本棚のすき間

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初めての給食補助と1年生の帰り道【学校司書をやめるまでの話 その5】

 

子どもたちが入学してくるようになった。

でも、図書館はまだ開館していない。

それまで通り、一週間後くらいから、各クラスのオリエンテーションをして、それが済んだクラスから貸出ができる、という形になっていた。

 

入学式の次の日も、だから、図書館の整備をしたり、新しく入れる本をカタログで見繕ったり、オリエンテーションの準備をしたりしていた。

初めての給食は、二年生のクラスにお邪魔することに。

そのクラスの担任の先生から、配膳のお手伝いをよろしくね、と言われていた。

結構大変なクラスみたいで、支援員という特別支援学級に入っている子たちを主に見ている先生がいても、てんやわんやしているそう。

 

給食の時間の十分前くらいに教室に向かった。

子どもたちはそれはそれはもう元気で、エプロンを着てマスクをしてぼうしをかぶって整列する、ただそれだけのことをきちんとできている子は、ほとんどいなかった。

これはお手伝いがほしくなるわけだ、と思いながら、子どもたちを整列させたり、手にアルコール消毒の霧吹きをかけてあげたりしていた。

 

で、いっしょに給食室へ。

勤務校にはランチルームという、ガラス張りの広い部屋があった。

6月からはそこで、全校が集まって、クラスごとのかたまりで給食を食べることになるらしい。

大学とか、海外の学校みたいで面白そう。

 

そのランチルームの奥に、給食を受け取る場所がある。

「2年生です! いただきます!」

みんなで並んで言って、それぞれの担当のものを持っていく。

 

食器のつまったかごとか、牛乳瓶のケースとか、二年生にはとっても重そう。

よたよたしながら歩いているのを大丈夫かなと見守りつつ、教室へもどっていく。

子どもたちはずっと楽しそう。

 

教室に着いてからは配膳なんだけど、そのクラスではすでに多めに盛ってもらっていい子と、少なめにしなくちゃいけない子が決まっているようだった。

そういうのはまだ全くわからないので、担任の先生に教えてもらいながら。

小さい子とか、やせている子とか、目に見えてあんまり食べなさそうな子っていうのは、やっぱりあんまり食べられないみたいで。

その、少なめにしてもらった量も、ぎりぎりらしい。

 

無事配膳が終わると、席に着いていただきます、になるのかと思いきや、職員たちは、残ったおかずやらごはんやらを子どもたちに配るという作業が。

すでに食べ始めている子どもたちの横を通りながら、ご飯食べられる? と聞いて、うなずく子のお皿にちょっとずつ追加していく。

食べ終わった子がおかわりをする方式じゃないんだな、というちょっとしたカルチャーショックを受けつつ、それが終わるとようやくご飯の時間。

 

ほとんど初対面の子どもたちだから、みんないろいろ質問してくれる。

2年生ってまだまだ無邪気で、とにかく思ったことを口に出している感じがかわいかった。

ただ、子どもとお喋りをしていると、その子も自分も食事が進まないわけで。

 

子どもの頃から、給食があんまり好きじゃなかった。

好き嫌いが多い、というのももちろんある。

それから、食べるのが遅いというのも。

 

なので、「若いんだからいっぱい食べるよね」と山盛りに盛られてしまった給食を見て、これから毎日こういう感じなのだろうか……と不安に。

なので、喋っている余裕はあんまりないんだけど、子どもに話しかけられてしまえば、無視するわけにもいかない。

しかもそういう子に限って、自分と同じく食べるのが遅い子だったりして。

 

喋っていないで給食を食べなさい、と担任の先生は言えるだろうけど、新米の学校司書がそんなことを言えるわけもなく。

結局、その子は給食を食べきれなくて先生に怒られていたような。

かくいう自分も、ごちそうさまのあいさつが終わって、みんなが歯磨きをしている間にやっと食べ終わった。

ぎりぎりアウト。

 

でも、好きなものなら山盛りで食べられるとしても、そうでもないものを山盛りで食べるって、結構つらい。

それから、給食でいつも思い出すことが一つあって。

子どもの頃からそうなんだけど、ごはんやおかずをまだ食べ終わっていないのに牛乳を飲み終えてしまうことに異常な恐怖を感じる。

なので、序盤は本当にちびちび牛乳を飲むことになって、あとあとやたらと残った牛乳を一気に飲むことになる、という日もしばしば。

 

で、急いで食べ終えて急いで歯磨きをすると、今度は片付けのお手伝い。

満腹で動くのもしんどい、という状態のなか、ひたすら元気な子どもたちといっしょに廊下を歩いていく。

気づくと、担任の先生はいなくて、どうやら教室に残っているらしい。

まあそういうものなのかな、と思いながら、

「2年生です! ごちそうさま!」

に小さく加わって、お手伝いもこれでやっとおしまい。

 

図書館に行って、まだ開館していないのをいいことに、椅子にだらけた姿勢に。

本当に満腹だった。

食べ放題のお店に行ったあととそんなに変わらないくらい。

 

掃除をして、それから、また図書館とは全然関係のない仕事が。

1年生たちは、入学してから一週間くらいは午前中だけで、給食と清掃をしたら下校となっていた。

で、入学したばかりの1年生たちを、彼らだけで下校させるのは危険である、という判断なのかなんなのか、付き添いをすることに。

2年生以上の担任の先生は自分たちのクラスの授業があるので、その他の、教頭先生や音楽の先生、保健の先生なんかが地区ごとに、ある程度の場所まで、子どもたちを送っていく。

 

こんなこともやるんだ、学校司書って。

そう思ったけど、もちろん、いやと言えるわけもないので、とりあえず、もらった地図をポケットに入れて、児童玄関へ。

 

1年生たちがぎゃあぎゃあぴいぴい。

この前まで幼稚園児だったのだから、そりゃそうかと。

幸いにも、その日、送っていかなければいけない児童は2人だけだった。

担任の先生が○○先生と一緒に帰るのは~、と発表していく。

自分の名前が呼ばれると、2人の児童は「いえーい!」と言って、ハイタッチしてきた。

心配になったけど、とにかく、受け入れてくれているようでうれしかった。

 

ぱらぱらと雨が降っていた。

傘をさして歩きながら、子どもたちと話す。

男子と女子一人ずつで、

「○○ちゃんは××くんのことが好きなんだよー」

とか言っているのを聞くのは楽しかった。

でも、車が来たり側溝に近づいていったりするのを注意することも忘れずに。

 

なんだかこう、人間としての力を試されているような気がした。

誰に教わることでもないだろうし、勉強するようなことでもない。

ただ、子どもが安全に道を歩けるようにサポートをする、というのは。

 

女子の方の子の家がとても近くて、残りはずっと男の子と歩いていた。

人懐っこくて、よく笑う子。

途中で、迎えにきてくれたその子のおじいちゃんに引き渡し、学校へ。

 

春の雨のなか、傘をさして歩きながら、こんな風に道を歩いたのなんていつぶりだろう、と思った。

日本全国給食図鑑 東日本編

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