本棚のすき間

絵本や小説、図書館についてなど、本全般について書いています。

学校司書じゃなくなった夜に思うこと

突然ですが、これを読んでくださっているあなたは、子どもの頃、本は好きでしたか?

 

子どもの頃から本が好きで、今も好きという方。

子どもの頃は本が好きだったけど、今はそうでもないという方。

子どもの頃は本が好きじゃなかったけど、今は好きという方。

子どもの頃から本が好きじゃなったし、今も好きじゃないという方。

 

ものすごく大ざっぱに分けると、この四つのうちのどれかに当てはまるかと思います。

漫画は本に入るの? という質問がありそうですね。

漫画だって、もちろん、本に入ると思います。

 

あんなものは本じゃない、と言う人もいます。

が、そんなことを言う人のことは放っておいていいでしょう。

 

私は、子どもの頃は本が好きじゃなかったけど、今は好き、に当てはまります。

本当に、読書の記憶が全くといっていいほどありません。

 

でも、本が好きじゃなかったのか、というと、一概にそうとも言い切れない部分もあるのかなと思います。

ただ、本よりも好きなものがたくさんありすぎて、本を読むということに意識が向かなかったというだけなのかもしれません。

 

 

今でこそ、本が好きで、書店員もやりましたし、学校司書もやりましたが、子どもの頃から本が好きで、読書をし続けている人とたまに会うと、その本の知識の多さに驚かされます。

それと同時に、ああ自分も子どもの頃から本が好きだったならよかったのに、という気分にもさせられます。

でも、人生ってわからないもので、子どもの頃から本が好きだったら、もしかしたら大人になって逆に本が好きじゃなくなっていたかもしれない、とも思うんです。

 

本ばかり読んでいたら、その分、他のことをする時間はなくなります。

そうして、大人になった時に初めて出合ったものの楽しさに感動し、本を読むということよりもそちらに熱中する、ということもありそうです。

 

自分がまさにその逆だったから、そう思えるのかもしれませんね。

 

自分は中学三年生の時に本を読むということの楽しさを知りましたが、それまでは全然違うこと、たとえばゲームやスポーツなんかに夢中で、だからこそ、それまで触れたことのなかった読書の喜びというものが新鮮であり、衝撃的でした。

 

そういうことって、ないですか?

 

 

学校司書になってみて、私が、自分と他の人との違いという部分で、一番感じたのは、周りの司書が「子どもの頃から本が好き」な人たちばかりだということです。

子どもの本に関する記憶のストックが凄まじいんです。

もちろん、個人差はありますが、子どもの頃には本は全く読んでいなかった、という司書とは一度も出会いませんでした。

 

子どもの本に関する知識の量では太刀打ちできないなと思いました。

日々、読書はし続けていましたが、それでも、蓄積してきたものを超えるということはなかなか難しいものです。

 

学校司書の力量は、子どもの本に関する知識量だけで決まるわけではありません。

そこで、私は自分が学校司書として、他の司書にはない強みを活かそうと思いました。

 

それまで、書店員を数年やっていたので、そこでの経験、POPでの本の紹介やディスプレイの仕方など、を活かすということもありましたが、そういうのってわりと表面的といいますか、やるだけなんですよね。

それ以上のことが出てこない、という感じです。

 

実際に学校図書館で働き始めた中で、私は、ある時ふと、自分の子どもの頃のことを思い出しました。

こんな風に、朝や休み時間に図書館に来るような子ではなかったな……と。

 

そこでぴんときました。

自分にしかないもの、自分の強みというのは、自分がそういう子であった、ということに、気がつきました。

 

その日から、私は、本がまだ今は好きじゃない子の心に届くような企画やイベントを考えるようになりました。

自分の中にいる、子どもの頃の自分に問いかけるようにして、こういう企画だったら図書館に行きたくなるよね、と。

 

そういう感覚で、いろいろな企画やイベントを実施していったところ、手前味噌ですが、あまり図書館に来なそうな子たちが、そういった企画につられるようにして、ちらほらと図書館に現れるようになりました。

元々本が好きだという子たちも、企画を楽しみながら、引き続き本を借りたり読書をしたりしてくれていました。

 

たまたま、実施した企画やイベントが、上手いことその子たちの心に届いたということもあるでしょうし、実際、全然盛り上がらなかったものもありました。

 

 

もとから勉強がよくできる人は、できない人の気持ちがわからない、という話をよく聞きます。

読書において、もとから本が好きな人は、好きじゃない人の気持ちがわからない、とまでは思いませんが、好きじゃなかった人の方が、好きじゃない人の気持ちをより身近に感じられる、というのはあるのかもしれません。

というか、私が他の司書よりも長けていたのは、そこの部分だけだったので、自己肯定したいだけなのだと思いますが……笑

 

そんなこんなで、図書館でいろんな企画やイベントを行ってきた三年間でした。

最終的には、本が好きな子はその世界をより広げ、本が好きじゃない子にすこしでもその楽しさを知るきっかけを、というスタンスで日々を送ってきました。

 

どれだけ自分が子どもと本を繋ぐことができたのか、数値ではかることのできない仕事なのでわかりませんが、一人でも二人でも、図書館や本というものの楽しさに触れる手伝いができていたらいいなと思っています。

 

三年間という短い期間でしたが、社会人になってから、最もやりがいと喜びに満ちた時間だったということは確かです。

 

学校図書館からは離れることになりますが、今後も、子どもと本を繋ぐ何かはしていきたいですし、隙を見つけては行動していくつもりです。

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。

 

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