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【百人一首】を第一首から学ぶ(75・76)

百人一首を第一首から学ぶ(75・76)

 

75首目

契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり

藤原基俊

 

あなたが約束してくれた、させも草の露のような恵みのお言葉を命のように大切にしてきたのに、ああ、今年の秋もむなしく過ぎていくようです。

 

解説

作者の基俊は、かの有名な関白、藤原道長のひ孫です。

しかし、息子である光覚の活躍はあまり見ることができず、そんな中、興福寺の法会の講師にしてもらいたいと思っていました。

そのことを藤原忠通に相談したところ、「私を頼りなさい」という返事があったので、吉報を待っていましたが、結局、選ばれることはなかったそうです。

 

そんな、無助の出世を願ったものの、うまくいかなかったことを詠んだ歌です。

 

「させも(さしも草)」と「さしも(あんなにも)」との掛詞から、忠通に裏切られたことへの憤りがにじみ、「いぬ(過ぎる)」+「めり(だろう)」から息子の出世のチャンスを逃したことへの未練が感じられます。

 

中納言定家の父俊成は、基俊を歌の師として仰いでいたと言われています。

 

 

藤原基俊は1060年生~1142年没。

歌壇の指導者として活躍しました。

 

 

 

76首目

わたの原 こぎ出でてみれば 久方の 雲ゐにまがふ 沖つ白波

法性寺入道前関白太政大臣

 

広々とした海に漕ぎ出して見わたすと、雲と見間違えるような、沖の白波が立っていることですよ。

 

 

解説

崇徳天皇が在位中の歌合にて、「海上の遠望」というお題で詠まれた歌です。

 

波と雲の境が分からないほどの大海原へとこぎ出す船に、摂政となり、これから政治を始める自身の立場、想いを詠んだのでしょう。

しかし、のちには暗雲が立ち込め、保元の乱で、作者は崇徳院と争うことになってしまいます。

 

「久方の」は「雲ゐ」にかかる枕詞で、「まがふ」は「区別がつかなくなる」という意味になります。

通常、「雲居」とは雲のいるところとして、空を指しますが、この歌では雲そのものを指しています。

 

法性寺入道前関白太政大臣

1097年生~1164年没。

藤原忠通のことです。

藤原氏の長として、太政大臣を務めました。

 

ちなみに保元の乱は後白河天皇と崇徳院兄弟の争いです。

作者は天皇側、作者の弟は院側に味方し、天皇側が勝利しました。

 

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