『たとえことば辞典』
丸善に出かけたときに、ふとこの本が目に入った。
たとえると楽しい、というのは、この本
が教えてくれた。
下の記事でも書いているけど、表現する面白さのそのスタートに導いてくれるような本だった。
冒頭の『たとえことば辞典』は、過去の人々が作ってきたその様々なお手本を示してくれるような本。
今日は、その中から個人的に面白いと思った表現や、積極的に使っていきたい表現などを少しだけ紹介。
たとえことばいろいろ
石臼に着物着せたよう
〔どっしりした石臼が着物を着た姿を想像して〕不恰好な姿のたとえ。
石が流れて木の葉が沈む
〔重いものが流れて軽い物が沈むように〕物事が逆になることのたとえ。
石に蒲団は着せられぬ
〔人(親)が死んで墓石になってしまってから蒲団をかけてやっても仕方がないことから〕親が生きているうちに大事に介抱すべきだということのたとえ。
韋駄天に帆をかけたよう
〔ただでも足の速い韋駄天に、さらに追い風を受ける帆を付けたという想像から〕きわめて足の速いさまのたとえ。
一文惜しみの百知らず
〔わずか一文の銭にこだわって、百という大きなところまで気がつかない意から〕わずかの金を惜しんで大損をする。
一葉落ちて天下の秋を知る
〔桐の葉が一枚落ちるのを見て秋の訪れを知る、の意から〕わずかなきざしから物事の成り行きを推察する。
一犬吠ゆれば万犬実を伝う
〔一匹の犬が影におびえて吠え出すと、そっれにつられて周囲のたくさんの犬も吠え始める意から〕一人が嘘をつくと、周囲の人はその内容の真偽も確かめずに本当のこととして言いふらしてしまう。
一斑を見て全豹を卜す
〔豹の皮の斑点を一つ見て、それが黄と黒のまだらの豹であることを推察するところから〕ものごとの一部分を見て全体を推し量る。
いつも柳の下に泥鰌はおらぬ
〔一度柳の木の下で泥鰌をつかまえたからといって、いつもそこに泥鰌がいるとは限らない意から〕いつも同じやり方で成功するとは限らないことのたとえ。
井戸替えに出た鮒のよう
急に広い所に出て面くらい、うろうろするさまのたとえ。
井戸から火が出たよう
ありえないこと、思いがけないことのたとえ。慌てるさまにも言う。
糸目をつけない
〔元来、糸目は凧のつりあいをとるために表面につける糸。そこから物事のつりあいをとるための制限の意に転じて〕制限しない。
田舎芝居は楽屋から褒める
〔設備も貧弱で演技も拙い田舎芝居では観客が褒めないから関係者が楽屋から褒める意から〕褒めるのは身内や関係者ばかりであるというたとえ。
犬猫の鼻先のよう
いつも濡れていることのたとえ。
犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ
〔犬はわずかの間えさをやっただけでその恩を長い間忘れないという意味から〕畜生の犬でさえそうだから、まして人間は恩を忘れるべきではない。
まとめ
ほかにも面白いものはいっぱいあるけど、紹介しきれないので、気になる方はぜひこの本を。