ジョン・クラッセンのおすすめ絵本4選
こんにちは。
今日はジョン・クラッセンの絵本の中から、おすすめの4冊を紹介したいと思います。
『どこいったん』
『どこいったん』
ジョン・クラッセン 作 長谷川義史 訳
クレヨンハウス
あらすじ
ぼくのぼうし どこいったん
さがしにいこ
と言って、くまはぼうしを探しにいく。
どうぶつたちと会い、
ぼくのぼうし どこいったん
ときいてまわる。
でも、だれもくまのぼうしのことは知らない……。
けれど、シカに
どんなぼうし?
どきかれ、その特徴を答えているうちにくまはあることに気がつき……。
感想
含みのあるラストで、賛否両論あるそうですが、子どもの想像力に問いかける、という意味では間違いなく素晴らしい絵本です。
ラストのなんとも言えないくまの表情と、不穏でダークな雰囲気がくせになります。
読み終えたあと、子どもたちはそれぞれに、結末はああだこうだと言って、もり上がったりもして。
それでいいと思うのです。
その子がそう思ったのなら、それで。
そういう、ふところが深いところも、絵本のいいところな気がします。
『ちがうねん』
『ちがうねん』
ジョンクラッセン・作
クレヨンハウス
あらすじ
主人公は小さなさかな。
小さなさかなは大きなさかなからとってきたぼうしをかぶって、ジャングルへとにげていく。
ひとのものを盗ってきたにもかかわらず、小さなさかなはよゆうしゃくしゃく。
でも、じつは小さなさかなが思っているようにはことが運んではおらず……。
感想
どこいったんとは物語の運び方が少し違っていて、どのページでも子どもたちが反応しやすいしかけがほどこされています。
読み聞かせをしながら、子どもたちはいろいろなことに気づき、いろいろなことを指摘してくれます。
しずかに聞いていてほしいときももちろんありますが、こういう絵本は、気づいた感動や発見の楽しさを十分に表現してほしくなります。
ラストはこれもまた意味深な閉じ方で、子どもたちはじぶんの考えを主張したくなって、ああだこうだが止まらなくなるのが楽しいです。
因果応報と思うか、かわいそう、と思うかはひとそれぞれ。
それでいいじゃない、と思うのです。
『みつけてん』
『みつけてん』
ジョン・クラッセン:作 長谷川義史:訳
クレヨンハウス
あらすじ
ぼうし、みつけてん。
ふたりて、ぼうし、みつけてん。
でも、ぼうしひとつやな。
ぼくら、ふたりやのになあ。
どや、にあう?
うん、かっこええで。
なあ、ぼくはどう?
ええんちゃう?
このぼうし、ふたりともにあうで。
でも、どっちかかぶったら、どっちかかぶられへんなあ。
そんなん、あかんなあ。
ほな、こないしたら、どう?
ぼうしはここにおいといて、みつけんかったことにしよう……。
感想
『どこいったん』『ちがうねん』を読んでから、このシリーズのもう一冊をずっと読めずにいたのですが、先日図書館で見つけてようやく読むことができました。
前の二作とこの作品、のぼーっとした、ちょっと不穏な雰囲気なんかは共通しています。
大きく違うのは、読後感だと思います。
前二作はどちらかと言うと、ダークな終わり方でした。
シリーズ三作すべて読んだ方は、どれが一番好みでしょうか?
私は、この『みつけてん』が一番好きです。
(なぜ、もっと早く読まなかったのか、と思うくらい)
ぼうしを見つけたふたりのかめは、夕日をふたりで見るのですが、ここで、ほんのちょびっと物語が動きます。
というか、感情や気持ちの部分の違いがかいま見えます。
それがまた、とてもさりげなく、そしてユーモラスに描かれており、心をくすぐられました。
最後に、ふたりは寝ることにするのですが、ここで、片方のかめがある行動に出ます。
それは、もちろんぼうしに関わる事なんですが、書いてしまってはつまらないので、ラストはぜひ、手にとって読んでみてください。
かめたちは、あの素敵なぼうしをいったいどうするのでしょうか?
『アナベルのふしぎなけいと』
『アナベルのふしぎなけいと』
マック・バーネット:文 ジョン・クラッセン:絵 なかがわちひろ:訳
あすなろ書房
あらすじ
雪のつもったある寒い日、アナベルははこをひろった。
なかには色とりどりのきれいな毛糸が。
うちに帰ったアナベルは、その毛糸で、セーターをあんだ。
でも、まだ毛糸がのこっていたので、いぬのマースのセーターもあんだ。
それでも毛糸はまだのこっている。
近所の友だちのネイトとネイトの犬のセーターをあんでも、クラスメイトと先生のセーターをあんでも、それでもけいとはまだのこっていた。
まちじゅうが、アナベルの毛糸の色にそまっていった。
やがて、ふしぎな毛糸の話は世界じゅうに広まり、ある日、おしゃれなことで有名な王子が海の向こうからやって来た。
百万ドルはらってもいいから、その毛糸を売ってくれ、と言われたアナベルは首をたてにはふらなかった。
でも、王子はどうしてもふしぎな毛糸がほしかったので……
感想
雪のふる町の、しずかな音がきこえてくるような絵本です。
ひろったふしぎな毛糸が、次から次へとセーターになっていき、町の様子が変わっていく感じが幻想的です。
そこに現れる強欲な王子がまた、いい味を出しています。
アナベルのふしぎな毛糸はどうなってしまうのか、とやきもきしながら読んでいったところに、あのラストの展開。
素晴らしいです。
絵を描いているのはあの『どこいったん』や『ちがうねん』を書いたジョン・クラッセンです。
このひとの描く絵がまた独特ですてきなんです。
ジョン・クラッセンの絵本ファンが喜びそうなページも。
どこがそのページか、探してみてください。
まとめ
『どこいったん』を見たことがある、という方は多いのではないでしょうか?
ジョン・クラッセンは他にも素敵な絵本を作ってらっしゃるので、ぜひ、子どもと一緒に読んでみてください。
入園・入学のお祝いに、ぼうしシリーズの絵本セットもおすすめです。
それではまた。