近所のスーパーの一角には小さな本売場があって、買い物のついでによくそこで立ち読みをしています。
本売場のとなりには花売り場があって、いつも、店員さんが暇そうだなあと思いながら通りすぎていたのですが、今日、そのスーパーに行ってみたら、花売り場がなくなっていて、本売場が拡張されていました。
主に児童書のスペースが広がっていて、ファミリー層向けに知育玩具も置かれていました。
残念なのは、絵本がほぼすべてシュリンク(ビニール)がかけられていて、中を確認することができない状態で売られていることです。
絵本は子どもたちが読んで傷むことが多く、返品しなくてはいけなくなることも少なくないジャンルなので仕方がないと言えば仕方がないのですが。
それで、雑誌なんかを立ち読みしていると、店員さんがおじいちゃんを連れて、何やら本を探しはじめました。
「在庫ありそうなので、ちょっと探してみますねえ」
ふたりで棚を見つめているけど、なかなか目的の本が見つかりません。
「四冊あるので、平積みだと思うんだけどねえ」
「そうかい」
「1400円だから、大きいのかねえ」
「いや、この辺のくらい、小さいのだと思うよ」
「4冊あるから、どっかにはあるはずなんだけどねえ」
自分の立ち読みに全く集中できなくなって、横目でその様子をずっとうかがってしまいました。
健康系の本のようですが、タイトルはわかりませんでした。
元書店員の自分としては、何の本をお探しですか? ときいて、探してあげたいくらいでしたが、ここの店員さんの目の前でそれはできないな……とじれったく思っていました。
タイトルをきけていれば、勝手に探して、そっとおじいさんに手渡すこともできたでしょうが。
でも、本屋で働いていた時もまれにありましたが、あるはずなのにどうしても見つからない本ってあるんですよね。
他のスタッフが間違った場所に入れてしまった、とか、万引きされている、とか、バックヤードに保管されている、とか。
後で見つかって、悔しい思いをしたことも少なくありません。
だから、自分が探せば見つかるという保証はないものの、そういうのって、探して見つけてあげたくなるじゃないですか。
結局、おじいちゃんの探していた本は見つからず、そのまま帰っていきました。
買おうと思って出かけた先で、在庫はあるんだけど現物が見つからずに買うことができない、これほどもやもやすることってなかなかないと思うんです。
自分だったら、その本の欲しさの度合いにもよるのでしょうけど、すっごくもやもやします。
あのおじいちゃんが早く、欲しい本を手にすることができますように。
そんなことを思った一日でした。