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瀬尾まいこさん【本屋大賞】受賞によせて おすすめの4冊

瀬尾まいこさんおめでとうございます!

本日、2019年本屋大賞の受賞作が発表されましたね。

大賞はこちら、瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。

そして、バトンは渡された

そして、バトンは渡された

 

発売されてからすぐにメディアでも話題となっていました。

私は、瀬尾まいこさんの作品は大学生の頃に出会って、そのあたたかな物語に惹かれて、いろいろと読み漁っていた時期もありました。

 

でも、最近は他にも読みたい作家が増えてきて、後回しになってしまっていました。

今回の受賞作も、読みたいなと思いつつ、結局、発表されるまでに読むことが出来なかったことが少しだけ悔やまれます。

 

ということで、今回は 瀬尾まいこさんの作品について、かなり昔に読んだ記憶を探り探り、思い出しながら紹介にもならないコメントを書いていこうと思います。

 

読んだことのある瀬尾まいこさんの作品を思い出してみる

『幸福な食卓』
幸福な食卓 (講談社文庫)

幸福な食卓 (講談社文庫)

 

まずはこちら、映画化もされたヒット作です。

父さんは今日で父さんをやめようと思う。 

という衝撃的な一文から始まる、温かくも切ない物語です。

 

ラストの展開は賛否両論あるでしょうが(実際に友人で終わり方がいやだと言っている人がいました)、私は、この小説はあのラストでよかったと思います。

 

ファンタジー要素があるとか、ハラハラドキドキするような展開があるというわけではありません。

が、先ほどの台詞を言うようなお父さんや、天才と呼ばれた兄、家を出ていったお母さんという、ひと言で言ってしまえば変わった家族ですが、物語を読んでいくと、そこには確かな愛が、守るべきものがあるということがわかります。

 

読み返したくなってきました。

 

続いてこちら。

『天国はまだ遠く』 
天国はまだ遠く (新潮文庫)

天国はまだ遠く (新潮文庫)

 

仕事にも、人間関係にも疲れた主人公。

自殺をするために、遠い、自分のことを誰も知らないような北の地へ向かい、そこで泊まった民宿で、大量の睡眠薬をのみます。

 

しかし、死ぬことはかないません。

目を覚ました主人公は、民宿の主人、田村さんとの交流や大自然を間近に感じる生活によって、少しずつ、少しずつ、何かをとり戻していきます……。

 

初めて読んだのは大学生の頃だったと思います。

重いな……と出だしから面食らったような気がしますが、話が先に進んでいくにつれ、小さな角度ですが、ほんの少しずつ前向きになっていきます。

 

民宿の主人である田村さんが本当にいい人なんですよね。

映画ではチュートリアルの徳井さんが演じていましたね。

正直、イケメンすぎでは……と思ったことを覚えています 笑

 

まだ、当時はアルバイトしかしたことがなかったので、一度自殺をしたくなって、でもこんな風にすぐに回復していくものだろうか……とも感じました。

社会人になったいま読んだら、どんな風に感じるのでしょう……

 

読んでみなければわかりませんね。

読み返したくなってきました。

 

続いてこちら。

 『卵の緒』
卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)

 

僕は捨て子だ。 

という一文から始まるこの物語。

瀬尾まいこさんって、さっきの『幸福な食卓』もそうでしたが、最初の一行とか、最初の文章がすごく印象深いんですよね。

 

最初の一行コンテストがあったら、間違いなく入賞するであろう作家でしょう。

 

この本には『卵の緒』と『7's blood』が収録されています。

どちらも、少年少女の家族というものに対する葛藤がえがかれています。

 

卵の緒の主人公は、自分は捨て子であるといきなり主張し始めますが、それにはいろいろとわけがあります。

子どもの意見にも、それなりの理由と根拠があるのです。

 

で、その理由というのは、父親がいないということ、そして、親子である証というへその緒がないということです。

でも、主人公はお母さんのことが大好きですし、お母さんも、主人公のことを何より愛しく思っています。

 

家族って何なんでしょう。

血が繋がっていても、憎しみ合う家族もあれば、血が繋がっていなくても、本当の家族よりもずっと強いきずなで結ばれている人たちも。

 

私自身、母子家庭で育ったということもあり、家族という概念に対して、いろいろと思うことがあったので、この作品はけっこう衝撃的でした。

主人公とお母さんのひみつだけでなく、いままでじぶんが持っていなかった家族観というのを見せられたような気がして。

 

もう一作の『7's blood』は異母姉弟のお話です。

こちらも、ありふれた家族の形ではないけれど、でもそこには介入しようのない固いきずなのようなものがあります。

子どもらしくない子どもも、あるときふと子どもらしさを見せたりします。

 

近くにいると、傷ついたり、傷つけたりもしますが、やっぱり、かけがえのない関係というものの素晴らしさに気づかせてくれる、そんな話です。

 

じぶんはもう大人になって、これらの作品の主人公たちとはずい分歳が離れてしまいましたが、その根底にあるテーマはいまでも心に響くと思います。

じぶんの深い部分にあるものって、そんなには変わらないでしょうし。

 

読み返したくなってきました。

 

 

 

さらにこちら。

『春、戻る』
春、戻る (集英社文庫)

春、戻る (集英社文庫)

 

こちらは比較的新しい作品です。

 

結婚を控えた主人公の前に、ある日突然現れた謎の青年。

どう見ても明らかに年下なのに、なぜか「お兄ちゃん」と言い張る彼。

 

ちょっとミステリーチックな、これまでの瀬尾まいこさんの作品にはあまりなかったタイプの導入の仕方です。

これまでの作品を読んできた身としては、湊かなえさんのような後味のよろしくないいわゆるイヤミスみたいな終わり方はしないだろうな、という安心感を持って読むことができるのも、瀬尾まいこさんの作品のやさしいところです。

 

この、主人公のお兄ちゃんと言い張る青年の謎が、少しずつ、ゆっくりと解けていくのですが、最後にはやっぱり温かい気もちにさせてくれました。

 

とても個人的な話なのですが、今月末に結婚式を控え、その準備でばたばたしていたりする今日この頃です。

 

結婚が一つのテーマとなっているこの作品、読み返したくなりました。

 

 

まとめ

読んだことのある作品は他にもあるのですが、この辺にしておきます。

瀬尾まいこさんの作品に、私自身、気づかないところで救われてきたのだと思います。

 

読まなくても、きっといい作品なんだろうなと思って、安心してページを開くことのできる作家のひとりが、瀬尾まいこさんです。

このたびの本屋大賞受賞、本当におめでとうございます!

 

それではまた。