本棚のすき間

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【百人一首】を第一首から学ぶ(83・84)

百人一首を第一首から学ぶ(83・84)

 

83首目

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

皇太后宮大夫俊成

 

世の中には悲しみから逃れる方法などないものだ。

思いつめて入ってきた山奥にさえ、悲しげな鹿の声が響いている。

 

 

解説

平安時代から鎌倉時代の初め、世の中は大変不安定で、作者の友人たちは次々に出家していました。

親しくしていた西行法師もその一人で、27歳だった作者にとっては大きな衝撃だったようです。

俊成も出家しようか迷いながら、山の中を歩き、鹿の鳴き声で出家の迷いを拭い去りました。

 

「道こそなけれ」は「方法がない」という意味です。

 

 

皇太后宮大夫俊成

1114年生~1204年没。

百人一首を選定した藤原定家の父親。

63歳で病におかされ、ついに出家します。

91歳で亡くなるまで、和歌をよりどころとして暮らしました。

後鳥羽院に仕え、『千載集』をまとめました。

 

 

 

84首目

ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

藤原清助朝臣

 

もしこの世に長く生きていれば、今のつらいこともまた懐かしく思い出されることでしょう。

つらいと思っていた昔が、今では恋しく思い出されるのですから。

 

解説

父との不仲により、不遇な青春時代を送った作者による、悲哀と希望の歌です。

『続詞花集』という歌集をまとめていましたが、完成間近で天皇が亡くなってしまいます。

そのため『勅撰集』という「箔」がつかずじまいになってしまいました。

 

「ながらへば」は「生きながらえていたら」で、「このごろ」はつらいことの多い現在を指しています。

 

 

藤原清輔朝臣は1104年生~1177年没。

『続詞花集』の撰者であり、父は藤原顕輔。

和歌のよみ方などについて解説した『袋草紙』や『奥義抄』を書きました。

 

枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い (朝日選書)

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