本は読んだら捨てたりあげたりして、また読みたくなったら買い直すようにしている、と芸人のカズレーザーが以前テレビで言っていた。
それを見たときは、いいな、と一瞬思ったのだけれど、そんなことができる程の経済的余裕がないことに気づいて、少し悲しくなった。
最近は、読み終えて、もう読み返すことはないだろうなという本をメルカリに出している。
ブックオフに出すよりも、いい値段で売れたりする。
それで、得たお金でまた別の本を買う、というサイクルになっていく。
本を書いている人たちにとっては、非常にありがたくないシステムだとは思う。
ごめんなさいと思いつつ、出品してしまう。
そんな中でも、これはもう一度ならず何度も読んだけれど、やっぱり手放したくないという作品もあって、個人的には、ルイス・サッカーの小説はどれもそう。
こういう気持ちにさせられる作品とそうではない作品というのは、単に相性の問題なのだろうけど、そういう、手放したくない作品と出合えたことはとても幸せな気がする。
それほど相性のよくない本もたくさん読んできたからこそ、特別な作品とも出合えた。
と考えると、乱読というのもあながち悪くはないのでは。
そうは言っても、大学生の頃なんかは、決まった作家の本ばかりを読んでいた。
なぜだか、当時は江國香織さんや川上弘美さん、小川洋子さんに森絵都さん、佐藤多佳子さんや吉本ばななさんといった、女性作家ばかりを読んでいた。
ムーミンシリーズなんかも読んでいたけど、あれも女性作家だ。
そんな乱読時代を経ると、だいたい、自分の好きな作風や文体というのがわかってきて、本屋に行ってもあまり冒険をしなくなる。
自分は子ども時代も、成人したての頃にも岡田淳さんを知らない人間だった(児童文学好きのはずなのに)。
なので、ある程度の数を読んできたくらいでは、まだまだ知らない、出合っていないけれど、自分にとっての特別になりうる作家や作品というのがたくさんあるはず。
ちなみに、岡田淳さんの本の多くはこちらで紹介。
どれも本当に面白い。
もっと早く出合っていたかった、と思うけど、物事にはタイミングというのがあるのでしょう。
そんなわけで、もう読まないであろう本をメルカリに出しては、郵便局に発送手続きをしに行く日々。
メルカリじゃないフリマアプリもたくさんあって、手数料とかもっと安いところがあるのだろうけど、面倒くさがりなので最初に始めたメルカリをずっと使っている。
もしかしたら自分が出品した本が、購入してくださった方にとっての特別な一冊になるかもしれない。
そこから、その作家の新刊や既刊を書店にて買ってもらえれば、と思う。