先生たちのおすすめの本の紹介企画の準備は着々と進んでいきました。
しかし、読書旬間の企画はほかにも。
子どもが子どもに読み聞かせをする企画があるということに、最初は驚きました。
高学年のおにいさんおねえさんが低学年の子たちに読み聞かせをする。
想像するととてもいい風景に思えてきました。
勤務校にもいわゆるたて割り班というのがあって、1年生から6年生までが10の班に分けられています。
ひとつの班はだいたい10人くらいです。
その班を二つに分けて、それぞれのかたまりで、高学年の子が交替で読んでいくそうです。
こういうのが好きな子もいれば、こういうのがものすごく苦手な子もいるんじゃないかな、と思いつつ、この企画がある前の週に、読み聞かせ用の本を選びにきた高学年の子たちに、おすすめの本を紹介したりしていました。
そこで見られる姿が前向きなことに、まずおどろきました。
「めんどくせー」
とか、
「やりたくない」
とかそういう声はぜんぜん聞こえてきません。
毎年の企画なのでもうそういうものだと思っているのかもしれませんが、良いことです。
それでも、中にはひたすら文が短いものを選ぼうとしている子もいて、そういう子は、やっぱり読むのが苦手なものしずかな子だったりしました。
子どもも子どもなりに苦手なものと戦いながら生きているのですよね。
この頃は、着任してまだ1ヶ月そこらなので、まだ子どもたちともそれほど信頼関係が築けていませんでした。
なので、ものおじしない子はどんどん声をかけて聞いてくれるのですが、人見知りな子なんかはあまり近寄ってきません。
こういうのは、長い目で見てじっくり築いていきたいなと。
こわい系の絵本がいいとか、笑ってくれそうな絵本がいいとか、そういった要望に応えることが、当時の自分にとりあえずできることでした。
イベント当日、それぞれの班が、教室や音楽室、保健室などに分散して、読み聞かせが始まりました。
自分は学校のカメラでそこらじゅうを回ってひたすら記録用の写真を撮りました。
読み聞かせをしている場所に入っていく、というのが、できることならしたくないことということがよくわかりました。
自分が入っていくと、読み聞かせを聞いている子たちが、気になってこちらを見てしまうんですよね。
読み手側からすると、迷惑以外のなにものでもないという……。
でも、こちらも仕事だからと割り切ってやるしかありません。
いろんな班の様子を見に行ってよかったことも。
どの本を読もう、と悩んでいた子たちが、自分が選んだ本を頑張って読み聞かせしている姿を見るのは、なかなかぐっとくるものがありました。
ふだんあまりしゃべらなそうな子も、早口だったりしますが、ちゃんと読んでいました。
そしてなんといっても、低学年の子たちがみんな、食い入るように絵本を見つめている姿が印象的でした。
読み聞かせをしてもらうのって、うまいへたじゃないところに大切なことがあるというのが、よくわかりました。
自分は写真を撮っていただけでしたが、とてもいい時間でした。
この企画を最初に始めた人は素晴らしいですね。
5月の話になってしまいましたが、次回は委員会についての話です。
つづく。