こんにちは。
今回は、学校司書だった頃のことを思い出しながら、どんな風に図書館だよりを作っていたかということを書いてみました。
皆さんの小学校や中学校、高校でも、図書館だよりは配られていたことと思います。
でも、その内容について、あまり、というよりも全然覚えていないという方の方が多いのではないでしょうか?
私もその一人なのですが、実際に自分が学校司書になってみて、その制作にはいろんな苦労が伴うのだなということを初めて知りました。
今、学校に通っているという方は、ぜひ、図書館だよりをじっくりと読んでみてください。
司書の先生による工夫やたくらみが、どこかに隠れているはずです。
そして、本に少しでも興味を持って、図書館に足を運んでもらえたらうれしいです。
図書館だよりの書き方
学校司書になった時に、困ったもの(ほかにもたっくさんありますが)の一つに図書館だよりがあげられます。
前任者からはだいたい月に一度くらいのペースで出すものだと言われたものの、いったい何を書いたらいいのか……
最初の図書館だより
着任して最初の図書館だよりは、もう、前任者が残してくれた過去の図書館だよりをほとんど丸パクリです。
春のあいさつ的なものと、図書館のきまりについて(開館時間や貸出冊数、期間、守らなければいけないこと等)と、自己紹介なんかをそこそこの字の大きさで書いておけば、とりあえず一枚埋まる感じです。
いきなり凝ったものをつくるには時間も余裕もないので、最低限のことを書いて、とにかく、オリエンテーションまでに配布するという気持ちでいました。
ただ、その後は図書館の決まりも自己紹介も書けません。
いつも同じような内容でも飽きられてしまいますし、かといって、そんなに話題のバリエーションもない……。
主に図書館だよりに書いていた内容
・新しく入った本の紹介
・現在図書館でしている企画やイベントの紹介
・季節に関する豆知識
・季節的なおすすめの本の紹介
・司書のおすすめの本の紹介
・読書旬間のお知らせ
・図書委員のおすすめの本の紹介
この辺りは、毎回載せるもの、時期に合わせて載せるものといった感じで、ある程度決めて書くようにしていました。
図書館だよりは読まれない
図書館だよりに限ったことではないかと思いますが、こういう読まなくても問題はない類のおたよりって、こちらが気合いを入れて作っても、思っている以上に子どもたちは読んでいなかったりします。
もちろん、そうじゃない学校もあるでしょう。
絵やマンガが上手に描けたらなあ、って、自分もよく思っていました。
そういう、わかりやすく、面白く、子どもの心にダイレクトに届くものってやっぱり強いんですよね。
本を読んでほしいんだから、文を読める力を、と思っても、そもそも、読もうと思わなければスタートラインに立つこともできません。
結構大事な話(蔵書点検に関わっての閉館の連絡とか)を書いておいても、それを読んでおらず、本の返却をしない子どもがいたり、読む子はいつも読んでくれるし、読まない子はいつも読んでいない、と考えていた方が気楽だったりします。
読んでいない子に読んでもらうためには?
でも、図書館だよりを読んでいない子に少しでも興味を持ってもらうためにできることは何かないだろうかと考えたときに、私がしてみた取り組みを紹介します。
図書館だよりの中に黒ねこを潜ませ、数えさせる
表裏刷りの図書館だよりのいろんな場所に、フリーイラストから引っぱってきた黒ねこを配置しておきます。
冒頭付近に「黒ねこをチェックしておくと、後でいいことがあるかも」みたいなことを書いておきます。
で、おしまいのところに「この図書館だよりの中に黒ねこは何匹いたでしょう? わかった人は司書の先生にこっそり言いに来てください。正解の人にはしおりをプレゼント!」と書きます。
すると、結構な人数の子が「9匹!」とか言いに来てくれます。
お、見てくれてるじゃん、と嬉しくなりました。
この黒ねこを探す、ということだけに目がいって、内容を読んでいない、という可能性もなきにしもあらずですが、確かなことはわかりません。
とにかく、図書館だよりをぐしゃぐしゃにしてかばんや引き出しにつっこまれてしまう前に、興味を持ってもらう、ということが大事なのではないかと思うのです。
クロスワード
自作のクロスワードを幾つか作って、それを図書館だよりに載せていたことがありました。
画像、見にくくて申し訳ないですが、こんな感じで。
4類の問題、間違えてますね……子どもに指摘されて訂正しました。
なかなか好評で、これも、埋めていくと合言葉がアナグラムになっていて、それを司書に言いにくると、プラス一冊券をプレゼント、というような形でやっていました。
もともとはその図書館だよりの一回限りと思って作りましたが、他にないのー? と言ってくる子が大勢いたこともあり、難易度を変えていろんなものを作ってみました。
一時期、このクロスワード作りにハマってしまい、ひたすら単語の組み合わせを考えながら図書館内をうろうろしていた時期も……笑
一応、本に関する問題を中心に出しました。
少しでも、知らない本を手にとったり、興味を持ってくれるきっかけになればいいなと思いながら。
間違いさがし
こちらの本、学校図書館において、図書館だよりや、掲示に活用することを想定した本となっており、様々なお話に関する間違いさがしが掲載されています。
本のページをそのまま拡大コピーをして使用してもOKで、付属のCD-ROMからデータとして使うことも可能です。
私は一度、図書館だよりに掲載して、その後は2週間に1度くらいのペースで、廊下に掲示をしていました。
間違いさがしって、大人も夢中になってしまう魅力がありますよね。
子どもたちも、難しければ難しいほど熱中して、間違いを探してくれていました。
コンテストやイベントの結果発表
図書館でいろんなコンテストをしていたので、その結果発表の場としても図書館だよりを活用しました。
たとえば、「かぼちゃコンテスト」というハロウィンの時期の企画があって、かぼちゃの形に切り取った紙に、子どもたちに自由に塗り絵をしてきてもらいます。
提出してくれたそれらを、掲示板(図書館前の廊下とか)に掲示します。
こんな感じで、とても賑やかになります(掲示が下手なのはスルーしてください)。
募集期間を決めておいて、それが過ぎたら、図書委員と司書で、〇〇賞を決めます。
こんな感じで、できるだけいろんな学年の子が受賞するようにそれとなく調整しながら選出していきます。
そして、受賞した人を図書館だよりでも掲載します。
本人はもちろん、友だちが何か賞をとっていたりすると、気になって注目してしまうもののようです。
また、他にどのかぼちゃが賞をとったんだと掲示板に見に来る子もいます。
これも、図書館に来る一つのきっかけなんじゃないかなと思います。
たとえてみよう
こちらの記事でも書きましたが、「たとえてみよう」という企画がありました。
詳しくは記事を読んでいただけるとありがたいのですが、簡単に言うと、いろんなものをたとえで表現してみよう、という企画です。
たとえば、自分たちの学校の図書館を「〇〇な図書館」というテーマで募集すると、「夢の国のような図書館」とか「ママのひざの上にいるような図書館」というようなたとえが集まってきます。
その中から優秀と思われる作品を図書館だよりに載せました。
言葉っておもしろい、表現っておもしろいと思ってくれるといいなと始めた企画でした。
文芸コンクール
小学校では珍しいのかもしれません。
独断で(校長先生や図書主任の先生に一応こういう企画をやろうと思っていますと話したような気もしますが)、小説・童話を募集する校内文芸コンクールを開催しました。
図書の時間なんかに、自分でもお話を書いてみたいと思ったことがある人ー、ときくと、結構な人数の手が挙がりました。
そんな子たちに発表の場をと思い、開催に至ったこの企画でしたが、子どもたちの想像力豊かな作品が集まって、こちらもとても楽しかったのを覚えています。
最終的に、最優秀賞・優秀賞・佳作くらいまで選出して、受賞作品は手作りで製本したりなんかしました。
そして、やっぱり受賞者は図書館だよりに掲載しました。
保護者・教員向けの大人版図書館だよりの作成
これは、勤めていた小学校の規模が小さく、比較的時間に余裕があったからできたことなのですが、途中から、大人向けの図書館だよりも作っていました。
私自身、児童文学や絵本も好きですが、いわゆる純文学作品などもすごく好きなので、そういったおすすめの作品を大人に紹介し、子どもの周りにいる人から読書に興味を持ってもらい、子どもと一緒に書店や図書館に行ってもらおう、と思って始めました。
芥川賞・直木賞受賞作特集や、おすすめ雑誌の紹介、大人にこそ読んでほしい児童文学やYA小説の紹介や、新書のおすすめなどなど。
子ども向けの図書館だよりでは取り上げることができないような本に関することを書くことができ、私自身はとても楽しかったです(笑)
授業参観の時などに保護者の方から「大人向けの図書館だよりもいつも楽しみにしています」と言っていただけたこともありました。
届く人にはちゃんと届くのだな、とうれしくなりました。
注意したほうがいいこと
著作権等について
新しく入った本の紹介をする際に、書影を貼りつけて印刷する、ということがあるかと思います。
その際に、『本の題名』『著者名』『出版社名』は明記しましょう、と私は研修の際に教わったので、そのようにしていました。
ふりがなについて
低学年の児童でも読めるよう、すべての漢字にふりがなをふってあげると親切かなと思います(なかなか大変ですが……)
また、私が勤めていた学校では、図書主任、事務の先生、教頭先生、校長先生と回覧してチェックが入っていたのですが(どこでもだいたいそうでしょうか?)、事務の先生から「外国人の子どもや保護者もいるので、基本的には全部にふりがなをつけてください」と言われたことがありました。
これくらい読めるでしょう、と思ってしまうこともありましたが、なんだかんだで、漢字にはふりがなをふる、というスタンスで、私は作っていました。
まとめ
こんな感じで、とりあえずイベントに絡めて、その宣伝や結果発表の場として図書館だよりを使うのもありということがわかってきました。
図書館に来るきっかけ、図書館のイベントに参加するきっかけ、借りたい本読みたい本を見つけるきっかけ、図書館を好きになるきっかけなど、いろんなきっかけを作ることができるのが図書館だよりなのだと思います。
学校司書で、図書館だよりに何を書いたらいいの! とお困りの方の参考に少しでもなれば幸いです。
他に、学校図書館での取り組みについて書いた記事もありますので、よろしければそちらも。