初めてのオリエンテーションはとにかく緊張した。
学校司書というのが子どもたちの前でどのようにふるまい、どういったことをしゃべればいいのか。
たしか、4年生のクラスだった。
図書館の開館時間や貸出冊数、してはいけないことなど、子どもたちはきっと毎年のように聞いているはず。
いまさら言われても、という感じなんだろうな、と思いつつも、そういったことを喋らないわけにもいかず。
ちょっとしたクイズ形式にしたりもしたけど、いま思えばとてもつたないオリエンテーションだった。
子どもたちはきっと退屈だったろうな。
簡単に終わったオリエンテーションのあと、本の貸出、読書の時間に。
貸出は、子どもが持ってきた本のバーコードをスキャンするだけでOK。
で、貸出処理が済むと、ひとりひとりに、どうぞー、と言う。
全校児童数がそれほど多くないので、子どもたちがそれぞれどんな本を借りていっているのか、どういった本に興味があるのか等は把握できるだろうと思っていた。
小規模校だからこそできる仕事の仕方があるはず、と。
新しい図書館の先生との最初の図書の時間だからなのか、みんなとても静かだった。
ひとり読みの時間、司書は何をしていればいいのだろう。
子どもたちは本を読んでいる。
担任の先生も。
あまり、音を立てるような仕事もできないので、カタログを見ているふりをして、子どもたちの様子をちらちら観察していた。
子どもたちが読書をしているテーブルは、カウンターからすぐ近くの場所にあるので、顔を上げれば全員の姿が見える。
小学生って、こんなに集中して読書ができるんだ、と新鮮な驚きがあった。
だって、自分の小学校時代の図書館は、もっと自由で雑然としていた気がする。
ただ、もくもくと集中して読んでいる子もいれば、となりの子が気になる様子の子も。
絵本を借りていって、すぐに返しに来る子も。
当たり前だけど、いろんな子がいる。
チャイムが鳴るより先に、担任の先生が「じゃあそろそろ終わりです」と言って、最初の図書の時間はおしまいに。
自分が声をかけなくちゃいけない、とどきどきしていたのでありがたかった。
(チャイムが鳴るよりも少し前に終わらせた方がいいのだということを知るのは、まだもう少し先)
終わりのあいさつをした後、思わず担任の先生に、
「あんな感じで大丈夫でしたか?」
と聞きにいってしまった。
「ばっちりです」
と言っていただけたので、ひと安心した。
そんなこんなで、ほかのクラスのオリエンテーションも始まっていった。
つづく。