本棚のすき間

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【大人にもおすすめ】ヨシタケシンスケの絵本4冊+エッセイ1冊【絵本作家】

こんにちは。

今日は今日本で一番売れている絵本作家と言っても過言ではない、ヨシタケシンスケさんの絵本+エッセイの紹介です。

 

 

 

『ぼくのニセモノをつくるには』

ぼくのニセモノをつくるには

ぼくのニセモノをつくるには

 

『ぼくのニセモノをつくるには』

ヨシタケシンスケ:作

ブロンズ新社

 

 あらすじ

しゅくだいおてつだいへやのそうじ、やりたくないことだらけでゲンナリしていたぼくは、ある日いいことをおもいついた。

 

「ぼくのニセモノをつくって、そいつにぜんぶやってもらおう!」

 

さっそくぼくはおこづかいをぜんぶつかってロボットを1たいかった。

 

いえまでのかえりみち、ぼくはロボにニセモノさくせんについてせつめいした。

そのためには、バレないように、ぼくそっくりになってもらわないといけない。

 

じゃあ、あなたのことをくわしくおしえてください! とロボにいわれたはいいけれど、なにからおしえればいいんだろう?

 

まずは、

ぼくは なまえとかぞくがある。

 

なまえはよしだけんだ。

せいべつは男。

たんじょうびは……じゅうしょやがっこうは……

しんちょうたいじゅうけつえきがたは……

 

それから、おとうさんはたけし、おかあさんはゆうこ、ぼくけんた、おとうとはかんた、ネコはニャータ。

 

 

それから、

ぼくは 外からみるとこんなかんじ。

 

耳たぶがちいさい。

おしりにホクロがある。

はなみずがよくでる。

しゃっくりもよくでる。

手のひらがいっつもペトペトしてる。

まいあさねぐせがつく……

 

よし、これでもうぼくのことはわかったでしょ。

ぼくのニセモノよろしくね!

 

でも、ロボットはまだ「けんたくんらしさ」がわからないという。

「ぼくらしさ」!?

ぼくはぼくなんだけどな……。

 

じぶんのことをはなすのって、むずかしくてめんどくさい。

 

 

たとえば、

ぼくは すきなものときらいなものがある。

すき あじつきのり ドングリ(ぼうしつき) おばあちゃん スコップ

きらい さくぶんのしゅくだい こうすいのにおい ヒモのくつ ハンドクリーム

 

あと、

ぼくは できることとできないことがある

できること ウィンク いっしゅんハンドルから手をはなす みえない敵とたたかう

できないこと タマゴをじょうずにわる 女子のきもちをりかいする ひとりでスーパーのししょくコーナーにいく

 

 

それから、それから、ぼくは……

 

 

 感想

ヨシタケシンスケさんの絵本はどれも魅力的で楽しくて素晴らしいんですが、中でもこの作品が個人的には一番好きかもしれません。

 

ストーリー的なものはあまりなく、とにかく、ぼくっていったいなんだろう? という問いに対して、いろいろな角度から答えていくという感じになっています。

 

それは、この作品では主人公のけんたくんのことについて語られていくわけですけど、読んでいると、きっとみんな、それぞれじぶんはどうだろう? という風に考え始めることと思います。

 

ぼくは あとがのこる

というテーマのページがあるんですが、けんたくんがつかったりつくったりしたものは、なんだかぜんぶぼくっぽくなってしまう、と書かれています。

たとえば、えんぴつのおしりのところがかじられてぎざぎざになっていたり、ごはんを食べたあとの食器には、微妙にごはんつぶがのこっていたり(きれいに食べましょう)します。

 

それらは、みんな、「けんたくんのいたあと」が残っているということです。

 

これを読んで、私は、「じぶんがいたあと」はどんな風に残っているだろうか、と考えさせられました。

じぶんがしていることやつくっていることはすべて、なんらかの形になって(形としてじゃないかもしれませんが)、あとが残っているのでしょう。

なんだか、それこそが人生なんじゃないかとさえ思えてしまいました。

 

この絵本を読むと、きっと、じぶんをもっと大事にしようと思えます。

そして、それが今度はだれかを大事にする力になるかもしれません。

 

子どもが読んだら、もっと楽しくて面白い絵本という印象かもしれませんが、大人が読むとまた違った印象を受けることと思います。

ぜひ、親子で読んでみてほしい一冊です。

 

 

『ふまんがあります』

ふまんがあります (PHPわたしのえほん)

ふまんがあります (PHPわたしのえほん)

 

『ふまんがあります』

ヨシタケシンスケ:作

PHP研究所

 

 あらすじ

わたしはいまおこっている。

なぜなら、おとなはいろいろとズルいからだ。

 

「パパ! わたしはふまんがあります!」

 

たとえば、

どうしておとなはよるおそくまでおきているのに、こどもたけはやくねなくちゃいけないの?

 

「それはねえ……おおきなこえじゃいえないんだけどね……」

パパはしんみょうな顔で、正座をしてこういう。

「じつは、つぎのクリスマスのために、サンタさんからたのまれたちょうさいんが、<よるはやくねるこかどうか>をなんかいもしらべにくるんだよ」

 

……ホント?

うん。ヒミツだけどね。

 

ホントかな……。

 

でも、ふまんはまだまだ。

たとえば、

どうしておふろにはいるじかんを、おとながかってにきめちゃうの?

 

「ああ……それはね。はやくはいらないとヤツらがきちゃうからなんだ」

パパはまじめな顔でこたえる。

「なぞのいきもの<おふろあらし>より、さきにおふろにはいらないと、おゆがなくなっちゃうからなんだ」

 

へーえ。そうなんだ。

そうなんだよ。

 

「じゃあさ、どうしてパパはおこるとすぐに、かってにしなさい! とかいうの? かってにしたらしたで、またおこるくせに……」

 

「どんなかってをするか、ちょっとみてみたいからだよ」

かってにゾウにのる。

かってにそらをとぶ。

かってにおしろをつくる。

 

「じゃあ、どうして」

わたしにはまだまだ、ふまんがある。

 

 

 感想

子どもにとって、りふじんだ! って思うことって、いっぱいあるのでしょう。

大人からしたら、きちんとした理由があったり(なかったりもしますが)するんですけど、この絵本では、それを、よりユニークな形で、子どもが納得するようにパパがその理由を教えてくれます。

 

その理由というのが、どれもとんでもないものばかりなんです。

もちろん、きちんとしたわけを説明して、正しい理由を教えてあげるのも大事なことなんでしょう。

でも、こんな風に、ユーモラスな返しで子どものふまんにこたえてあげられるパパって、なんて素敵なんだろうと思ってしまいました。

 

個人的に好きなのが「どうしておとなだからってウィンナー2ほんもたべていいの?」という不満に、

「おとなのなかにはこどもがはいっているから、おとなのパパと子どものパパに、ウィンナーは一本ずつなんだよ」

と返すところです。

 

おとなって、確かに全員もれなく子ども時代を過ごしてきて、おとなの中には子どものじぶんもいたりするよなあ……って、なんだか哲学的なことを考えさせられたりもするのが、やっぱりヨシタケシンスケさんの絵本の、おとなも楽しめるりゆうの一つだと思います。

 

子育てをしている親御さんにも、ぜひ「子どものふまんにこんな風にこたえてみた」シリーズ(?)であるこの本をおすすめしたいです。

 

 

『それしかないわけないでしょう』

それしか ないわけ ないでしょう (MOEのえほん)

それしか ないわけ ないでしょう (MOEのえほん)

 

『それしかないわけないでしょう』

ヨシタケシンスケ:作

白泉社

 

 あらすじ

きょうははれるっておとうさんはいってたけど、あめがふっている。

 

学校から帰ってきたおにいちゃんは、とつぜん「みらいはたいへん」なんてことを言いだした。

がっくりきて、おばあちゃんにそのことを相談しにいくと、おばあちゃんはあっけらかんとして「だーいじょうぶよ!」と笑いとばしてくれた。

 

選択肢はふたつとかみっつとかしかないわけじゃない。

そう、たいへんなみらいしかないわけないでしょう。

 

こんなすてきなみらいがあるかもしれない。

想像しはじめたら、止まらなくなって……

 

 

 感想

 

一読して、あらすじを書くのがたいへんなみらいが見えた一冊です。

でも、ヨシタケシンスケさんの本って、ストーリー的な面白さというよりも、奇抜な発想やかわいさの中にひそむ深い哲学を楽しむ、というのをいつも期待しています。

 

今回も、その期待以上にいろんなことを考えさせてくれる作品でした。

おばあちゃんと女の子との会話のひとコマでは、ほろっとする場面も。

 

 

たとえば、もうちいさくてはけないくつは捨てるしかない? という問いには、うえきばちにしちゃえばいいじゃない! というひとつの答えが。

 

こうなったときにはこうするしかない、というのは、単なる決めつけでしかなくって、全然違う未来があったっていいのです。

ネガティブな考え方をしてしまう人にこの絵本をプレゼントしたくなりました(あまり、実用的とは言えないかもしれませんが、目の前にある不安がばかばかしくなってくるかもしれません)。

 

ヨシタケシンスケさんの絵本が本だなにあると、明るく暮らせるような気がしてくるのです。

 

 

『もうぬげない』

もう ぬげない

もう ぬげない

 

『もうぬげない』

ヨシタケシンスケ

ブロンズ新社

 

 あらすじ

ぼくのふくがひっかかってぬげなくなって、もうどのくらいたったかしら。

 

おかあさんが「おフロにはいろう」なんていうから。

「じぶんでぬぐ!」っていったのに、おかあさんがいそいでぬがそうとするから。

 

いろいろやってみたけれど、ちっともぬげない。

 

このままだったらどうしよう。

 

……でも、なんとかなりそうなきもする。

 

のどがかわいたらどうしよう……。

 

ネコのミータがおなかをコチョコチョしてきたらどうしよう……。

 

アイデアしだいで、どうにかなるよ。

 

 感想

今、一番人気のある絵本作家と言っても過言ではない、ヨシタケシンスケさんのとってもかわいい絵本です。

 

シンプルな絵にシュールな展開。

服が引っかかってぬげなくなったことがある、世の中のほとんどすべてのひとに伝わるであろう、この面白さ。

 

ヨシタケシンスケさんの他の絵本『りんごかもしれない』や『ふまんがあります』等もまたどこかで紹介したいと思っているのだけど、あちらはわりと言葉数が多くて、ものすごく面白いのに読み聞かせをするにはちょっと大変なところがある。

 

この『もうぬげない』は、その点、文章がかなり短いので、ちょっとした時間の読み聞かせにはもってこいの作品。

しかも、図書の時間に読み聞かせをすれば、たいてい、笑いが起きてほしいところでちゃんと笑いが起きる。

 

それって、かなりすごいことだと思う。

 

読み聞かせのボランティアをしてくださっていた保護者の方にこれをおすすめしたときも、一読し、気に入ってくださった。

 

かわいすぎる……!

 

とおっしゃっていた。

お母さんから見ても、子どものこういう姿はきっと子育てあるあるなのだろうし、その思考がまたTHE子どもという感じで、親の心をくすぐるのかもしれない。

 

 

子どもも楽しく読めて、親もほっこりする絵本。

素晴らしいのひと言。

 

 

『思わず考えちゃう』

思わず考えちゃう

思わず考えちゃう

 

『思わず考えちゃう』

ヨシタケシンスケ

新潮社

 

今回の『思わず考えちゃう』は、そんなヨシタケシンスケさんの頭の中をのぞき見ることができるエッセイです。

 

常に持ち歩いているというスケジュール帳のうしろの方には、そこにあったものや「思わず考えちゃったこと」などを描きとめているそうです。

たまったメモは、その部分だけ外して、保管されます。

そして、後から見返すと、イラストや絵本のアイデアになることもあるそうです。

 

そんなメモ的な絵を、どんな時に、どんな風に思って描いたのか、ということが解説されている今作です。

日常の1シーン集の中で、個人的に気になったエピソードをいくつか紹介します。

 

 「ご自由にお使いください」

マツキヨに行ったら、レジの先に荷物を詰める場所がありますよね。

そこに、「ご自由にお使いください」という箱みたいな何かが置いてありました。

そこには、レシートが捨てられていたりして。

 

それを見たときに、試されている感じがしました。

「さあ、自由に使っていいんだよ、どうすんの?」と。

 

思えば、我々の人生も、神様に同じように言われているみたいなものです。

その自由とは何だろうと、マツキヨのレジの後ろでずっと考えていた、そんな1コマです。

 

 「ききうでのツメは切りにくい」

ききうでのツメを切るときは、あたり前だけどききうでが使えません。

なので、とっても切りにくい。

近すぎるから、できないことというのがたくさんあります。

 

教育の現場でも、親だからこそ、先生だからこそ、できないこともたくさんあります。

そんな難しい話じゃないけれど、ききうでのツメって切りにくいなあって。

 

 「心配事を吸わせる紙」

こういう商品出来たらいいなって、この間思いつきました。

心配事を吸わせる紙。

あぶらとり紙というのがあるでしょう。

ああいう感じで、おでこにピトッとすると、心配事を吸い取ってくれる。

こんなにとれた! って、すごく汚ーくなる。

そんな商品があったら、常に鞄に入れておきたくなります。

 

お風呂に入ると、スッキリしますよね。

そこで思ったのは、嫌な気持ちとかっていうのは、実は、外側に付く性質があるんじゃないかということ。

外側をリセットしてスッキリするというのは、そういうことなのでは。

そこで、心配事を吸わせる紙、です。

だれか作ってくれるといいんだけど……。

 

 

といった感じで、どのエピソードも、誰しもがどこかで出会ったことのあるような場面で、でも、ヨシタケシンスケさんの見方でユニークに、そして独創的にとらえられているのがおわかりいただけるかと思います。

心配事を吸ってくれる紙、欲しいですね、切実に。

 

 

まとめ

ヨシタケシンスケさんの絵本はこれだけではありませんが、中でも個人的なおすすめの作品を紹介させていただきました。

置いていない書店はないと思うので、気になった本はぜひ読んでみてください。

 

www.nahdaannun.com

 

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