ふわふわころりんのプーミン(と、えっへん3兄弟)

ふわふわころりんのプーミン(と、えっへん3兄弟) (子どもの心理臨床)
- 作者: マーゴットサンダーランド,ニッキーアームストロング,Margot Sunderland,Nicky Armstrong,森さち子
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 大型本
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ふわふわころりんのプーミン(と、えっへん3兄弟)
マーゴット・サンダーランド:作
ニッキー・アームストロング:絵
森さち子:訳
誠信書房
あらすじ
あるところにプーミンという、ふわふわころりんがいました。
ふわふわころりんといると、とてもたのしくなります。
遊ぶのがとてもじょうずで、とってもよくわらいます。
プーミンもそうでした。
でも、ある日、ふわふわころりんのプーミンは心がこなごなにこわれてしまったと感じるくらい、とてもひどく傷つけられるできごとがありました。
あまりにひどいそのいたみに、プーミンは、もうぜったいもとにはもどらないだろうなと思いました。
そしてプーミンは、とてもすごい考えにたどりつきました。
「もしぼくが、だれかを大すきになんかならないで、かたくてタフでつよかったら、こんなことにはならなかったんだろうな」
プーミンはスーパーブランコと、2つのすべりだい、それに、すごく大きなすなばのあるお気に入りの場所にいくことにしました。
そのとちゅう、プーミンは、えっへん3兄弟にばったりでくわしました。
えっへん3兄弟は、大きく、タフでつよく、サングラスをかけ、イカしたコートをきています。
「ちょっと、おい」
3兄弟のひとり、えっへんハリーがプーミンに声をかけました。
「そんなにふわふわやさしそうにうろちょろしているなんて、おまえ、ばかだよ。ほんと、そんなんじゃ、きずつくだけだよ。おいらだって、まえは、おまえみたいだったんだ。もうぜったいこりごりだって、思うまではね」
「でも、どうしたら、タフでつよくなれるのかな?」
そうたずねたプーミンに、えっへん3兄弟はかれらのあるひみつを教えてくれました。
それを知ったプーミンは、えっへん3兄弟のいうとおりにし……
感想
表紙を見て、一瞬読むのをやめようと思いましたが、やめなくてよかったです。
はっきり言ってすごく素敵な作品でした。
長くて、文章の量も多いので読み聞かせには向かないかもしれません。
それに、内容もかなり隠喩めいた書き方がされているので、高学年以上でないとなかなか理解するのは難しいように感じられました。
やさしさのかたまりであるかのようなふわふわころりんのプーミンが、ある日手ひどく傷つけられてしまったことがきっかけで、その生き方が変化していく、というお話なのですが、心にずーんと重くのしかかってきました。
こういう経験って、きっとだれしもあるのではないでしょうか。
信じていた人に傷つけられ、心を閉ざし、そして、独りになっていき……というような。
プーミンはえっへん3兄弟に教えてもらったつよくなるひけつを手に入れてから、それはそれはとげとげしはじめてしまいます。
何も感じなければ傷つかない、そして、それはすごく強くなったような気がするものなのかもしれません。
でも、そのパワーの使い方を間違えてしまったプーミンが悲しくて、愚かで、でも、責められない感じがなんとも……。
そうした、間違った進み方をしてしまったプーミンがどうなっていってしまうのか、と思いながらページをめくっていきましたが、その解決への道筋がとても納得できるものでした。
そんな風に自分も生きていこう、と思えるくらい。
表紙にも(子どもの心理臨床)とありますが、傷ついてしまった心の処方箋のような一冊だと思いました。
おすすめです。

ふわふわころりんのプーミン(と、えっへん3兄弟) (子どもの心理臨床)
- 作者: マーゴットサンダーランド,ニッキーアームストロング,Margot Sunderland,Nicky Armstrong,森さち子
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 大型本
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