヨシタケシンスケさんの絵本はどれも魅力的で楽しくて素晴らしいんですが、中でもこの作品が個人的には一番好きかもしれません。

 

ストーリー的なものはあまりなく、とにかく、ぼくっていったいなんだろう? という問いに対して、いろいろな角度から答えていくという感じになっています。

 

それは、この作品では主人公のけんたくんのことについて語られていくわけですけど、読んでいると、きっとみんな、それぞれじぶんはどうだろう? という風に考え始めることと思います。

 

ぼくは あとがのこる

というテーマのページがあるんですが、けんたくんがつかったりつくったりしたものは、なんだかぜんぶぼくっぽくなってしまう、と書かれています。

たとえば、えんぴつのおしりのところがかじられてぎざぎざになっていたり、ごはんを食べたあとの食器には、微妙にごはんつぶがのこっていたり(きれいに食べましょう)します。

 

それらは、みんな、「けんたくんのいたあと」が残っているということです。

 

これを読んで、私は、「じぶんがいたあと」はどんな風に残っているだろうか、と考えさせられました。

じぶんがしていることやつくっていることはすべて、なんらかの形になって(形としてじゃないかもしれませんが)、あとが残っているのでしょう。

なんだか、それこそが人生なんじゃないかとさえ思えてしまいました。

 

この絵本を読むと、きっと、じぶんをもっと大事にしようと思えます。

そして、それが今度はだれかを大事にする力になるかもしれません。

 

子どもが読んだら、もっと楽しくて面白い絵本という印象かもしれませんが、大人が読むとまた違った印象を受けることと思います。

ぜひ、親子で読んでみてほしい一冊です。