私が勤務している小学校の図書館は、アレが出るということを転任前から聞かされていました。
前任の先生から聞いていた話では、まず、カウンターに貸出用のパソコンがあるのですが、そのパソコンをシャットダウンしても、電源が勝手に入ってしまうとのこと。
それから、その先生はとても几帳面な先生で、棚の乱れにも厳しく、いつも図書館をきれいにして帰っていたそうです。
でも、ある朝学校に来てみると、絵本のじゅうたんのスペースに、絵本が数冊落ちていたことがありました。
二段あるその棚の上には面出しができる棚があり、窓もあって、夏場は風が吹くとそこにある本が落ちてくることは、確かにあります。
でも、帰る際にはもちろん窓は閉めて帰ります。
だれかが読んで、そのまま、なのではないかと……。
そして、当時の教頭先生はわりと霊感のある方だったらしく、ある夜校舎内の見回りを、教務主任の先生と一緒にしていたそうです。
そして、図書館の窓ぎわの辺りまでくると、急に、からだが動かなくなりました。
教頭先生は「いま、横を通った」とつぶやきました。
様子がおかしいことに気がついた教務主任の先生が近づくと、教頭先生は顔面蒼白、血の気を失ったようにそこに立っていたそうです。
前任校にいた時に、その話を聞いていた私は、そこの学校にだけは絶対に異動したくないなと思っていました。
でも、することが決まってしまったのです。
そうして、四月、異動してきた学校の図書館は、とても居心地が悪く、いつもそのことが頭のどこかにあって、常にびくびくしていました。
前任の先生からは「冬場、暗くなるのが早くなったころからだった気がするけどね」と言われていましたが、全然、慰めにもなっていませんでした。
そして、その日はやってきました。
授業が全て終わって児童も下校し、もうカウンターのパソコンは使わないので、シャットダウンをしていました。
司書室の方のパソコンで私は作業をしていました。
すると、だれもいないカウンターの方から、いきなりピロリロリンという音がして、からだが小さくとびはねました。
図書館のパソコンには、貸出用のスキャナーが付いており、パソコンの電源が入るとそのスキャナーから音がするようになっていました。
つまり、パソコンの電源が入った、ということでした。
私は司書室のイスに座ったまま、カウンターの方を見ました。
もちろん、カウンターはおろか、図書館の中にはだれもいません。
ただ、パソコンの電源ランプは点いていました。
モニターの方は点いていないので、画面は真っ暗です。
いよいよ、と私は思いながら、その場にかたまっていました。
冬場どころか春なんですけど……といやに冷静なことも考えながら、心臓のどきどきがおさまるまで、しばらくエロいことを考えていました。
エロいことを考えていると、こわいものがどこかにいく。
いつだったか、だれかからそう聞いたことがあったのです。
なので、状況的にはとてもおかしいのですが、がくがくしながら私はエロいことを無理やり考えていました(?)
そのおかげか、何ごともなく、ぶじに仕事を終えることができました。
その後も、パソコンの電源を落とすと、いきなり勝手に点くということが何度もありました。
他の先生が図書館にいた時にも起きていたようです。
この話、子どもたちにしたらどうなっちゃうだろうなんていけないことを考えたりもしましたが、怖がって図書館に来てくれなくなったらいけないと思ってやめておきました。
でも、何人かの先生たちには話しました。
皆さん、遅い時間に図書館に行くのはやめとこ、とおっしゃっていました。
正解だと思います。
学校の図書館には、怖い本がたくさんあります。
子どもたちも、そういう本が大好きです。
私は、どちらかといえば苦手なので、この話をいまこんな風にブログの記事にしてしまえていることにとてもほっとしています。
本当に、何ごともなく終えられてよかった。
楽しい図書館作りの裏側で、そんな恐怖と戦っていたという裏話でした。
それではまた。

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