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『思わず考えちゃう』ヨシタケシンスケ 【人気絵本作家の頭の中】

ヨシタケシンスケさんについて

絵本というと、いろいろな楽しみ方があるかと思います。

その種類を挙げてみます。

 

・物語を楽しむもの

 

・絵を楽しむもの

 

・しかけを楽しむもの

 

・めいろやクイズ、なぞなぞ、しりとりといったゲーム性を楽しむもの

 

・知識を楽しむもの

 

他にもあるのでしょうが、主にはこういった類の絵本というのが、これまであった種類かと思います。

そこに、新たな風を送り込んだのが、ヨシタケシンスケさんです。

この人の作る絵本は、いわば「思考を楽しむもの」と言えるでしょう。

 

それは、デビュー作の『りんごかもしれない』からすでにはっきりしています。

りんごかもしれない

りんごかもしれない

 

表向きはりんごのように見えるけれど、実はそうではなくって、~かもしれない……という想像を楽しむ、新しい発想の絵本で、大ヒットしました。

 

子どもたちも、担任の先生を見て「あの人は先生のように見えるけど、実は遠い星からやって来た悪い宇宙人かもしれない……」とか、黒板消しを見て「実は食べられるものかもしれない……」とか、そんな会話を友だち同士でしていることもあったかもしれません。

 

その絵本を読むことで、何かを想像するきっかけを与えられる、という作品は、これまでにもあったでしょう。

でも、ヨシタケシンスケさんの絵本は、より個人的な思考を促す、という点で、新しいのではないでしょうか。

 

新刊『思わず考えちゃう』について

思わず考えちゃう

思わず考えちゃう

 

今回の『思わず考えちゃう』は、そんなヨシタケシンスケさんの頭の中をのぞき見ることができるエッセイです。

 

常に持ち歩いているというスケジュール帳のうしろの方には、そこにあったものや「思わず考えちゃったこと」などを描きとめているそうです。

たまったメモは、その部分だけ外して、保管されます。

そして、後から見返すと、イラストや絵本のアイデアになることもあるそうです。

 

そんなメモ的な絵を、どんな時に、どんな風に思って描いたのか、ということが解説されている今作です。

日常の1シーン集の中で、個人的に気になったエピソードをいくつか紹介します。

 

「ご自由にお使いください」

マツキヨに行ったら、レジの先に荷物を詰める場所がありますよね。

そこに、「ご自由にお使いください」という箱みたいな何かが置いてありました。

そこには、レシートが捨てられていたりして。

 

それを見たときに、試されている感じがしました。

「さあ、自由に使っていいんだよ、どうすんの?」と。

 

思えば、我々の人生も、神様に同じように言われているみたいなものです。

その自由とは何だろうと、マツキヨのレジの後ろでずっと考えていた、そんな1コマです。

 

 

「ききうでのツメは切りにくい」

ききうでのツメを切るときは、あたり前だけどききうでが使えません。

なので、とっても切りにくい。

近すぎるから、できないことというのがたくさんあります。

 

教育の現場でも、親だからこそ、先生だからこそ、できないこともたくさんあります。

そんな難しい話じゃないけれど、ききうでのツメって切りにくいなあって。

 

 

「心配事を吸わせる紙」

こういう商品出来たらいいなって、この間思いつきました。

心配事を吸わせる紙。

あぶらとり紙というのがあるでしょう。

ああいう感じで、おでこにピトッとすると、心配事を吸い取ってくれる。

こんなにとれた! って、すごく汚ーくなる。

そんな商品があったら、常に鞄に入れておきたくなります。

 

お風呂に入ると、スッキリしますよね。

そこで思ったのは、嫌な気持ちとかっていうのは、実は、外側に付く性質があるんじゃないかということ。

外側をリセットしてスッキリするというのは、そういうことなのでは。

そこで、心配事を吸わせる紙、です。

だれか作ってくれるといいんだけど……。

 

 

といった感じで、どのエピソードも、誰しもがどこかで出会ったことのあるような場面で、でも、ヨシタケシンスケさんの見方でユニークに、そして独創的にとらえられているのがおわかりいただけるかと思います。

心配事を吸ってくれる紙、欲しいですね、切実に。

 

まとめ

クリエイティブな人たちの、創造のスイッチが入る瞬間というのを知るのが好きです。

こういう時にこういうことを考えて、それが小説や絵のもとになっていたりしてるんだって、単純に楽しい。

 

ヨシタケシンスケさんが世の中を、身近な風景をよく、じっと見ているということが、この本を読むとわかります。

そして、ただ見るだけじゃなく、感じ取り、考え、考え過ぎている、ということも。

 

あの数々の名作絵本が生まれるヒミツを知ったような気分です。

思わず考えちゃう

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www.nahdaannun.com

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