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新生活の不安にこの一冊がおすすめ!『オニロック』中村航・宮尾和孝

 中村航と宮尾和孝によるさわやかキュートな絵本

オニロック

オニロック

 

中村航という作家はご存じでしょうか?

『リレキショ』で文藝賞を受賞しデビュー。

『夏休み』や『ぐるぐるまわるすべり台』で芥川賞候補にもノミネートされ、最近では、ブシロード企画の『BanG Dream』プロジェクトの原作・ストーリー原案を担当している方です。

BanG Dream! ガルパ☆ピコ コミックアンソロジー

BanG Dream! ガルパ☆ピコ コミックアンソロジー

 

 

今日はこの中村航がイラストレーターの宮尾和孝とタッグを組んだイラスト・ストーリー『オニロック』を紹介します。

 

『オニロック』について

 

あらすじ

鬼ケ島からトーキョーにやってきた大木隼人は、アパートを借り、学校に通うようになります。

隼人くんは人間の文化に戸惑いつつも、勉強を楽しみ、アルバイトを探しました。

しかし、鬼を雇ってくれるところはなかなかなく、途方に暮れていると、違うシマから来たブルーとイエローと出会います。

 

イエローの紹介で無事にアルバイト先も見つかり、やがて、3人でロックバンドを結成します。

アルバイトをいっぱいして、ひとめぼれしたギターを買った隼人くんは曲をつくり、毎日練習しました。

 

そしてある日、ライブハウスのオーディションを受けるのですが…。

 

感想

なんといっても、イラストが可愛い!

オニの三人組も、出てくる女の子たちも、とにかくキュートなんですよね。

 

でも、それでいて、ただ可愛いだけの絵本というわけでもありません。

オニの少年の青春と葛藤の物語が、かつて青々とした時代を過ごしてきた大人の心を震わせるのです。

 

個人的にお気に入りの場面は、隼人くんが女の子にラブレターを渡すところです。

 

「すごーい、オニからラブレター貰ったのなんて初めて!」

女の子はそう言って、頬を赤らめます。

 

それから、ふたりは遊園地に行ったりして、お互いのことをもっともっと好きになっていきます。

 

でも、隼人くんには、好きということがどういうことなのかは、よくわからないのです。

恋って、そういうものだよねとしみじみしてしまいました。

 

最後に

裏表紙側の帯にはこう書いてあります。

鬼ヶ島からやってきた大木隼人くんは思いました──

 

僕にはまだ、何が格好いいのか、わかりません。

何が優しくて、何が恋しくて、何が強いのか、

自分がトーキョーで何をしたいのか、

それも全然わかりません。

 

だけど僕はわかりたい。

わかるには、今までと同じじゃだめなんです。 

 

三月ももうあと二日で終わり、新年度が始まります。

学校を卒業したり、転勤で引っ越したり、新しい場所での生活が始まる方もいらっしゃるかと思います。

 

鬼ヶ島からトーキョーに来た大木隼人くんのように、

信頼し合える仲間と出会いたい、

夢中になれるものを見つけたい、

目の前のことに全力を尽くしたい、

 

この本を読むとそういう気持ちになるかもしれません。

そして、勇気がわいてくる、そんな一冊だと思います。

 

(現在中古のみの取り扱いのようですが)かわいいキュートな絵にも癒される、おすすめの作品です。